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パリ、ところどころ。 *ペール・ラシェーズ墓地編* [パリ2007*Paris]

パリ最大の墓地で、最も墓参者が多いと言われるペール・ラシェーズ墓地にて、
私も幾人かのお気に入りの芸術家のお墓参りに行ってまいりました。


この広大な墓地の中でも、最も訪れる人が多いと思われるショパンのお墓。
清楚な女性の彫像は、ショパンの紡ぎだす美しい旋律に酔いしれているようにも見えますね。
私も一輪、お花を供えてきました♪
花瓶に挿した*ピンクの薔薇*がそれです。 図々しくも、ど真ん中に!(笑)


『フレデリック・ショパンの肖像』  ドラクロワ画

本人の遺体はこちらに埋葬されていますが、
心臓だけは、故国ポーランドのワルシャワにある聖十字架教会に葬られているそうです。
パリに来てからは二度と祖国へは帰ることがなかったショパン。。。
理由は謎とされていますが、母国を去らなければならない、
そして母国へ戻ることができないという、何かやむにやまれぬ事情があったそうですね。
パリで華々しい成功を手にしたものの、心はいつも祖国ポーランドとともにあったのだという、
彼の無言の訴えを聞く思いがします。


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こちらは、17世紀、ルイ14世の庇護の下、
『守銭奴』や『人間ぎらい』などの作品で知られる古典派の喜劇作家として、
または俳優としても活躍したモリエールのお墓。

このような高床式(?)のスタイルは珍しいように思いました。
てっぺんに載っているのは植木鉢みたいですが、
こんな高いところのお花の手入れをするのは大変そうです(;^^)
似たような形の奥のお墓は、詩人で寓話文学の傑作を著し、
モリエールのお友達であったという、ラ・フォンテーヌのものだそうで、
帰ってから地図を見返すまできがつきませんでした><
それにしても仲良くお友達と並んで埋葬されているとは!なんだか微笑ましいですね。

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イタリア出身のエコール・ド・パリの画家・モディリアーニのお墓です。
こちらにも薔薇を手向けて参りました。

儚くも36歳という若さで世を去ったモディリアーニの後を追って、
数日後に自ら命を絶ってしまった妻のジャンヌ・エビュテルヌも、
このお墓に一緒に埋葬されているようですね。
地図やガイドブックには記載がありませんが、墓碑にその名があるので間違いないと思います。


『自画像』  『大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ』  モディリアーニ画

果たして二人は、天国で逢うことができたでしょうか…

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各々の個性で彩られたお墓が両脇に立ち並ぶ、街路樹が美しい小路。
立派な霊廟といった風の眼を見張る豪華な造りのもの、
あるいはまた、今はもう誰も訪れる人がないのであろう、
うち棄てられたような憐れを誘う墓標もあるなど様々なのでした。

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1871年のパリ・コミューンで、コミューン派の兵士が銃殺されたという場所である、
“パリ・コミューン兵士の壁”

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19世紀末の唯美主義文学の代表的存在であり、
『ドリアングレイの肖像』や『サロメ』など多くの傑作で知られる、
イギリス人作家のオスカー・ワイルドのお墓です。
今年公開された映画『パリ、ジュテーム』によって、
更に多くの人の知るところとなったことでしょうね。
御多分に洩れず、私も行ってきましたとも~♪(ミ~ハ~)


凄まじいキスマークの数!
かなり大きな墓石なのですが…
このように高いところまで、どうやってつけたのでしょうね(;^^)

ドリアン・グレイの肖像 - The Picture of Drian Gray【講談社英語文庫】

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  • 作者: オスカー ワイルド
  • 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
  • 発売日: 2006/11
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こちらは、フランス人女流画家であるマリー・ローランサンの簡素なお墓。
想像以上に質素な造りだったため、なかなか見つけ出すことができませんでした。
その上、造花のほかは一本もお花が供えられておらず、
ひっそりとして何かとても寂しい感じ。


『二人の少女』  マリー・ロ-ランサン画

私はショパンとモディリアーニの分しか薔薇を買ってこなかったことを、
この時少し後悔したのでした(T_T)

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イタリア生まれで、歌手であり映画俳優でもあったイヴ・モンタンと、
彼の妻で、名女優として名を馳せたシモーヌ・シニョレが仲良く(?!)眠っているお墓。

いろんなものが墓石に雑然と載せられて賑やかな感じが、
モンタンのちょっと困ったような、人懐こい柔和な笑顔を思い起こさせます(^^)

ベスト・ヒット

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  • アーティスト: イブ・モンタン
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 1989/12/01
  • メディア: CD

嘆きのテレーズ

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  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • 発売日: 2003/03/04
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フランス新古典主義の画家ドミニク・アングルのお墓です。
さすがに、フランス画壇の重鎮であったお人であるだけに、
白亜の大理石に胸像を据えてあるところなど風格漂う墓標でした。
花壇にも綺麗にお花が植えてありますね。


『自画像』  『ドーソンヴィル夫人』  アングル画

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こちらは、時の皇帝ナポレオン一世に寵用され多くの肖像画を描いた、
フランス新古典主義の画家であり、また革命家でもあったジャック=ルイ・ダヴィッドのお墓。
青銅製と思われるレリーフがかっこいいのに、色落ちしてしまっているのが残念ですね。
とても大きな石棺が印象的で、4、5人は埋葬できそうです。


『自画像』  『サンベルナール峠を越えるボナパルト』  ダヴィッド画

革命に身を投じ、一時は牢獄へ入っていたこともあったという彼は、
ナポレオン失脚についで王政復古がなされるとベルギーのブリュッセルへ亡命。
その地で無念の客死となるのですが…
主席画家として仕え、とても崇拝していたというナポレオン同じように、
死後にパリへと“凱旋”するとは数奇な運命を感じました。

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地図に名前がないので、どなたのものかわからないのですが、
その個性的な彫刻が素晴らしかったので撮影してきました。

無造作に穿たれた石の間から、人物が生まれ出でいるような作風がロダン風で素敵ですし、
また、墓に取りすがっているようすの女性の姿といい、
全体的に流麗でとても芸術的なデザインです。
やはり何か心に訴えるものがあるのか、私のほかにも足を止めて見入る人や、
スケッチをしている人もいました。

この他、主なところでは、バルザック、ロッシーニ、エディット・ピアフ、マリア・カラス…
などなど錚々たる著名人のお墓が数多くあるのですが、
中でも一番訪れる人が多いというのが、
ドアーズのボーカリストだったジム・モリソンのものだそうで、
熱狂的なファンによって度々その胸像が盗まれてしまうのだとか…。

それは論外だとしましても、ここは故人が安らかに眠る場所なのですから、
マナーを守って静かに見学するべきですよね。
私も撮影するにあたっては、手を合わせて一応お断りを申し上げてから最小限にとどめておいたつもりです。

また、後で片付けて下さる方のことを考えて、
お花はビニールの包装を取ってから手向けたほうがよいと思いました。
尚、日本で売っている旅行案内書だけでは、
この広大な墓地ではそれほど役には立ちませんので、
できれば近所のお店で地図を買って散策するのがオススメです(^^)


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うたのひと

ミカエラさま、ちょうどフランソワのショパンのマズルカを聴いていました。
私もお祈りしました。
ピンクのバラはショパンにぴったりですね♪
by うたのひと (2007-10-23 16:54) 

豆酢

なるほどなあ…。

昔ですが、著名人の死の間際のエピソードばかりを集めたエッセーを読んだことを思いだしました。
”墓地”というと、陰鬱な死の匂いが漂ってきそうですが(^^ゞ、実際には崇高な美すら感じさせるものなのですね。人の生死に対して、厳粛な気持ちになりました。
by 豆酢 (2007-10-23 17:09) 

ストゥーカ

ミカエラさんこんばんは。その節はご心配おかけしました。
いつもながら沢山のきれいなお写真に感心致しております。
わたしもこんなふざけた人間ですが、実はピアノが好きでロマン派を好んで聴いております。ショパンやドビュッシーにはいろいろと謝りたい気分です。

何故かクラシックを聴きたくなるのはこれからの寒い季節が多いのですが、ショパンの悲しげなワルツやマズルカ、幻想曲はその筆頭でして、冬が苦手なわたしは毎年レクイエムでもかけるがごとくこれらの旋律に浸っては、パソコンの前で縮こまっております。
ショパンについては一時期ハマって伝記類を読み漁っていたのですが、ナチスの侵攻を受けた当初のポーランドでは彼の曲を公に演奏することを禁止しており、それは彼の楽曲がおおいに国民の士気を煽る力を秘めていたことを指す。・・・というエピソードを読み、当時の音楽(作曲家)が持つ影響力の大きさに胸を打たれる思いがしました。
彼の心臓をポーランドに持ち帰ったという姉のエピソードも、よく考えると何だか物凄いですね。愛国心なんて他人事のような生活をしているわたしには、何もかもが熱すぎるお話です。

ところでミカエラさん、アラン・ドロンわたしも見ましたよ!トシをとっても顔はあのままでしたね~。ニコラスもきっとオッサン化してもカッコイイに違いないとわたしは踏んでいます。ダーバンさんヨロシク!
by ストゥーカ (2007-10-23 18:29) 

ミカエラ

■うたのひとさん、こんにちは♪

>>ちょうどフランソワのショパンのマズルカを聴いていました
↑ マズルカといえばポーランドの民族舞曲ですから、
ショパンが故郷を想って作ったであろう作品の最たるものでしょうね。
ということで、何か運命的なものを感じて素敵ですね(*^^*)

>>ピンクのバラはショパンにぴったりですね♪
↑そう仰っていただいて嬉しいです!
実は最初は“ショパンには白い薔薇”というイメージがあったのですけれど、
近所のお花屋さんにそれがなかったのでピンクを購入したのでした。
結果的にはよかったな~と思っています♪
by ミカエラ (2007-10-24 15:57) 

ミカエラ

■豆酢さん、こんにちは♪

>>”墓地”というと、陰鬱な死の匂いが漂ってきそうですが(^^ゞ、実際には崇高な美すら感じさせるものなのですね
↑そうなんですよ~、
それぞれ非常に独創的&芸術的な彫刻を施した墓石のものが多くて、
少し大げさに言いますと”彫刻の森”にいるような感じでした。
亡くなってまでも自分の個性を主張していて、
まるで観られることを欲しているかのようなものが多々ありました(@。@)
日本では一族のお墓に入るのが通例ですから文化の違いを感じますよね。
私もお墓に素敵な彫刻を建てたくなってきました…
建てるとしたら、もちろん、ミケランジェロのダヴィデ像のような美青年裸像でございます(笑)
by ミカエラ (2007-10-24 15:59) 

ミカエラ

■ストゥーカさん、こんにちは♪
マグロ漁からお帰りなさいませ~(←しつこい)

この度は、ご退院おめでとうございます。
元気になられて本当によかったですね(^^)

>>わたしもこんなふざけた人間ですが、実はピアノが好きでロマン派を好んで聴いております
↑ぷぷぷ(^m^) 私はストゥーカさんのそのふざけたところ(失礼)が大好きですよ。
淡々と言ってのけるところがとくにツボでして、いつも笑わせていただいております。
それは素晴らしい才能だと思いますので、
これからもますますそのセンスに磨きをかけて頑張って下さいね。

>>ナチスの侵攻を受けた当初のポーランドでは彼の曲を公に演奏することを禁止しており、それは彼の楽曲がおおいに国民の士気を煽る力を秘めていたことを指す。
↑おお、そうなのですか、初めて聞きました><
教えて下さってありがとうございます、お詳しいですね~(尊敬~)
そういえば、ショパンの曲には“軍隊”とか“英雄”とか、それから“革命”のエチュードなんていうのもありますものね、その辺は特に御法度だったでしょうね(;^^)

>>彼の心臓をポーランドに持ち帰ったという姉のエピソードも、よく考えると何だか物凄いですね。
↑そうですよね… 飛行機がまだ無くて旅にはとても時間がかかった時代、
一体どうやって運んだのかしら…と、どうしても不埒な考えに囚われてしまう私です(;^^)

>>ニコラスもきっとオッサン化してもカッコイイに違いないとわたしは踏んでいます。ダーバンさんヨロシク!
↑う~ん、なるほど!
そういえばもうすでに彼は弱冠17にしておっさん化…否、風格が漂っていますものね。
ダーバンのスーツ姿かっこいいでしょうね♪ ついでにマツダのカペラもヨロシク!
by ミカエラ (2007-10-24 16:01) 

Jen

ミカエラさんこんばんは♪

お墓は初登場かしらん?!ヨーロッパってよく教会の中にお墓とかありませんか?ここの下にいるのか・・・となんともいえない気分になります。オスカーワイルドの墓になぜキスマークが?!うーん???あの人ってアチラの・・・ですよね?

あとレッズおめでとうございます。ニュースを聞いたときミカエラさん!って思いました。

ふと見たらベニスに死すのビデオがあったので借りてきました。
by Jen (2007-10-26 20:19) 

ミカエラ

■Jenさん、こんにちは(^^)
お元気でしたか? ちょうどメールを差し上げようと思っていたところでした(ホントよ)

>>ヨーロッパってよく教会の中にお墓とかありませんか?ここの下にいるのか・・・となんともいえない気分になります
↑そうですね~、側廊に石棺が置いてあればまだしも、足元に有る場合もありますよね(;^^)
床全面がお墓という教会が、マルタ島にあるんですよ、
”聖ヨハネ大聖堂”といいまして、一度行ったことがあるのですが、
本当に美しいデザインの墓標ばかりで、踏んづけて歩くのにかなり違和感がありました。
↓こちらでお写真がみられますので、よろしければどうぞご覧になって下さいね♪
http://www.malta-ryugaku.com/baseinfo6.html

>>オスカーワイルドの墓になぜキスマークが?!うーん???あの人ってアチラの・・・ですよね?
↑そうそう、そうなんですよね、私も不思議に思いました(;^^)
まあ、まずまず美男子ですし…誰かが思いつきでやったことが広まったのかなとも思います。

>>あとレッズおめでとうございます。ニュースを聞いたときミカエラさん!って思いました
↑ありがとうございます(T▽T)
日本のクラブチームとしては前人未到の活躍ぶりだというのに、
国内でそれほど大きな話題となっていないのが不満です(プンプン)
決勝戦は観戦に行きますよ~v どうぞ応援ヨロシク!

『ベニスに死す』、ヴィスコンティ監督の傑作ですね。
残酷で美しい毒に酔いしれて下さいませ(*´v`*)
by ミカエラ (2007-10-26 23:39) 

ダフネ

どれもこれも美しいお墓ですね~。お墓というか芸術品みたいです。

>それにしても仲良くお友達と並んで埋葬されているとは

まだず~~~~~と先ですけど、ミカエラさんには並んで埋葬されたいお友達っていますか?(^^)

>オスカーワイルドの墓になぜキスマークが?!うーん???

あら、私はてっきりあっちの方々のキスマークかと見た瞬間に思いました・・・(^_^;)
by ダフネ (2007-10-31 07:37) 

ミカエラ

■ダフネさん、こんにちは(^^)

>>お墓というか芸術品みたいです。
↑そうなんですよ、世に知られた有名人のものでなくても、
意匠を凝らしてあるものがたくさんあって、それぞれが”自己主張”しているようでした。

>>ミカエラさんには並んで埋葬されたいお友達っていますか?(^^)
↑ふむふむそうですねぇ…勿論、お友達は大切にしていますけれど、
“君子の交わり淡き水の如し”ということで、
どんなに仲良しでもあまり一緒に居すぎるとよくないと思いますので、
私はやっぱり家族の傍がいいですね(^^)
でも、学生時代に同じ質問をされたら、「一緒にお墓に入って!」
と友達に詰め寄ったかもしれません(笑)
家族なんかよりも友達が大切と思っていた時期がありませんでしたか?(;^^)

>>あら、私はてっきりあっちの方々のキスマークかと見た瞬間に思いました・・・(^_^;)
↑ええ、私も思いましたとも。 若干名そちらの方々のマークがあるかもしれませんね(笑)
ところでリンクを貼り忘れてしまったのですが、
この墓地の公式サイトでその他のお墓も見ることができます。
もし、お目当ての著名人などいらっしゃいましたらどうぞご覧になってみて下さいね♪
http://www.pere-lachaise.com/perelachaise.php?lang=
by ミカエラ (2007-11-01 16:24) 

kurohani

パリのお墓、名だたる芸術家、作家、音楽家がてんこ盛りですね!オスカー・ワイルドのお墓のキスマーク凄いです(笑)「パリ・ジュテ−ム」のあのエピソードは面白かったですね。でも本当に普通の方々のお墓も個性的で素敵です。ここにはセルジュ・ゲンズブールのお墓はあるのでしょうか?
by kurohani (2007-11-01 22:37) 

ミカエラ

■kurohaniさん、こんにちは♪

>>オスカー・ワイルドのお墓のキスマーク凄いです(笑)
↑パリジュテが公開されてからまた増えたことでしょうね(笑)
このお写真だとよく見えないのですけれど、
彫刻の唇にまでキスマークがついているんですよ(;^^)
パリ、ジュテームのDVDも発売されたようですね~。
そういえば、kurohaniさんもご覧になったと仰っていた『パリところどころ』、
昨夜TVで放送していましたね、録画しましたので観るのが楽しみです。

>>ここにはセルジュ・ゲンズブールのお墓はあるのでしょうか?
↑シャルロット・ゲンズブールのお父様ですよね、
パリで2番目に大きいモンパルナス墓地に埋葬されているそうで、
今でも沢山の方々が訪れるようですよ(^^)
その墓地には、ブランクーシとかザッキンなんていう近代の彫刻家のお墓や、
モニュメントなどがあるそうですから、kurohaniさんも気に入られるかもしれませんね。
by ミカエラ (2007-11-02 17:51) 

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