映画 『パリ、ジュテーム』 [映画 は行 *Movie]
フランスをはじめ、世界各国から集まった18人の監督が手がけた、
一話あたり5分間のオムニバス映画 『パリ、ジュテーム』。
ギャスパー、ジュテ~ム♪ の私は、彼の出演作をお目当てに見に行きましたが、
その他のいづれの作品も思いのほかドラマティックで素晴らしい映画でした。
ひとつひとつが5分間と短いためか、それぞれの監督の個性のエッセンスがギュッと詰まっていて、
忘れがたい印象を与えてくれるものばかりでした。
以下は、その中でも特に心に残った作品です^^
映画 『ピンチクリフ・グランプリ』 [映画 は行 *Movie]
*監督 編集 アニメーション* イヴォ・カプリノ
*脚本* ヒェル・アウクルスト、イヴォ・カプリノ、他
*撮影* チャールズ・パティ、 イヴォ・カプリノ
1975年 ノルウェー
*あらすじ*
ノルウェーのとある場所にあるピンチクリフ村。
村はずれの切り立った崖の上の一軒の家には、
自転車修理工のレオドル、二人の助手であるソランとルドビグが暮らしていました。
グランプリレース3連勝中のルドルフはレオドルの元弟子。
しかしそれはレオドルの発明を盗んで製造したマシンのおかげなのでした。
それを知ったレオドルたちは、自らもカーレースに挑むことを決意します。
モスクワ国際映画祭グランプリ(児童映画部門)、同 最優秀アニメ映画賞受賞作品。
****
30年前のノルウェー本国での公開時には、映画館に長蛇の列ができ、
ノルウェーの映画史上、観客動員数No.1の座を未だに明け渡していないという
記録的大ヒット作品だそうで、5年の歳月をかけて撮影に取り組んだイヴォ・カプリノ監督は元々は家具職人。
そのクラフトマンシップが存分に生かされた、芸術的ともいえる素晴らしい映画でした。
大筋のストーリーはとても単純ながら、例えばカーレースに出場する資金調達と、
その機会を得るための方法など、随所に粋で愉快なアイディアがいっぱい。
そして、なんといっても思いやりと優しさがいっぱい!
これは愛をテーマとした作品なんですね、ココロがとても温かくなりました(*^^*)
気の遠くなるような、コマ撮り撮影の作業の忍耐力、情熱、
そして人形に注いだ愛情が、その人形たちを通じて観客に伝わってくるのです。
* 主な登場人物 *
(左)レオドル…自転車修理工で発明家。
(中)ソラン…いつも陽気で前向きな性格の鳥。
(右)ルドビグ…心配性のハリネズミで、花粉症だけれど、お花を育てるのが大好き。
大好きなレオドルのために、陽気なソランは素敵なアイディアで、
なんとかレースに参加させてあげようとあれこれ行動したり、
レーシングカーを製造するのをお手伝いしたりするのですが、
心配性のハリネズミのルドビグは、ドジばかりしているのです。
けれど、そんな彼をレオドルとソランは、怒ったり悲しんだり呆れたりすることはまったくありません。
いつも優しい眼差しで見守っていてあげるんですね。。。とても慈愛に満ちています。
ああ、思い出しただけでも目頭が熱くなる~~~(T▽T)
やがて苦労の甲斐あって、3人…否、一人と二匹はレースに出場、
これが、人形アニメとは思えないほど大迫力の、手に汗握るレースシーンで圧巻です!
ドライバーとして車に乗り込んだレオドルと助手をつとめるソラン、
マシンは最高に優秀な設計と技術によってカンペキ☆
しかしライバルの意地悪によってトラブルが発生してしまいます。
けれども、レオドルじいさんはいっこうにひるむことなく、
沿道の声援に応えたりして余裕~vの走りをみせるのでした。
競争心はあっても、何が何でも勝ってやろうというガツガツしたところはなく、
ここでも互いを思いやる姿が見られてとっても微笑ましい。
困難に直面してもひるむことなく、人を押しのけるような利己主義に陥らず、
まあ、なんとかなるさ、と楽観的に、今このときを楽しもう…
人生においてもそんな生き方をしてみたら?
と、レオドルにアドバイスもらった気分です。
観終えた後、素晴らしいレースシーンとその撮影技術、そしてなんと言っても登場人物たちが
互いに相手を思いやる温かい気持ちに、思わず拍手喝采したくなる…
そんな方も多かったのではないでしょうか。
私は、皆が静かに席を立って、出口に向かう光景になんとなく違和感を覚えました(;^^)
しかし、皆さんの顔には笑顔があったのですよね、
きっと誰もが胸の中で拍手を贈っていたことでしょう♪
それにしても、この映画、30年前のリバイバルとはいえ、
古さなんて全く感じさせず、けれども人形のぬくもりもちゃんとある素敵な映画ですのに、
あまり多くの映画館で上映されないのが残念ですね。
パンフやチラシには“文部科学省特選”と書いてあるんですよ、それなのに、
渋谷の100席あまりのミニ・シアターではお子ちゃま連れは足を運びづらいでしょうに。
でもこれから順次全国で上映されるようですから、
少しでも多くの人に観てもらえるといいなと思います。
ぜひ、温か~い愛を体いっぱいに感じて下さい^^
公式サイト→http://www.pinchcliffe.com/
その他、以下は私のお気に入りの人形アニメーション☆
***キノコのカペリートが魔法を使ってさまざまに変身する姿が可愛いらしい
NHKのクレイアニメーション『カペリート』。
PINGU DVD SERIES 6 SPECIAL BOX
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2007/02/15
- メディア: DVD
***キャラクター商品でもおなじみの『ピングー』。
兄弟の愛が微笑ましいのですよね、氷の上をペタペタ歩く姿もキュート(≧▽≦)
ヴィスコンティ生誕100年 [映画 は行 *Movie]
今年はイタリア映画界の巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の生誕100年、没後30年だそうで、
昨夜からNHK BS-2で、同監督作品の特集が始まりました。
私は数年前のやはり同局でのヴィスコンティ特集で、『ベニスに死す』を初めて観たときから、
この監督の描く世界と、ヘルムート・バーガー様の大ファンになったものですから、
懐かしい思いで胸がいっぱいです。
11月21日(火) 午後8:00~9:56 『夏の嵐』
原作はカミッロ・ボーイドの小説『官能』。
オーストリア占領中のヴェネツィアで、貞節な伯爵夫人であるリビアが、
若く美しいオーストリア将校マーラー中尉と出会い、恋に落ちるというストーリー。
恋に落ちるというよりは…我を忘れて恋に溺れたリビアの成れの果てが憐れで哀しい、
ヴィスコンティ自身も大好きだというメロドラマですね。
また、同監督の初めてのカラー映画だという舞台、映像もとても美しく、
特に冒頭のオペラ上演中の劇場でのシーンが豪華絢爛で見とれてしまいます。
ここで流れるオペラ『イル・トロバトーレ』の力強いアリア“あの火刑台の恐ろしい炎が”は私の大のお気に入り♪
- アーティスト: プッチーニ, レオンカヴァルロ, ドニゼッティ, ヴェルディ, ダンニバーレ, ラミレス, ララ, バーンスタイン, ディ・カプア, カルディッロ, トスティ
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 1996/06/05
- メディア: CD
衣装担当のピエロ・トージさんは、オーストリア王妃エリザベートの肖像を
手本にしたのではないかと思われる星型の髪飾りなど、リビアの華麗な装い、
そして青年将校マーラー中尉の白いマントを颯爽と翻して着こなす軍服姿にも注目です。
ヴィンターハルターによる オーストリア皇妃エリザベートの肖像
この映画は、2004年に、ティント・ブラス監督によって『ティント・ブラスの秘蜜』という作品で
リメイクされました。
こちらの方が、まさしく“官能”的(過ぎ!?)に仕上がっています…なにせティント先生ですから(;^^)
でも私のとってはこちらもお気に入りの映画です♪
11月23日(木) 午後8:00~午前0:00 『ルートヴィヒ』
19世紀、バイエルン国王として実在したルートヴィヒ2世。
18歳で国王に即位し、40歳で謎の溺死を遂げ、“狂王”と呼ばれたその生涯を描いたもので、
『地獄に堕ちた勇者ども』、『ベニスに死す』とともに“ドイツ三部作”の最後の作品です。
私が今のところ、最も好きな映画です。多分今後もこれを越えることはないでしょう。
ルートヴィヒは戦争が嫌いで、贅を尽くした城をいくつも築き、
国費を濫費したために糾弾されてしまいましたが、
現在ではその城によって、少なからず国を潤していることでしょうから皮肉なものですね。
撮影では実際のノイシュバンシュタイン城内、そしてその調度品もそのまま使われていて
とにかく豪華です。
そしてこの映画は、ワーグナーの音楽なしには語れないですよね、
実際にルートヴィヒと親交のあった彼の音楽が全編で使われることで、
いっそうルートヴィヒに近づいて、その人柄に触れられたような気がしてきます。
この映画によって、私は一時期ワーグナーばかり聴いてました。
“ワーグナーの音楽には魔力がある”と、よく言われますよね、
まさに私もその魔力に魅了されてしまったのでした。
映画で使われているどの曲も素敵だけれど、私が特に好きなのは、
ルートヴィヒがリンダーホフ城内の洞窟の小さな泉を舟で遊覧している時の『夕星の歌』。
夢想家の彼が自分の世界に閉じこもってしまった極致の状態がよく表れていて、
破滅へと突き進んでしまう姿が切ないです、更にはそんな姿が少し滑稽でもあるのですよね(p_;)
この曲はなんともアンニュイなんですよね~、
アリアなら容易にCDを見つけることができたのですが、
オーケストラで演奏しているものはなかなかみつけられなかったです。
そして、最もお気に入りなのは『最後のピアノ曲 遺作』です。
これは、ヴィスコンティが映画に使いたくて譜面を探し出し再現したといいますから、
とても貴重ですよね。
ラストシーンで使われていますが、王の苦しみから解き放たれた安堵とともに、
不穏な空気を醸し出しているメロディで、“謎の死”にとても相応しい曲だと思います。
ヴィスコンティの選曲は本当に素晴らしい…
私は初めてこのシーンを見たときに、しばらく動くことができないほどの強い衝撃を受けました。
残念ながら今は廃盤となった『ルキノ・ヴィスコンティの肖像』というサントラ以外では、
私は収録されているCDをまだ見かけたことがありません。
11月28日(火) 午後8:00~10:12 『ベニスに死す』
ドイツ人の高名な作曲家であるアッシェンバッハが、静養のため訪れたベニスで、
究極の美を体現したような少年タッジオと出会い、次第に心惹かれてゆくという物語。
初老の作曲家にとっては決して手が届かない美しい者への憧れ、諦観、絶望。
それらを観ているうちに、いつかは自分自身も経験するかも知れないという、
そこはかとない哀しみと恐れが湧いてきます。
これは私が初めて観たヴィスコンティ作品で、
「世の中にはこんなに詩情豊かな映画があるのか…。」
と、打ちのめされたのでした。
そして、その時は、初老のアッシェンバッハがなんとも惨めで醜く見えたものですが、
今は、「アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)ったら、タッジオに近づきたいがために、
若作りなんてしなくても、とっても魅力的よ!」
…と思うようになったのは、私か歳を重ねた証拠かしら(;^^)
まあ、私のそんな感想はさておきまして…
老いに逆らうことができない作曲家アッシェンバッハと、ドナテッロのダビデ像のように、
生き生きと美しく、残酷な微笑を湛えたタッジオという、対極的な生が見所だと思います。
とにかくタッジオ役のビヨルン・アンドレセンの美しさは今でも至る所で謳われつづけていますよね。
この一作品で、映画界から姿を消したということも、彼の美貌を伝説的にしている所以であるでしょう。
ヴィスコンティがヨーロッパ中を探して数千人という候補者の中から選ばれたというアンドレセンの、
一瞬の(!)美しい姿を閉じ込めた貴重な作品ですね。
アッシェンバッハはまたしても、この人間の子の、
それこそ神に近い美しさに感嘆した、いや、驚愕したのであった。
…
その襟の上に、花の咲いたような首が、たとえようもなく愛くるしくのっている。
それは、パロス産の大理石のもつ淡黄色の光沢をおびた、エロスの神の首で、
細い落ちついた眉があり、こめかみと耳は、直角に垂れかかる捲毛で、
暗くやわらかくおおわれていた。
『ヴェニスに死す』(トオマス・マン作) より
また、この映画で使われたマーラーの交響曲5番(嬰ハ短調 第3部 第4楽章:アダージェット)も
その美しい旋律が映像にマッチして、忘れがたい印象を与えてくれました。
この映画のほかに、アラン・ヌーリーとレイモンド・ラヴロックが出演した『ガラスの部屋』や、
ユーハン・ヴィーデルベリ主演のスウェーデン映画『あこがれ美しく燃え』でも
使われていましたので、私にとってマーラーのこの曲は“美少年のテーマ”です♪
- アーティスト: カラヤン(ヘルベルト・フォン), ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, マーラー, パッヘルベル, アルビノーニ, レスピーギ, ラヴェル, ホルスト
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2002/09/25
- メディア: CD
偉大なるヴィスコンティ監督について、私などが語るのは恐れ多いのですが、
イタリアの名家に生まれ、ミラノのスカラ座のパトロンとして桟敷席を所有していたこともあり、
幼い時分よりオペラや演劇など、一流の芸術に触れてきたために培われたのであろう美意識の高さと、世界遺産である城を借り切り撮影するなどの本物志向で、
作品に対する妥協しない姿勢が高く評価されているのでしょう。
また、一方では豪華絢爛な映像を作り、一方で庶民の貧しい生活風景を重視したところも面白いですね。
そしてやはり、美と醜、繁栄と没落の悲哀を描いたところも私には魅力的です。
今回のBS-2での特集は、上記作品のほかに、アラン・ドロン主演の『若者のすべて』や、
クラウディア・カルディナーレとジャン・ソレル演じる美しい姉弟の“秘密”がなんとも妖しく艶かしい
『熊座の淡き星影』等々も放送されますので、
詳しい放送内容と時間は公式サイト↓をご確認下さい(^^)
http://www.nhk.or.jp/bs/navi/movie_td.html
映画 『北京ヴァイオリン』 [映画 は行 *Movie]
*監督* チェン・カイコー
*脚本* チェン・カイコー、 シュエ・シャオルー
*撮影* キム・ヒョング
*音楽* チャオ・リン
*出演* タン・ユン as チュン
リウ・ペイチー as 父リウ
ワン・チーウェン as チアン先生
チェン・ホン as リリ
チェン・カイコー as ユイ教授
2002年 中国
*あらすじ*
中国の田舎町。13歳の少年チュンは、母の形見であるヴァイオリンを弾くことに長け、町で評判の少年でした。
息子のヴァイオリニストとしての成功を願う父は、コンクールに出場させるべく、
息子を連れて北京へと上京。
コンクールで優勝はできなかったものの、良い先生につかせてレッスンさせようと、
父親は慣れない大都会で東奔西走します。
2002年、サン・セバスチャン国際映画祭で最優秀監督賞と最優秀主演男優賞(リウ・ペイチー)を受賞。
ユイ教授役は監督自身、また、リリ役は、監督の妻チェン・ホン。
****
これは天才ヴァイオリニストの成長や成功するまでを描いたものではなく、“愛”と“絆”の物語です。
蛇足かもしれませんが、お恥ずかしながら、最近、私はようやく“愛”と“恋”の違いが分かってきました。
恋とはセクシュアルな欲求を伴うとともに、相手に見返りをも求めるものであり、愛とは決して見返りを求めることはなく、ただひたすらに相手に捧げるということなのですね、だから“無償の愛”とよく言われますが、“愛”というひと言の中に“無償”という意味がもうすでに含まれているわけですよね。
言葉ではなんとなく分かっていても、両方をひと括りにしていたところがあったかもしれません。
この映画は“愛”とはこういうものだ!と、ひしひしと感じることができる、私に明確に示してくれた素晴らしい映画でした。
映画の中の父親は、とにかく息子を一流のヴァイオリニストにしたいと、お金を稼いだり、いい先生を探したりと、慣れない大都会で奔走します。
少年の才能が認められ始め、また、将来成功を掴んだ暁には、そのお相伴に預かろうなんていう気持ちは一切無いんですね、むしろ身を引こうとする…全く邪心のないその純粋な“愛”の姿に感激せずにはいられないのです。
しかし、ただの人情ものというのではなくて、一流奏者として成功するには、単に腕前のいい先生についてレッスンすればいいというものではなく、後ろ盾がものをいう世界(もしくは時代?)なのだという、やりきれない部分も見せられて、きれい事では済まされない厳しい世界を思い知らされもしました。
更には、中国の地方と北京という大都会の生活水準の格差が、そんな現実を感ずるに拍車をかけていると言えるでしょうか。
いい映画だと思うのですけれどね、辛口批評が多いです(;^^)
多分、皆さん、映画を観る目が肥えてらっしゃるので物足りないのかも知れません。
確かに描き方が大雑把と思いましたが、人口6億人の中国ですから仕方ないですよね~(違)
それにしては多くの方々がレビューを寄せていらっしゃるということは、よくも悪くも鑑賞者の心に一石を投じた作品だったということではないでしょうか。
そして、ラストでは、自分にとっての本当の幸せとは何なのか、または父親への溢れんばかりの想いを、少年がヴァイオリンで表現するのですよね、ここが本当に素敵なんですよ(^^)
ヴァイオリン演奏は吹き替えだそうですが、少年役のタン・ユンは実際にヴァイオリニストを目指し勉強中の学生だとか。
父親に対する愛情というのか感情を露わにする時の様が、普段は朴訥としているだけに、ギャップがあって可愛いです。
物語の最後に、少年はある選択をするのですが、後味が悪いとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、あのシーンに“諦め”を感じるのではなく、私は、きっと父親の努力は報われ、願いは必ず叶うと思わずにはいられない!
また、チェン・カイコー監督自身、まだ14歳であった文化大革命時に、“父親を裏切るか。公衆で恥をかくか。”という辛い選択をせざるを得なかったという体験をしたそうですから、監督自身が父に捧げるバラードというべき作品でもあるのでしょうね。
とにかく、私にとっては涙涙の感動作でした。
私と同じくファザコンの皆さま、必見です(笑)
「お父しゃ~~ん(ToT)」
それから、この映画はなんといっても全編で流れるクラシックを中心とした音楽が素晴らしく、早速サントラを購入して聴き耽っています♪
皆さん誰もが一度は耳にしたことがあるのではないかと思われる、リストの『コンソレーション3番』、ヴェルディのオペラ『ナブッコ』からの合唱、また、チャオ・リンによる中国の伝統音楽をアレンジして作曲されたノスタルジー漂う作品などバラエティに富んでいて素晴らしい!
中でも、少年チュンが父親へのほとばしる愛をぶつけるようにヴァイオリンを弾く場面で使われた、チャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調(第3楽章)』が最高です(*^^*)
- アーティスト: サントラ, チャオリン, 中国国立交響楽団, リー・チュアンユン, フアン・ヤメン, プラハ国立歌劇場合唱団, ボフミル・グレゴル
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2003/04/23
- メディア: CD
映画 『ブロークバック・マウンテン』 [映画 は行 *Movie]
- アーティスト: サントラ, グスタヴォ・サンタオラージャ, ウィリー・ネルソン, ボブ・ディラン, エミルー・ハリス, バーニー・トーピン, テディ・トンプソン, ルーファス・ウェインライト, ロジャー・ミラー
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2006/02/15
- メディア: CD
*監督* アン・リー
*脚本* ラリー・マクマートリー
ダイアナ・オサナ
*原作* アニー・プルー
*音楽* グスターボ・サンタオラヤ
*出演* ヒース・レンジャー :イニス
ジェイク・ギレンホール :ジャック
ミシェル・ウィリアムズ :アルマ
アン・ハサウェイ :ラリーン
ランディ・クエイド :アギーレ
2005年 アメリカ
*あらすじ*
1963年、ワイオミング州のブロークバック・マウンテンで、二人の青年イニスとジャックは季節労働者として雇われ働くうちに、いつしか互いの心に友情を超えた感情が芽生えます。
労働が終わり二人は別れた後、それぞれ家庭を持ちましたが、4年後ジャックからの連絡により、
再会を果たし、以後20年に渡って逢瀬を重ねるのでした。
2005年度ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞、2006年アカデミー賞3部門受賞作品。
****
何かと話題のBBM、ようやく観てきました。
多くの皆さんのお話を聞いてからだったので、このシーンであの人はこんなこと言っていたな~、なんて、ところどころ楽しく思い出しながら観てました。
事前にトレイラーや写真を観て、大自然の映像がとても美しかったので、それも楽しみの一つでした。
山の雪解け水なのでしょうか、エメラルドクリーンに白を混ぜたような川の色、切り立った山々と夏らしいモクモクと湧きあがる雲、そしてジャックがイニスの野営地の灯りを見下ろす時の満月の夜、これはクラウゼン・ダールの描いた夜景のようでとても印象に残っています。
『満月のドレスデン』 1839年
自然の中で暮らせるのは気分も爽快で楽しそうだなと思いつつ、暫く眺めていると、ふと心細く感じるようになりました。
劇中ではアコースティックギターの音色が余計そう感じさせたのかも知れません。
エンディングのウィリー・ネルソンの歌も良かったですね~、あの切ない結末の後に感傷に浸る、余韻を味わうことができる曲でした。
…お話戻りまして、そんな大自然での二人きりの状況での寂しさも手伝って急速に求め合うようになったのでしょう。
ひと夏の仕事を終えて別れた時の、イニスが素直になれない気持ちをぶつけるシーンが激しくてびっくりしました。
原作では吐き気をもよおすのだそうですが、その気分わかります、相当のショックを受けるとそうなりますよね。
出会った頃はそっけなくて寡黙だったイニス…そういう人ほど、心を開くと驚くほど情熱的だったりするんですよね。
それにしても、4年間も会わずにいたのに、変わらず想い続けていたなんて凄いです。
妻・アルマとラリーンの立場からすると、その間、自分は一体なんだったのか?
大げさにいうと、子供を作る道具に過ぎなかったのでは?と考えてしまいそうです。
彼らの間が友情だけなら、年にもしくは月に数回夫が外出しても“亭主元気で留守がいい”かも知れませんが、愛情があるとなると、妻として女性としてのプライドも許さないでしょうし我慢ならないでしょう。
アルマは同性愛についてどれほどの偏見があったのか、もしかしたら無かったのかどうか…そこも知りたい部分でした、しかし私にはよく読み取れませんでした。
時代が時代ですから、多分偏見があった可能性が高いと思いますが、だとしたら、嫉妬だけではすまないほど苦しんだのではないでしょうか。
ジャックの両親も、イニスを許してくれたのかどうか…複雑な心境であるのか、グッと感情を押し殺しているような姿が涙を誘いました。
パンフレットは写真と記事が満載で、とても読みごたえがありました。
巻頭から写真がいくつも載っていて、眺めていると次第に感動が蘇ってきます。
そして最後のこの写真が泣かせますね~。
イニスのシャツが上になっているんですよね、これは“ようやく…”ってことですね(T^T)
映画 『ぼくの伯父さん』 [映画 は行 *Movie]
*監督* ジャック・タチ
*脚本* ジャック・タチ
*台詞* ジャック・タチ
*音楽* アラン・ロマン他
*出演* ユロおじさん: ジャック・タチ
ジェラール: アラン・ベクール
アルペル氏:ジャン・ピエール・ゾラ
アルペル氏の妻: アドリエンヌ・セルヴァンチ
1958年 フランス、イタリア
*あらすじ*
プラスチック工場の社長夫妻を父母に持つジェラールは、新築のオートメーション化された
豪華な邸宅に住んではいるものの、あまり楽しくない様子。
彼は、ユロ伯父さんと一緒にいるほうが楽しいのです。
カンヌ特別審査員賞、アカデミー外国語賞受賞作品。
****
主人公のユロおじさんのキャラクターが、ほのぼの~としてほどほどにコミカルで最高です!
殆ど台詞がないので、チャップリンやキートンの映画みたいだなと思いました。
あと、少しだけドジなところがクルーゾー警部を思い起こしました。
また、定職に就かない風来坊なおじさんと、妹の息子という間柄が、寅さんにも似てるなと思ったり…。
けれど、彼らの映画と違うのは、大部分はあからさまに笑いをとろうとしていないところで、ただ、淡々とおじさんや登場人物の生活風景を映しているだけなのです。
おじさんのシーンで可笑しかったのが、彼が初登場する場面で、近所の少女が広場の市でトマトを落としたのに逃げてしまい、罪を着せられたおじさんが、少女を追いかけてたしなめているのかと思いきや、よ~くみると、実は仲良くお話ししていたところ。
なんていい人なのかしら~と感動、ここですっかり彼が気に入ってしまいます(*^^*)
それから、妹(ジェラールの母)が住むモダンな家から帰る時、オートメーションで開く門柱を、「開けて。」というのかなんというのか、訴えるように妹を見やる仕草、…子犬みたいでした(笑)
また、ラスト近く、ユロおじさんが街を出る場面で、急に大人びた少女を前に少し戸惑う姿も印象的で、チャップリンの『街の灯』のラストを思い出しました。
他のキャラクターも台詞が少ない分、”音”にとても惹きつけられます。
例えば、ジェラールのモダンな家の、コンクリートの上を歩く乾いた音、奇妙でユニークな形の噴水のとぽとぽと水が噴出す音、カップ&ソーサーが触れ合う音…。
タチ監督は、とても音の技術にこだわった人だそうで、私のような鈍感な鑑賞者でもその”こだわりの部分”に気づくのですから素晴らしい。
また、あの愉快なテーマソングも忘れ難い…アコーディオンの音がエスプリ~♪(←単純~♪)
ユロ氏を演じるタチ監督は、兵役に就いた時、熱心に人物の動作を観察したそうで、その後パントマイムを始め、やがて映画の世界に入ったとのことです。
何気ない仕草がとにかくチャーミング!
それは自然に現されたものではなく、努力に裏付けられたものなのですね、そう思うとますますユロおじさんを愛したくなってきます(*^^*)
ユロ氏が登場する作品として、『ぼくの伯父さんの休暇』や『プレイタイム』というものがあるそうです。
機会があったら是非観てみたいです(^^)
映画 『プライドと偏見』 [映画 は行 *Movie]
*監督* ジョー・ライト
*製作* ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
ポール・ウェブスター
*製作総指揮* ライザ・チェイシン
デブラ・ヘイワード
*原作* ジェーン・オースティン 『高慢と偏見』
*脚本* デボラ・モガー
*撮影* ロマン・オーシン
*衣装デザイン* ジャクリーヌ・デュラン
*出演* エリザベス: キーラ・ナイトレイ
Mr.ダーシー: マシュー・マクファイデン
Mr.ベネット: ドナルド・サザーランド
ベネット夫人: ブレンダ・ブレシン
ジェーン: ロザムンド・パイク
キャサリン夫人: ジュディ・デンチ
Mr.ビングリー: サイモン・ウッズ
ウィッカム: ルパート・フレンド
2005年 イギリス
*あらすじ*
18世紀末イギリスの田舎町。女性には相続権が無い時代、ベネット家では、母親が5人姉妹を資産家の家に嫁がせようと躍起になっていました。
そんなある日、隣家の大豪邸に独身の大富豪・ビングリーが引っ越してきます。
彼は妹と、親友でやはり富豪のダーシーを伴ってやってきました。
文豪・夏目漱石に絶賛され、サマセット・モームに「世界の10大小説家」に挙げられたという、イギリスの女流作家・ジェーン・オースティンの小説『高慢と偏見』(自負と偏見)を映画化したもの。
****
Mr.ダーシー役をコリン・ファースが演じ、本国はもとより日本でも人気を博したた、イギリスBBS放送のTVドラマの他に、1941年にローレンス・オリビエがダーシーを演じた映画もあるそうです。
こちらは日本未公開だそうですが、今回の映画公開を機にTVで放送してくれないかしら~と密かに思っています。
そんな名優たちが演じてきたダーシー役に抜擢されたマシュー・マクファイデンさん…暗い、暗すぎます、陰鬱です(笑)
でも背が高くてステキでした。
身長が低くても魅力的な人はたくさんいるけれど、やはり自分よりずっと長身の男性に、目の前にスッと立ちはだかれたらドキッとしてしまうでしょう。
他の男性と並んだ時にも、どうしても一番長身のマクファイデン@ダーシーに目がいってしまいました。
そんな最初の印象でしたが、リジーとともに、彼の真の姿が少しづつ見えてくるたびに、…いえ、そうではなくて、彼女によって変わっていったとも言えますね…、私も少しづつ惹かれていって、やがては恋に堕ちました(笑)
恋したことによって、お互いが誤解を解きながら、プライドを捨て、偏見を無くして、“人間として”精神が成長してゆく姿を見るのは清々しくていいものですね。
ちょーっと脱線しますが…
先日、オリンピックで、あるアルペン競技を見ていた時、日本の選手が24位でした。
滑走は2本あるのですが、名だたる有名選手達がぞくぞくと、ある者はコースアウトしてしまうし、ある者は、1本目の好タイムのプレッシャーから2本目が振るわずメダルを逃したりしていました。
でもそんな中、日本のその選手は、2本とも大きなミスをすることなく完走したのです。
それがどんなに難しいことであるか、また立派なことであるか、順位の結果を聞いただけでは分からないでしょう。
つまりは、表面(この場合順位結果)でしか判断されないことがしばしばですが、真実や素晴らしさをそれだけで判断してはならないのだということ思い知らされたのです。
この映画から感じたことと、通ずるところがあったので書いてみました。
キーラのリジーも賢そうで、毅然とした態度が良かったけれど、ジェーン役のロザムンド・パイクも清楚で綺麗でした♪
どこかで見た顔…と思ったらボンドガール(悪役)だったのですね、ボンドを裏切る嫌な女性像が吹っ飛んでしまいました(笑)
主役のふたりより、彼女とビングリーさんが結ばれるシーンの方がなぜか感動しました(;^^)
でも、同じくオースティンの小説を題材にした映画『いつか晴れた日に』で、ヒュー・グラントに求婚されて喜びにむせぶエマ・トンプソンを超えることはありません(笑)
その他の脇役たちも皆魅力的でした。
慇懃無礼で鈍感なコリンズ牧師も、憎たらしいけれどどこかコミカルで、度々観客の笑いを誘っていました。
そしてそのコリンズと愛の無い、と思われる結婚をしたシャーロットが、この当時の大概の女性の生きる道を象徴しているようで、切なかったです。
そして、ウィッカムさん役のルパート・フレンドが、オーランド・ブルームに見えてしかたがなかったのは私だけでしょうか(;^^)
リジーは、彼に惹かれていたという話のはずですが、この映画ではあまりそれを感じないまま終わってしまいましたね。
温かみのあるベネット家の屋敷や田園風景もステキでした。
でもやはり一番美しかったのは、目の前に静かで広大な湖面が広がるダーシーのペンバリーの邸宅ですね~。
なんと、屋敷内に美術館があって、並んでいる彫刻は全て、現在もお住まいの第12代デヴォンシャー公という方の持ち物だとか…。
館内は未確認ですが、彫刻群は見学が可能だそうです。
結末は分かっていてもやっぱり感動してしまう、楽しい約2時間でした。
BBCのドラマを超えることはないけれど、明らかに私にとっての、“もうひとつの『高慢と偏見』”が確立されたという感じです(*^v^*)
映画 『ぼくの小さな恋人たち』 ~マルタン・ローブ礼賛~ [映画 は行 *Movie]
*監督* ジャン・ユスターシュ
*脚本* ジャン・ユスターシュ
*製作* ピエール・コトレル
*撮影* ネストール・アルメンドロス
*出演* ダニエル: マルタン・ローブ
母親: イングリット・カーフェン
1974年 フランス
*あらすじ*
南フランスの田舎町に祖母と二人暮らしだった13歳の少年・ダニエルは、
ある日現れた母親とその恋人と共に、都会で暮らすことになりました。
高校に進学することを望んだダニエルでしたが、母の反対にあい、
修理工として働くこととなります…。
ジャン・リュック・ゴダールに見出され、最後のヌーヴェルバーグと評されたという、
ジャン・ユスターシュ監督の、自伝的ともいわれる少年の性へのめざめを描いた作品。
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ヌーヴェルバーグな映画の良さがよく分からない私ですが、この作品は私にとって忘れ難い印象を残してくれました。
まず、第一にダニエル少年演じるマルタン・ローブの繊細な美しさ!
簡素な上着やパンタロンをさらりとお洒落に着こなしているのは、小柄で華奢だけれど、手足が長いこともあるでしょうか。
また、時々の仕草、例えば食事をする仕草、本をめくる仕草、そしてベッドで寝入る姿などがとても上品で、決して大人びているのではなくても、なぜか色気を感じてしまいました(;^^)
最近仕入れた知識である、古代ギリシアのパイデラステイアー=少年愛が少~しだけ理解できた気がします。
祖母との穏やかな生活から一転、ダニエルを働かせる為に呼び寄せた母親との生活に、絶望感を露わにすることなく受け止めている様が、逆に哀感を誘いました(涙)
やがて、女性との接触に興味を持ち始めてゆくのですが、それは当然友達の影響もあったでしょうが、母親とその内縁の夫との関係が、大きく影響を与えたと思うのです。
暗い映画館内で、草原で…少年は少しづつ、見方によっては性急に性にめざめて成長していきます。
それは、恋でもなければ愛でもない、単なる遊びでもなくて…
子供っぽく見えるマルタン・ローブだからこそでしょうか、やけに生々しいのです。
最後に、祖母の元に一時戻った彼の、昔のように少年たちと遊びに出掛ける姿を見ていて、以前と変わらぬ子供らしさを垣間見たと思った瞬間、明らかに成長した少年の姿に胸を突かれるのです!
アルジェリア戦争への徴兵を拒むために毒を飲んだり、ピストル自殺で夭折するなどのユスターシュ監督の狂気の人生とあいまって、強烈な印象が残りました。
この手の映画で似た作品といえば、私の少ない鑑賞作品の中では、『あこがれ美しく燃え』やツルゲーネフ作で有名な『初恋』を思い出す程度ですが、どちらも好きな作品です。
しかし前者は大人の女性が少年を受け入れてしまうので官能的すぎるし、後者はナイーブで綺麗すぎるかな…と今回の映画の後では少し色褪せて思えます(;^^)
映画 『ブラザー・サン・シスター・ムーン』 [映画 は行 *Movie]
*監督* フランコ・ゼフィレッリ
*脚本* スーゾ・チェッキ・ダミーゴ、 ケネス・ロス、 リナ・ウェルトミューラー
*音楽* ドノヴァン、 リズ・オルトラーニ
*出演* フランチェスコ: グレアム・フォークナー
クレア: ジュディ・バウカー
法王: アレック・ギネス
1972年 イタリア
*カンタンあらすじ*
13世紀、イタリアのアッシジの裕福な商人の家に生まれたフランチェスコは、
戦争から戻り、病で生死をさまよった後、神の声を聞き信仰に目覚め、
何もかも捨てて伝道生活へと入ってゆくのでした。
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中世に建てられた、林立する石造りの塔が映し出されたのを、ぼーっと観ていたら、現代の超高層ビル群と錯覚してしまいました。
アッシジが舞台となってはいますが、実際のロケ地はサン・ジミニャーノなのだそうです。
サン・ジミニャーノといえば当時の権力者たちが、富の象徴として競い合うようにして高い塔を建てたことで有名だそうで、現代の私たちの社会でもみられる光景ですね。
でも今のイタリアは、建物には高さ制限があるのでそれほど高いビルを建てることはないようですから、時代と逆行しているところが面白いと思います。
フランチェスコは戦争から戻った後、神の声を聞き、何もかも捨てて清貧に生きることを決めるのですが、親とも絶縁してしまうところが、キリスト教の“父母を敬え”という教えと反してはいないだろうか?と疑問に思いました。
お金儲けのことしかない父親はともかく、あれほど愛してくれた母親を捨てるとはどうも納得がいかないというか、違和感がありました、…聖人だからいいのかしら(;^^)
「この野に咲く花のように生きたい。」
アッシジの美しい大草原の中でたたずめば、私もこんな言葉がおのずと浮かぶかもしれません。
清貧に生きるとはどういうことか、このフランチェスコの台詞が教えてくれた気がします。
皆がそうなれば、諍いや犯罪は無くなって幸せな世界になる、ということなのでしょうが、今現実的に考えて、自分自身を守ろうとすると難しいですよね。
お金は捨てられなくても、せめて心だけでも清貧な人になれるよう努力します(;^。^)
最後にフランチェスコが法皇様に謁見を許される場面の教会を、どこかで見た教会だと思ったら、以前旅行したシチリア島パレルモのモンレアーレにあるドゥオモだったのでした(^v^)
祭壇の上部にはモザイクで出来た見事なキリスト像があり、お布施をすると(お金を装置に入れると)見学者の為に、ライトアップしてくれます。
文豪ゲーテに「世界一美しいイスラムの都市」と言わしめたというパレルモは、イスラム王朝に支配されていたこともあって、イスラム文化の影響を多くの教会や建物にのこしており、この12世紀に建てられたドゥオモにも、イスラム、ビザンチン、ロマネスクの融合した建築様式を見ることができました。
↓ そのドゥオモでお布施をして、頂いたカード。
映画 『ブエノスアイレスの夜』 [映画 は行 *Movie]
*監督* フィト・パエス
*製作総指揮* フィト・パエス
*出演* カルメン: セシリア・ロス
グスタボ: ガエル・ガルシア・ベルナル
2001年 アルゼンチン スペイン
*カンタンあらすじ*
20年ぶりに故郷であるアルゼンチンに戻ってきたカルメンは、
偶然聞いたモデルで男娼であるグスタボの声に惹かれ、
お金で雇った彼に、エロティックな言葉を連ねた本を朗読させます。
20年前のある辛い出来事によって、接触障害をおっているカルメンは、
彼の朗読によって性的興奮を得るのです。
やがてふたりは惹かれ合い、一線を超えるのですが、
そこには衝撃の真実が二人を待ち受けていました。
カルメンを演じたセシリア・ロスは、監督の妻。
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ガエル・ガルシア・ベルナル君…初めて写真を観た時は、それほど魅力を感じませんでした。
でも今ではすっかり虜です。
とにかく演技が素晴らしく、魔力にとり憑かれたように見入ってしまうのです。
今回はモデルで男娼という妖しいキャラでした。
『バッド・エデュケーション』での、秘密を抱えたゲイでドラッグ(ドラアグ?)クイーンといい、こういうミステリアスな役がお似合いですね。
カルメンは自分のアパートで、雇ったグスタボに官能的な小説の一節を読ませ、それを隣室で聴き、激しく興奮するのですが、その姿を観ていたら『ピアニスト』のイザベル・ユベール演じたピアノ教師を思い出してしまいました。
でも、あれよりは怖くないです(;^^)
彼女は20年前に政治犯として捕まり監禁され、拷問され続けたという辛い過去がトラウマとなり、人と接触することができません。
彼女の性的嗜好が実に気味が悪いと思ったけれど、そのような辛い過去を知れば、誰もが少しは理解してあげることが出来るのではないでしょうか。
やがてカルメンとグスタボは惹かれ合い、一夜を共にすることになります。
初めはその過程がとても急すぎると感じました。
しかし結末を知るとそれも納得、更に陳腐だなと思ったいたこの映画の公開時のコピー「孤独の果てにあなたがいた」というのも、観終えた今では奥深い言葉に感じています。
更に彼らが一線を越える前に、“衝撃の事実”の内容をある程度匂わせ、私には途中で決定的に分かってしまう場面がありましたが、誰もが皆、気づくかしら(@。@)
注意してみていないと見逃す可能性もあるのではないでしょうか。
知らぬのと、知っていてその後の一夜を共にするシーンを見るのとでは、断然知ってから観たほうがいいでしょう!
そのシーンはガエル君はあまり映さずに、ほとんどカルメンの表情を映していて、彼女の心情の移り変わりがよく分かります。
受け止めがたい真実を知ってしまった後の、やりきれない想いをぶつけるガエル君の演技がとても良かったです。
彼は泥臭い演技をしますよね、なんだかカメラの前で演技をしているようには思えないほど真に迫ってました。
グスタボの辛さを受け止めて、一緒に生きてあげたい…そんな風に思った私の気持ちに適った結末も満足でした(^^)
公式サイト→http://www.at-e.co.jp/buenos-yoru/
以下はガエル君の他の出演作品です♪
ガエル君の女装、なんて可愛いの~!
と感動したのは私だけでしょうか(;^^)
旅すること、生きることって素晴らしい。
男同士の友情は美しい。
そして、希望に燃えた主人公(ガエル君)の輝く瞳も美しかった(*´v`*)
感動して小説も読みました。