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世界バレエフェスティバル *Aプロ* [バレエ*Ballet]

8月6日(日) 東京文化会館 Aプログラム 3:00開演

3年に一度行われる世界バレエフェスティバルは、毎回世界各国から一流ダンサーたちが一堂に会し競演する夢の祭典で、今年30周年を迎えた11回目の今回は、24ヵ国から35人の舞踏家が集まりました。
このフェスティバルに出演することがダンサーたちのステイタスとなっているそうで、主催者がオファーを心苦しくもお断りすることも多いとか。
ロシア、フランス、英国を始めとする各国の駐日大使によってプログラムに寄せられた賛辞が、この祭典がいかに大規模で重要なものであるのかを物語っています。

                           ****

■ ラ・ファヴォリータ ■
ルシンダ・ダン
マシュー・ローレンス

オーストラリアの200年祭を祝うために創られたバレエだと言うのもうなずける、明るくて華やかな舞台に、色鮮やかな衣装と典雅な音楽が、“祭典”のオープニングに相応しい作品でした。
パ・ド・ドゥを踊ったのはオーストラリアバレエ団のコンビで、情熱的で力強い、そして安定した演技でした。

■ 7月3日 新しい日、新しい人生 ■ (世界初演)
ニコラ・ル・リッシュ

パリ・オペラ座バレエ団のプルミエであるジェレミー・ベランガールが振付したものを、同団のエトワールのリッシュが踊るということに私としてはとても驚きました。
そういえば、オペラ座のディレクターのルフェーヴル女史がインタビューで、振付に興味のある若手ダンサーを応援していて、“ダンサー振付家公演”なるものがあると言っていましたが…それにしてもこの大舞台で、数々の名振付家の作品と肩を並べることができるなんて、ベランガールはかなり才能があるのでしょうね。
それと同時にオペラ座の革新的で柔軟な体制に驚かされたのは私だけでしょうか。
ということを考えていたので、肝心な演技には半分集中できなかったのですが(;^^)、数ヶ月前に観たジークフリート王子よりも、今回のワイルドなリッシュが素敵でした。
彼はノーブルな王子役よりも、クラヴィーゴとかノートルダムとか、クセのある役のほうが魅力的に思えます。

■ 白雪姫 ■
タマラ・ロホ
イナキ・ウルレザーガ

これも初めて観ましたが、音楽が映画音楽みたいで古典とも違うし不思議な感覚でした。
ロホは相変わらず素晴らしいテクニックで観客を魅了しますね~、クールな中にひたむきさも感じていつも感動してしまいます。
そしてどことなく可愛らしい雰囲気も併せ持っていて大好きなバレリーナです(^^)

■ “椿姫” より 第3幕のパ・ド・ドゥ■
ジョエル・ブーローニュ
アレクサンドル・リアブコ

椿姫の全幕を観たことがないのと、オペラや映画は観たけれど何故かあまりよさが分からないのです(;^^)
又、ブーローニュがリアブコよりかなり年上に見えたこともあって、前半は青年が結ばれることの無い女性に狂おしく恋焦がれるゲーテの『ウェルテル』、そして後半は、青年が恋した人妻を手に入れた後、やがて女性を疎ましく思うようになるコンスタンの『アドルフ』に重ねて観ていました。
黒いシンプルな衣装というのも、豪華なオペラというよりも小説の中に入り込んだような気分になった要因でしょうか。

■ “ロミオとジュリエット” より バルコニーのパ・ド・ドゥ ■
ポリーナ・セミオノワ
フリーデマン・フォーゲル

個人的にロミジュリは、このように若いふたりが踊るものが好きです、そしてロミオはブロンド希望(笑)
赤いマントがアクセントになっていて綺麗でしたね♪
マクミラン版のほうが情熱的なのでしたっけ?
Bプロではそれが観られるので、しっかり見比べてこようと思います。

■ エスメラルダ ■
レティシア・オリヴェイラ
ズデネク・コンヴァリーナ

前回のバレエフェスで、ルテステュとマルティネスが踊り、そのノーブルなカップルが非常に神々しくてすっかり魅了された思い出の演目です。
エスメラルダがタンバリンを手や足で打ち鳴らすのが小気味がよくて楽しいですね。

■ “オネーギン” より 第1幕のパ・ド・ドゥ ■
アリーナ・コジョカル
フィリップ・バランキヴィッチ

コジョカルは、前回コレーラとのパ・ド・ドゥが良かったので、その後マトヴィエンコとのロミジュリを取ったのですが残念ながら降板してしまったのでした。
なので今回舞台に登場した瞬間「やっと会えね!コジョカルちゃん!」と心の中で叫んでしまいました(笑)
小さなコジョカルちゃんと、大きなバランキヴィッチ君とのパ・ド・ドゥは、人妻であるタチヤーナが夢の中でオネーギンと愛を語らうというシチュエーションも相まってとても官能的に感じました。
カーテンコール時に、直立したコジョカルちゃんを、バランキエヴィッチが高々とリフトして登場したところも、身長差のある凸凹コンビぶりを自嘲しているかのようで愉快でした。

■ “ジュエルズ” より ダイヤモンド ■
アニエス・ルテステュ
ジョゼ・マルティネス

この二人はパリオペのゴールデンコンビならぬ“プラチナコンビ”とでも呼びたくなるような上品な輝きを放っていてて息を呑むほど美しいですね(うっとり)
ジュエルズはずっと憧れていたのですが、あまり際立った特色がないというか、印象的な場面が思ったよりなかったので残念でした、ちょっと期待しすぎだったのかも知れません。
ルテステュの凛とした顔立ちに加えて、頭を覆うようなティアラを見ていたら、エジプトのネフェルティティ王妃の頭像とかハトシェプスト女王を思い出しました。なので、『ファラオの娘』などとても似合うのではないでしょうか。

■ “白鳥の湖” より 黒鳥のパ・ド・ドゥ ■
イリーナ・ドヴォロヴェンコ
ホセ・カレーニョ

私が一番好きなパ・ド・ドゥです(^^) まず音楽が好きなんですよね~、それからジークフリート王子がオディールに騙されて惑わされているという設定も好みです(サド目線)
そして白鳥という動物的な仕草も独特で幻想的ですね、その最たるものの『瀕死の白鳥』にはいつも涙してしまいます。
ところで、ホセさん@ジークフリートは、女性に惑わされているというよりも、ロットバルトの一味みたいな悪魔的なムードを醸し出しているようにみえましたから、ガラでオディールを踊ったらさぞかし嵌るのではないでしょうかねえ(笑)

■ 扉は必ず… ■
オレリー・デュポン
マニュエル・ルグリ

舞台に二人の姿が現れたとき、オレリーのロココな衣装にブーシェの絵画を思い浮かべましたが、フラゴナールの『かんぬき』に着想を得て振付されたものだそうです。
絵の人物と全く同じポーズをとったり、女性の黄色いドレス、男性の薄手の衣服、光沢のあるベットシーツに重厚な赤いカーテンまで、『かんぬき』とそっくりでしたので、インスピレーションを受けて創られたというよりも、絵画の中の世界そのままが繰り広げられているようで、私にはとても嬉しかったです。
時間の流れが進むだけでなく、過去へさかのぼっていくようにも見えた作品でした。

■ 眠れる森の美女 ■
マイヤ・マッカテリ
デヴィッド・マッカテリ

彼らはグルジア共和国出身の兄妹(姉弟?)だそうで、とても美しい二人でした。
マイヤの方はエキゾチックな香りのする美女ですので、ラ・バヤデールを踊ったら素敵でしょうね♪
デヴィッドの方は英国ロイヤルバレエに所属しているそうです。
今回初めて観たダンサーの中では一番興味を惹かれた人なので、公演があったら是非行きたいです。
Bプロではラブラブなロミジュリを兄妹で踊るなんて!ワクワクしてしかたがありません(≧▽≦)

■ コンティニウム ■
ルシンダ・ダン
マシュー・ローレンス

衣装や音楽もさして特徴がなくて、踊りもメリハリがあまりなかったので、私にはあまり良さが分かりませんでした…(とほほ)

■ ライモンダ ■
ガリーナ・ステパネンコ
アンドレイ・メルクーリエフ

独特の手を打つ仕草が江戸っ子っぽくて、それをまたステパネンコがやると見事に嵌っていて面白いです(^^)
ウヴァーロフの代わりで踊ったメルクーリエフは見るからに“ロシアのダンサー”という感じで、何故そう感じるのか考えてみたのですが、ヘアスタイルとメイクのせいでしょうかね…上手く説明がつきません。
ヴァリエーションでは音も無くまさしく“舞って”いて素晴らしかったですね、彼は11月にマリンスキーで来日しますので都合が付けば公演に行きたいです。

■ 春の声 ■
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー

これは、振付・演出・音楽が分かりやすくてとても気に入りました。
コボーにリフトされて花びらを撒きながら登場するコジョカルちゃんは“妖精”にピッタリですね(*^^*)
大好きはボッティチェリの『春』を思わせる楽園のような世界で忘れがたい作品となりました。

■ カルメン ■
アレッサンドラ・フェリ
ロバート・テューズリー

カルメンの漆黒のショートへアにレオタード姿が蠱惑的だし新鮮でした。
スペインのというより、アルゼンチンタンゴをみているようでもありました、そのような振付箇所もありましたし。
テューズリーは『マノン』でもそうでしたが、素直で優しそうな雰囲気が女性に翻弄される役があっているなと思います。
カルメンは物語りもドランチックで面白いので、いつか全幕で観てみたいです。

■ TWO ■
シルヴィ・ギエム

普段、コンテンポラリーの良さがあまりよく分からない私ですが、これは良かった!
本当に素晴らしかったです。
TWOというタイトルや、ギエムのみつ編みにした長い髪から、霊との交信を行う巫女やシャーマンをイメージしたように思いました。
例えば円ではなくて、正方形のスポットライトの中で踊るというのも印象的だし、ライトが手足の先に当たるとまるで火がついているようにに見える演出効果が斬新で、マラーホフの『コート』を観たときのような驚きと感動に包まれました…ギエムってカッコイイ… (今頃~~)

■ ベジャールさんとの出会い ■
ジル・ロマン

なんだかとてもミステリアスなので、私生活を知るべくできることならお友達になりたい…だけど話が合わないだろうな~と思われるジル・ロマン(笑) の演技は前回の『アダージェット』が素敵だったので楽しみでした。
竪琴と自分の影が大きく映し出されたステージで踊る演出とか、音楽もポピュラーなものだし分かりやすくて、しかし幻想的で美しい舞台でした。
あるオペラ座のダンサーが「鏡がない時は、自分の影を見ながらレッスンする。」と言っていましたが影もとても美しい…。
きっと彼は自分の体の隅々に加えて、自分の影までも知り尽くしているのであろうと思うと、ナルチズムも感じる演技でした。

■ “マノン” より 沼地のパ・ド・ドゥ ■
ディアナ・ヴィシニョーワ
ウラジーミル・マラーホフ

マラーホフ王子は久々に見ましたが、相変わらず優美で、哀傷を表現するのが上手いですよね。
今回もまた、喉の奥が熱くなるというのか熱いものがこみ上げてくる素晴らしいパ・ド・ドゥを見せてくれました。
カーテンコール時でさえも、余韻が漂っているのからすると、彼の元々の人柄がたおやかなのだろうと思います。
アクロバティックな技の連続なのに、悲しみを誘う流れるような演技は難しいのではないでしょうか。

■ ドン・キホーテ ■
ヴィエングセイ・ヴァルデス
ロメル・フロメタ

二人はキューバ国立バレエのコンビで、「バレエはロシアやヨーロッパだけのものじゃないのよ!」とでも言っているかのような気迫に満ちた踊りでした。
ヴァルデスはポワントで長い間バランスをとるなどして、会場から割れんばかりの拍手を浴びていましたね。
毎回必ず踊られてきた演目ですし、名ダンサーが数々の伝説を残してきたことを考えると、きっとかなりのプレッシャーもあったことでしょう。
しかしそれを感じさせない、自信と力強さにあふれた素晴らしい演技だったと思います。
会場全体が、そして私も大役を終えた二人に、心からの拍手を贈りました(^^)


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mami

ミカエラさん、こんばんは。
私もAプロだけ観てきました。久しぶりのバレエでしたが、まさに満腹~という感じでしたね。

そうそう、「扉は必ず…」はこの絵!フラゴナールだったんですね!絶対このポーズは見たことある!とずっと気になっていましたが、画集に見あたらず、悶々としていました(プログラム買えよ~、ですね。)

私はやっぱりギエムに感動しました。一人別の次元を行ってる感じでしたね。彼女はどこまで進化するのでしょう。

TBさせていただきますね。
by mami (2006-08-09 23:48) 

ミカエラ

■mamiさん、こんにちは♪

バレエのお話ができて嬉しいです~(^^)
ほんと、華麗な競演におなかいっぱいでしたね(笑)

>>絶対このポーズは見たことある!とずっと気になっていましたが、
↑ キリアンさん、分かりやすかったですね~(笑)
今度は是非フラゴラナールの『内緒の接吻』(The stolen kiss)で作品を作って欲しいです。
http://www.nga.gov/exhibitions/2003/genre/158-107.htm

>>私はやっぱりギエムに感動しました。一人別の次元を行ってる感じでしたね
↑ 皆さん、絶賛されてますよね、ギエムの技量と演出効果が見事に合致した素晴らしい作品でした。
Bプロでは、椿姫をしっとりと、しかし情熱的に踊っていて、こちらもため息が出るような素敵な演技でしたよ~(うっとり)

TBもありがとうございました、後ほど私もお伺いしますね(^^)
by ミカエラ (2006-08-10 14:03) 

豆酢

ミカエラさんこんばんは!
バレエは生では全く観たことがありません…が、ミカエラさんの記事を拝読すると、今すぐにでも観にいきたいですわ。でも現実が…とほほ。

バレエが主となる映画では、「赤い靴」、最近作の「バレエ・カンパニー」が大変良かったです。特に「赤い靴」!ん十年前の作品とは思えないほど、幻想的な魅惑に満ちたステージの模様が映像で再現されており、鳥肌が立つほどすばらしかったです。これを実際に生の舞台で観られたらすごいだろうなー。ええ、数年先には必ずや舞台で鑑賞を実現したいです。
ちなみにご紹介くださったダンサーの中で、かろうじて知っていた方は、シルヴィ・ギエムさんと、コジョカルちゃん、マラーホフ先生、アレッサンドラ・フェリさんです。
by 豆酢 (2006-08-10 22:30) 

ミカエラ

■豆酢さん、こんばんは(^^)

帰省から戻られたのですね、おかえりなさいませ~。
子豆ちゃんたちと、楽しい夏休みを過ごされて充電されましたでしょうか(^^)

バレエは嵌ると大変ですよ~、あれもこれも観たくなってお金もかかりますし…。
勿論、生の舞台は興奮度&感動度が違いますけれど、DVDもそれはそれで、人物の表情が細かいところまで見られるなど良さもあると思います。

おや、『バレエカンパニー』良かったですか!
ジェームズ・フランコが出ているのでしたよね、彼は、『スパイダーマン』で素敵だなと思ったので気にはなっていました。

『赤い靴』は知りませんでした、教えて下さってありがとうございます、さっすがは豆酢さんですね~(^。^)
しかし1948年とは古いですね、しかし名作の予感。
あらすじちらっと見ましたが、なんだか涙なくしては見られなさそうですね…。

バレエといえば『ライムライト』もそうですよね、…実は見たことがないのです(;^^)
録画してあるので来週辺り観ようと思ってます。
by ミカエラ (2006-08-11 19:26) 

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