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パリ旅行 2006 *オランジュリー美術館編* [パリ2006*Paris]


オランジュリー美術館は、1926年に画家のクロード・モネが亡くなり、
連作の『睡蓮』が寄贈されたことを機に、
その翌年にオープンした美術館です。


19世紀にナポレオン3世によって建てられた温室を利用しているこの美術館の
“オランジュリー”とは、当時、オレンジ(オランジュ)などを栽培していたことから
その名が名づけられました。
芳しい柑橘類のいい香りが漂ってきそうな素敵な名前ですね(*^v^*)


ガラスの屋根から光をふんだんに取り込んだ『睡蓮の間』。
モネは、生前、この部屋に自分の絵を飾ることを条件に
作品を寄贈することを約束したそうです。

壁が平面ではなく、曲線を描いているデザインは、
臨場感を効果的に演出することの工夫でしょうか。

実は、私が訪れた時はとっても混雑しておりましたので、
上記のお写真は、私が撮影したものではなく資料からのものです(;^^)
…こんな風にゆったりと鑑賞するのが夢でしたのに…夢叶わず、とほほ。


モディリアーニ  『ポール・ギョームの肖像』 1915年

ポール・ギョームは、前衛的な芸術に理解を示し、不遇の画家であったモディリアーニを始め、
多くの画家たちを擁護した画商で、彼の死後、その一大コレクションは
オランジュリーに遺贈されたそうですから、美術館にとって、
彼は多大なる功労者なわけですね。

彼の写真がいくつも展示してありましたので、見比べることができたのですが、
この肖像画は彼の特徴をとてもよく捉えています。

とぼけた風貌でありながら、鋭い審美眼を持ち、厳しい性格の中にも
思いやりのある人…そのような人柄に感じました。

左下に書き込まれた文字は、“新しき水先案内人”という意味だそうですから、
モディリアーニのこの画商に対する信頼と感謝のほどが伝わってきますね。
心のこもった素晴らしい作品だと思います。


ドラン  『大きな帽子のポール・ギョーム夫人の肖像』 1928年頃

ポール・ギョームと同じく、知性がにじみ出ていて素敵な人!
やはり厳しさの中にも優しい心根が感じられるんですよね。
きっと、多くの人々に尊敬される素晴らしい女性だったのでしょう(*^^*)


ルソー  『田舎の結婚式』 1905年

ルソーの画中の人物たちの交わされる視線には、
何か意味が込められているみたいなのですけれど、
謎めいていても、なんだかほのぼのとしていて、
例えば、ラトゥールの『いかさま師』のような悪意は感じられないんですよね。
この様な“家族の肖像画”は、16世紀オランダで描かれるようになった
“集団肖像画”の流れを受けたものだそうです。 なるほど~(@。@)


ルノワール  『道化の衣装のクロード・ルノワール』 1909年

ルノワールの3番目の息子の肖像。
印象派の技法を離れてからの彼の作品は割りと好きです。


ルノワール  『ピアノを弾く少女たち』 1890年

ルーヴル美術館のグランドギャラリーを小規模にしたような展示室に展示されていました。
私が訪れた日はとにかく混んでいましたので、ゆっくりと観ることができませんでした。
まるで、日本の企画展会場のよう…(T^T)


スーティン  『聖歌隊の少年』 1925年

スーティンって、コックとかボーイとか仕事中の人物を描くことでよく知られていますよね。
…もしかして、制服フェチ!?(;゜∀゜)


ローランサン  『シャネル嬢の肖像』 1923年

ココ・シャネルに受け取りを拒否されたことで有名な作品。
画家との関係などもよく知らないと、その拒否された理由は分からないと思いますけれど、
私が勝手に推測しますと、シャネルはそれまで通俗的であった女性像を打ち破るような
革新的なファッションを確立した人ですから、
この、心の内を見透かされたような悲しげな姿がイヤだったのではないでしょうか。
愛犬(?)までも寂しそうにうつむいてますし…。

アンニュイなムードも悪くはないと思うのですけれど、
もっと毅然とした様とか快活さがあったほうが、彼女の性格にあっていたのかなと、
下↓のポール・ギョーム夫人像を観て思いました。


ローランサン  『ポール・ギョーム夫人の肖像』 1924年

明らかに、シャネルの肖像とは色使いとムードが違いますよね、
とても聡明そうで、可愛らしさもある女性像で魅力的です♪


ユトリロ  『モン・スニ通り』 1914年

パリのモンマルトル界隈の風景を描いたもの。
ユトリロの絵はとても好きです(^^)

理由のひとつには、放埓な人生を送った母親に振り回された彼の生活とか気持ちとか、
そんな母親の歓心を買いたくて絵画を始めたというところなどがけなげで、
同情してしまっているところもあるのかも知れません。

その母親であり、やはり画家であったシュザンヌ・ヴァラドンも、
憎いけれど、なかなかいい絵を描くんですよね~(メ‐_‐)

ユトリロの作品はこの他にも、“ユトリロの白”が際立った作品である
『ベルリオーズの家』なども展示してありました。

2006年6月に長期間に渡る改修工事が終わったばかりであるためか、
とても混雑していてあまりゆっくりと観ることができず少し残念でした。
でも、パリの三大美術館のひとつですから、人気があるのも当然ですね。
曜日や時間帯などを工夫して訪れるといいかも知れません(^^)


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コメント 14

パリいいね~^^
by (2006-12-01 18:37) 

ミカエラ

■でぃーじぇーさん、こんにちは♪
いつもありがとうございます。
パリは9月の初めに行ったのですけれど、
まだノロノロと旅行記書いてます(;^^)
明日はいよいよレッズの決戦の時です。
頑張って応援してきますね~。
戻りましたらまた遊びに行きますのでよろしくです^^
by ミカエラ (2006-12-01 18:48) 

megumi

うわー:::
ミカエラさんナイス10回押していいですか???
by megumi (2006-12-01 22:37) 

kurohani

パリに9月に行かれたとは羨ましいです、、。オランジュリーまた行きたいな〜。
by kurohani (2006-12-02 02:30) 

Jen

いつも丁寧な解説ありがとうございます。
旅行先で絵画に興味がなくてもよっておこうミーハー旅行者が多かったのでしょうね(私も含む)。絵画をじっくり見たいミカエラさんのような訪問者には残念ですね。
ところで横の本日シリーズは過去ログとかはないのですか?いまのところ今日で3人目ですけど、抜けてないでしょうか。ありゃ、バレエ楽しんできてくださいって書こうとしたらもう楽しんできた後ですね。また記事楽しみにしています。
by Jen (2006-12-03 18:20) 

ミカエラ

■megumiさん、こんにちは♪
Wow ! ナイスを10個ですか!
そのお気持ち、ありがた~く頂戴いたします^^
by ミカエラ (2006-12-04 15:45) 

ミカエラ

■kurohaniさん、こんにちは♪
kurohaniさんもオランジュリー行かれたことがあるのですか^^
名画がぎっしり詰まっていて素晴らしい美術館ですよね。
ルーヴルもそうなのですけれど、
何度行っても飽きずにいることができそうです。
by ミカエラ (2006-12-04 15:46) 

ミカエラ

■Jenさん、こんにちは♪
私も有名絵画好きのミーハーですよ~、そしてせっかく行ったからには
ゆっくりたっぷり観たいという欲張り者です。

>>横の本日シリーズは過去ログとかはないのですか?
いまのところ今日で3人目ですけど、抜けてないでしょうか。
↑ そちらも見て下さってありがとうございます、嬉しいです(^^)
“本日の”と言いましても毎日は更新していないので、
↑多分そのくらいだと思います(;^^)

ところで、来春リベラが来日するそうですね~、
先週末CDショップに行ったら店内に曲がかかっていて、
しばし聴きほれてしまいました、本当に素敵(*^^*)
http://www.toshiba-emi.co.jp/libera/

そしてメールもありがとうございました、もう大感激です!
後ほどお返事しますね、遅くなりましてすみませんm(_ _)m
by ミカエラ (2006-12-04 15:47) 

ダフネ

ずっ~~と前ですが、フランスに行ったときオランジェリー美術館は休館日だったんですよ~(調べて行けやって感じですが(^_^;))
ユトリロ目当てで行きたかったんですけどね。
私もユトリロ大好きです。近くで展示会とかあったら必ず行く画家のひとりです。寂しくくすんだパリの風景がなんともいえません。
彼の作品ってほとんど人物がはっきり描かれてないんですよね。
そのあたりに彼の生い立ちの不幸を感じます。
by ダフネ (2006-12-08 17:40) 

ミカエラ

■ダフネさん、こんにちは(^^)

わあ♪ ダフネさんもフランス行かれたことがあるのですか。
どんなところ行かれたのかお聞きしたいです。

>>私もユトリロ大好きです。
↑ ホントですか、とても嬉しいです~(嬉涙)
コリリンファンというところも一緒ですし、気が合いますねv
仰るとおり、彼の作品はどれも寂しげで哀愁が漂ってますよね。
寒々しさだけでなくて、どこか優しさがあるところも好きなんです。

オランジュリーには、ユトリロだけのちょっとしたお部屋に、
作品がいくつもかかっていて、ファンには必見ですよ~、
ぜひダフネさんも鑑賞してきて下さい。私もまた行きます…いつの日か(^^)
by ミカエラ (2006-12-08 19:06) 

TaekoLovesParis

ご訪問いただきトラックバックありがとうございました。
私は、偏って結局、ルノアールの写真しかないような感じになってしまった
ので、ミカエラさんの正統派オランジェリー見学は代表的な絵を網羅して
楽しい解説つき、とてもいいと思いました。

私は開門と同時に行ったので、睡蓮の部屋に行ったとき、誰もいなくて、
拍子抜け。そのあともさほど人が来なくてゆっくり見れました。

ローランサンの描いた「シャネル嬢」。プライドの高いシャネルが、この絵を拒否するの、わかりますよね。特徴はつかんでいるけれど、これじゃ、仕事に疲れたCOCO。本人よりきれいに描かないと(笑)

他のところもさらっと読ませていただきました。
ヘルムート・バーガー、私も昔、写真集持っていましたよ(笑)。
「地獄に堕ちた勇者ども」が一番好きでした。
by TaekoLovesParis (2007-02-07 20:33) 

yk2

初めまして。taekoさんのトコから来ました。
僕も「シャネル」の絵に反応。
これ、受け取りを拒否されて、負けずにプライドの高いローランサンがひとくさり入れたエピソードは聞いていましたが、実際の絵は初めて見ました。

確かに、あまり幸せそうな感じはしないし淋しい絵ですねぇ。
ちょっと、ローランサンも意地が悪い感じ(^^;。
by yk2 (2007-02-07 23:42) 

ミカエラ

■Taekoさん、こんにちは(^^)
遊びに来て下さってありがとうございます~。

>>睡蓮の部屋に行ったとき、誰もいなくて、拍子抜け。
↑モネの庭園を独り占め状態だったのですね♪ 羨ましいです(;^^)
一日のうちの光が移ろう時々を描いてあって素晴らしかったですよね。
私は小雨の降る午後に行ったのですが、凄い行列でした。
美術館フリーパスのカルトミュゼを持っていたので並びはしませんでしたけれど、
中は大混雑で…今度はTaekoさんを見習って、開門前に並んでリベンジしたいと思います。

>>仕事に疲れたCOCO。
↑なるほど(笑) 外ではバリバリのキャリアウーマンの内情を暴かれてしまったわけですね。
疲れて家に帰って、これを観たら更に疲れてしまいそうですね(;^^)

>>ヘルムート・バーガー、私も昔、写真集持っていましたよ(笑)。
↑おおそうですか(゜∀゜)!
私は数年前、古書検索でやっと見つけて買いましてとても大切な宝物です。
by ミカエラ (2007-02-08 18:46) 

ミカエラ

■yk2さん、はじめまして、こんにちは(^^)
お越しくださってありがとうございます、嬉しいです。

>>負けずにプライドの高いローランサンがひとくさり入れたエピソードは聞いていましたが、
↑そうだったのですか、初めて聞きました。
面白いエピソードありがとうございます♪
ローランサンも気の強い女性だったのですね~、
この頃は肖像画の注文がひっきりなしに入る、売れっ子だったらしいですから、
ちょっと有頂天になっていたかもしれませんね(;^^)

>>ちょっと、ローランサンも意地が悪い感じ(^^;。
↑そうですね~、それにしても、シャネルくらいの人物なら、
他にも肖像画があるでしょうに、意地悪された(笑)ローランサンに
依頼したものが一番有名とは皮肉なものですね。
by ミカエラ (2007-02-08 18:48) 

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