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映画 『エトワール』 と 本 『パリ・オペラ座バレエと街歩き』 [映画 あ行 *Movie]

今週末に、待ちに待った4年に一度のバレエの祭典『世界バレエフェスティバル』へ行くので、その気分を高めるべく、バレエに関する映画を鑑賞しました。

エトワール デラックス版

エトワール デラックス版

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2002/12/21
  • メディア: DVD

*監督、撮影* ニルス・タヴェルニエ
2000年 フランス

*あらすじ*
パリ・オペラ座バレエ団の、ダンサーたちのインタビューや舞台裏を収めたドキュメンタリー。
出演は、マニュエル・ルグリ、ニコラ・ル・リッシュ、オレリー・デュポン、マリ=アニエス・ジロなど。

                         ****

先頃、高い技術と芸術性に心酔した日本公演が記憶に新しい、大好きなパリ・オペラ座バレエ団についてのドキュメンタリーで、私はまだそれほど昔からのファンではないので、名前だけは知っていても、舞台を観たことがないダンサーたちも多く居ましたが、それでもお馴染みの、お気に入りのダンサーの裏舞台を観ることは大きな喜びでした。

バレエ団のダンサーの階級は5つあるのですが、最高位のエトワールから、一番下のカドリーユ、更にはオペラ座学校の生徒たちにまでインタビューをしています。

“口下手なのでダンサーになった、踊ることは自己表現だ”
“踊ることに身を捧げている”
“バレエを生きている、バレエを愛するという言葉では弱すぎる”

エトワールやプルミエなど、頂点を極めた、或いは極めつつあるダンサーたちはそう答えていました。
彼等にとって踊ることは、とてもシンプルな感情で、そしてストイックなものなのですね。
それから印象的だったのは、パリ・オペラ座という世界最高の団員でありスターであるというにもかかわらず、自信に溢れた様子ではなく、自分たちの地位に満足することなく、常に悩み、技術や芸術性を追求しようとする姿でした、実にひたむきなのです。
更に言うと、痛々しさも感じるほどで、ニコラ・ル・リッシュも別のドキュメンタリーで言っていたし、今回の映画の中のダンサー(名前がわからず)も言っていましたが、とにかく舞台に上がる時は激しい恐怖が伴うのだそうです。
そんな、体を酷使するし、精神的にもギリギリの状態の危うさに、私たちは…少なくとも私は美しさを見出して魅了されるのかもしれません。
例えば、ミケランジェロの彫刻『瀕死の奴隷』に、官能を感じるのと似ているでしょうか。

オペラ座バレエの教師たちによれば、“ここでは常に競争の世界であり、弱者の居場所は無い”のだそうです。
バレエ団の中で、ダンサーたちはだいたいが孤独を感じているようで、中には友達が居ると答えた人も居ましたが、私が思うに“皆、仲間だけれど本当に心を許せる親友はいない”といったところでしょうか。
そんなことから、野心をむき出している様子は見受けられないものの、それぞれが競争心を胸に秘めているであろうことが想像できました。

その他、珍しいと思われるコールドバレエ(群舞)のレッスン風景や、通し稽古の様子、いつ出番がくるとも知れない代役たちへのインタビューや、40歳で定年を迎え舞台から去るプラテルが心境を語る場面など、栄光の部分だけではなく、哀切を感じる場面もあってまさしく“オペラ座全体を映し出したかった”という監督の言葉通りの作品だと思います。

又、このDVDには8分ほどの短編フィルムも収録されています。
これはガルニエ宮(オペラ座)に古くから伝わる“オペラ座の怪人伝説”を新たな視点で描いた物語だそうで、現プルミエのジェレミー・ベランガールがビョークの曲にのせて踊っています。
映画やミュージカルの“怪人”を思い描くと肩透かしをくうかと思いますが、私としては幻想的な解釈で面白いなと思いました。
又、オペラ座の客席の下にあたる定期会員客の玄関(と思われる)とはいえ、豪華な空間をステージとして踊るところも珍しいと思うので必見です。

パリ オペラ座バレエと街歩き

パリ オペラ座バレエと街歩き

  • 作者: 加納 雪乃
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本

パリに8年間暮らし、食のライターである著者は、大のオペラ座バレエファンであり、年間60回以上も公演に行くのだそうです。
そんな彼女のオペラ座トップクラスの10人のダンサーへのインタビューは、“エトワールに任命された時の心境”や“休日の過ごし方について”など、あまり堅苦しく難しいものではなく、又、ちょっとミーハーで楽しいものばかりでした。
更にはお気に入りのレストランまで聞き出してくれているのも嬉しかったですね~、そこへ行けば彼らに会えるかも! という夢も広がります(*^^*)

インタビューは、オペラ座のディレクターにまで及び、世界一の伝統を守りつつ、新しい作品を積極的に取り入れていくというバレエ団の方針まで知ることができました、とても貴重ですよね。

その他、最も興味深かったダンサーたちの昇進システムについてや、公演のチケットの取り方や楽しみ方など詳しく載っていてとても参考になります。

バレエについて以外にも、レストランやカフェが紹介されていて、地図も載っていますので旅行にも大活躍しそうですp(^^)q

パリを初めて訪れたのは約6年前で、その時目にした豪奢なガルニエ宮は、私にとっては途方も無く縁遠いものでした。
しかしやがて、バレエを観るようになり、オペラ座バレエを知り、DVDを少しづつ集めて、3度目のパリでガルニエ宮内を見学し、そして数ヶ月前にはようやく日本で公演を観ることができた…というように、どんどんパリ・オペが身近なものになってきました。
本場の公演まであと一歩! …でもなかなか叶わないのですが、いつか必ず行ってみたいです(^^)


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