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パリ旅行2006 *ルーヴル 美しき肖像②* [パリ2006*Paris]

今回は、前回に引き続き、ルーヴル美術館所蔵の、
私の好きな絵画10選のうち、残り5作品のご紹介予定でしたが、
どうしてもそれでは収まらないので、残り6作品をご紹介したいと思います(^^)


①アンソニー・ヴァン・ダイク
『選帝侯ファルツ伯カール=ルートヴィヒ1世とその弟の肖像』 1637年

英国のチャールズ一世に仕え、宮廷画家として腕を振い、
騎士の称号も授かったという画家ヴァン・ダイクによる肖像画。
王家の人々のみならず、イギリスの貴族たちの肖像も多く手がけました。

この絵は、元服した記念にでも描かれたのでしょうか。
こちら側で、感無量(T^T)。。。といった風情で眺めている彼らのご両親の姿が目に浮かびます。
それにしても、甲冑姿だというのにな~んかのんきな表情ですね(笑)
どちらかというと、私はお兄ちゃんより弟(右)のほうが好みです♪


②フィリップ・ド・シャンパーニュ 『二人の男の肖像』
通称『フランソワ・マンサールとクロード・ペロー』 1656年

シャンパーニュは、長らく続いた愛娘の熱病が、
修道女の祈りによって奇跡的に治癒したことから、
深く宗教に帰依した画家でした。
よって真に迫る素晴らしい宗教画も残しています。

木の枠に手を掛けているところとか、鑑賞者をどこかへ誘うようなポーズなど、
ヨーロッパで古くから行われていた、邸宅を飾るための、
トロンプ・ルイユ(だまし絵)だったのではないだろうかと思うのですが、どうでしょう?(@_@)
ルーヴル美術館内でも、回廊の途中、まるで私たちを呼び止めるようにして頭上に展示されていました。


③シャルル・ル・ブラン 『大法官セギエ』 1655~57年

太陽王ルイ14世のおかかえ画家であったル・ブランの作品。
“大法官”とは、今で言う最高裁判所長官あたりなのでしょうか。
それにしても美しいお小姓たちがいっぱい♪
馬まで見目麗しいです、美しく波打つ毛並みとか。
295×351cmの大作なので、この行列に、道端で出くわしたような錯覚を覚えます。
というのは大げさですが(;^^)、しばらく見入ってしまいました。

このように大勢の美男子を引き連れている絵といえば…


↑ ボッティチェリの『石榴の聖母』。。。
キリスト様さえも将来有望なルックスです(*-_-*)。。。(不謹慎!)


④フランソワ・ジェラール 『プシュケとキューピッド』 1798年

ジェラールは、ナポレオンの数々の肖像画を描いたことで知られる画家ダヴィッドの弟子でありました。
彼の描く絵はどれも愛らしくて、例えばナポレオンの肖像画も、
師匠のダヴィッドやアングルなどが描いたものとは違って、
幾分、人が良さそうな表情をしています(笑)
きっと、画家本人が、優しい人柄であったのではないでしょうか(*^^*)

この絵は、恐らく私がルーヴルで一番好きな作品なのですが、
昨年訪れた時には、フランス絵画部門の展示室に見当たらず、
観ることができませんでした。
どこへやっちゃったんですかぁ?(T△T)


⑤ジロデ=トリオゾン 『エンデュミオン、もしくは月の効果』
通称『エンデュミオンの眠り』 1792年

ギリシャ神話によりますと、月の女神セレネは、
愛するエンデュミオンのその美しさが、やがて老いて失われてゆくことを憂い、
最高神ゼウスに彼の不死を願いました。
そして、エンデュミオンは永遠の眠りにつく魔法をかけられたのでした。

何故、エンデュミオンの傍にセレネが居ないのだろう…と暫く考えていましたが、
なるほど、この月の光こそがセレネというわけなのですね!
最近ようやく気がつきましたわ~(;^^)
愛する青年の美しい肢体に、月光と化して纏いつくとはなんともエロティックですね♪
全能の神ゼウスが、黄金の雨に姿を変えてダナエと交わるというエピソードを思い起こさせます。


↑クリムト画 『ダナエ』          ↑ティツィアーノ画 『ダナエ』


⑥イポリット・フランドラン 『人物画習作-海辺に座る裸の青年』 1836年

女神ヴィーナス(ウェヌス)に呪いをかけられたアテネ王の妃フェードル(パイドラー)は、
義理の息子であるイポリット(ヒッポリュトス)を心ならずも愛してしまい、
狂恋の業火に苛まれ、やがて破滅の道をたどるという『フェードル』について調べている時にこの絵が思い浮かびました。

しかしこれは、そのイポリット(ヒッポリュトス)自身を描いたものではなく、
単なる画家の名前がそうだったというだけだったのですが、
しかしよくよく観ると、この絵の男性も、
“義理の母親に邪な恋情を抱かれて苦悩するイポリット”という寓意画にも観えてはこないでしょうか。

… テラメーヌ(従者)、逃げるのだ。思いもよらぬ。
このわたしの体、ええ、見るもおぞましい!
フェードルが…  いけない、神々よ、忘却の淵に
恐ろしい秘密、隠されたままでありますように! …

~ ラシーヌ作 『フェードル アンドロマック』より ~

血のつながりの無い義理の母親に恋されたからといって、
それほど苦しむこともないとは思いますけれど…(;^^)
まあそれほど、イポリットは清廉潔白な人だったということなのでしょう。

ルイ14世に引き立てられ、御前上演も行ったというラシーヌによる戯曲『フェードル』は、
岩波文庫の単行本で読むことが出来ます。
同じ本に収録されている『アンドロマック』は、
トロイの総大将ヘクトールの寡婦であるアンドロマック(アンドロマケー)の後日譚で、
どちらも、戯曲ですから登場人物同士の対話形式(もしくは独白)であるためか、
それぞれの思惑や懊悩が胸に迫りくる、とてもドラマチックな素晴らしい作品でした(^^)

フェードル;アンドロマック

フェードル;アンドロマック

  • 作者: ジャン ラシーヌ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1993/02
  • メディア: 文庫


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megumi

お久しぶりです。。。

素敵な絵を沢山観る事が出来て、とても素敵な気分になりました。
by megumi (2007-07-02 09:33) 

ミカエラ

■megumiさん、こんにちは(^^)
お久しぶりですね~、コメントありがとうございます。

megumiさんの記事について、ここでのコメントで申し訳ございませんが、
原爆投下についての例の問題発言には呆れるばかりですね。
ある評論家の方が「教養と知性に欠ける発言」と仰っていましたが、
その通りだと思いました。
核兵器については、“過去”のことではなく、
現在と未来においても危惧すべき問題であるという点を、
まるきり考えていない物言いが私は腹立たしく思いました。
あの方は被爆地のご出身だそうで、
だからこそ、率先して断固とした態度を取るべきですよね。
しかもそれが我が国の防衛省のトップとは…
原爆のドキュメンタリー映画を製作したアメリカの少年に、
恥ずかしくて顔向けできないですね。
by ミカエラ (2007-07-02 17:08) 

豆酢

素晴らしい作品!

ミカエラさんのセンスが伺えるチョイスですね。ボッティチェリの『石榴の聖母』のキリスト様が、思い切りカメラ目線(違)なのが微笑ましいです。マリア様、なにげにイケメンをそろえているところも見ると、結構面食いでございますか(笑)?
それから、『エンデュミオンの眠り』の光と影の対比の美しさ!悩ましい青年の肢体とぼうっと立ち上る月光が絡み付いてる様は、仰るように本当にエロティック!過去の人々の想像力の豊かさを思い知らされますね。全く知らない作品でしたので、今回一番印象に残りました。
by 豆酢 (2007-07-05 14:15) 

ミカエラ

■豆酢さん、こんにちは♪
お引越し作業でお忙しいところ、コメントありがとうございます~。

>>マリア様、なにげにイケメンをそろえているところも見ると、結構面食いでございますか(笑)?
↑マンガですか? と思うほどイケメンですよね(;^^)
この絵の出所は知らないのですけれど、
これだけ美しく魅力的に描くことで、信者獲得に一役買っていたのではなかろうかと思います。
美少年のキリスト様としては、ブロンズィーノによるものも負けず劣らずイケメンなんですよね。
↓聖家族ならぬ“美形家族”と呼びたいほどでございます♪
http://art.pro.tok2.com/B/Bronzino/brn04.jpg

>>全く知らない作品でしたので、今回一番印象に残りました。
↑おおそうですか! お役に立てたようでよかったです(^v^)v
仰るとおり、光と影の描き方が素晴らしいですよね~。
光と影の描写でも、例えば定評のあるカラヴァッジオのものとは違って、
こちらは柔和で優美ですよね、
よって女性のファンも多いのではないでしょうか(*^^*)

↓こちらで、その他のエンデュミオンのセクシ~ポーズ(違)、
傑作がいくつかご覧になれます。
http://art.pro.tok2.com/Greek/Endymion/Endymion.htm
by ミカエラ (2007-07-06 11:36) 

youko

素敵ですね!今年はノクターンで夜21時に入館してみました。ガラガラなので、逆にコワくなってしまいました・・・!人気のない展示室に入るのも楽しいですよね。また遊びに来ます。
by youko (2007-08-01 23:25) 

ミカエラ

■youkoさん、はじめまして(^^)

>>今年はノクターンで夜21時に入館してみました。
↑毎週水曜日は21時まで開いているのですよね。
私もパリを訪れた時は、この空いている時間に、
超人気のモナ・リザ、ミロのヴィーナス、ニケなどを必ず観に行きます^^

>>ガラガラなので、逆にコワくなってしまいました・・・!
↑そうですよね~、わかります。
例えば一階の彫刻展示室のフィリップ・ポの墓など、
普段から怖いのに、夜に行ってみたらさぞかし気味が悪いでしょうね(;^^)

このたびはご訪問ありがとうございました。
youkoさんはフランスに関する素敵なブログをお持ちなのですね、
後ほど私も寄らせていただきますのでよろしくお願いします♪
by ミカエラ (2007-08-02 01:55) 

안전놀이터

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by 안전놀이터 (2023-07-22 16:28) 

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