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映画 『ラヴェンダーの咲く庭で』 [映画 ら行 *Movie]

ラヴェンダーの咲く庭で 特別版 (初回限定生産スペシャルアロマパッケージ)

ラヴェンダーの咲く庭で 特別版 (初回限定生産スペシャルアロマパッケージ)

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2006/01/27
  • メディア: DVD

*監督* チャールズ・ダンス
*脚本* チャールズ・ダンス
*原作* ウィリアム・J・ロック
*音楽* ナイジェル・ヘス
*出演* ジュディ・デンチ as アーシュラ
      マギー・スミス as ジャネット
      ダニエル・ブリュール as アンドレア
2004年 イギリス

*あらすじ*
1936年のイギリス、コーンウォールの小さな村で、アーシュラとジャネットの老齢の姉妹は、
両親が残してくれた、美しい海岸を見下ろすことが出来る屋敷でつつましく、
静かで穏やかな日々を暮らしていました。
ある嵐の翌朝、ふたりは岩礁に打ち上げられている一人の青年を発見し、
彼を家に連れ帰り介抱することにします。
ポーランドから来たというその異国の青年アンドレアの傷も癒え始めたころ、
彼にはヴァイオリンの才能があることがわかり、
その美しい調べによって姉妹を、そして村人たちを魅了してゆくのでした。
これからも、このうえない幸せな生活が続くと思われたとき、
アンドレアの才能を見出し、近づこうとする女流画家オルガが現れ、
アンドレアを失うかもしれないという恐れが、姉妹の胸を襲うのでした。。。

ヴァイオリン演奏は、アカデミー賞受賞作品である『レッド・ヴァイオリン』でも
ソロ・ヴァイオリンを担当した ジュシュア・ベル。

□■ネタバレしてます、ご注意ください■□

原題はLadies in Lavenderということで、
二人の姉妹に焦点をあてたものになっているようですけれど、
私はこの邦題が、とてもよいと思います。
ラヴェンダーの咲く庭で… と言葉の続きがあるような余韻を残すような、
日本語独特の情緒があって、そして、このタイトルを目にするたびに、
アンドレアが庭でヴァイオリンを弾くのを、楽しげに見ていた二人の姉妹の、
幸せだったひとときの情景を、懐かしく思い浮かべることができるのですから。。。

数年前、この映画の公開時に、世間を騒がせていた”ピアノマン”の騒動を、
髣髴とさせるように、この物語の青年も海岸で、
ある朝、身元もわからず気を失った状態で発見されます。
その後のアンドレアの回想の様子から、
どうやら嵐の海で難破して漂着したというのは分かりますが、
何の目的で、どこへいこうとしていたのかには一切触れられていません。
過去を思い出したり苦悩の影を見せないところを見ると、
何か希望に胸躍らせて船出した後、遭難したとも考えられなくもないですね。

アーシュラとジャネットの姉妹が浜辺でこの青年を見つけたとき、
アーシュラは彼に一目で恋心を抱いたのですね。
事態をすぐに把握して、テキパキと成すべきことにとりかかるジャネットに比べて、
アーシュラはただ放心状態のようになってしまっていたのは、恋による微熱のせいかしら♪
それはともかく、どうやら、普段から二人の姉妹の性格は、
しっかり者のジャネットと、おっとりしているアーシュラ という図になっていうようで、
したがってジャネットが姉ということになっている、
というか多くの皆さんがそのような見解みたいですね。
しかし、実はその逆だった!というのもまた面白いかも(^m^)

アーシュラにとっては、孫のような年齢の男性に恋してしまったという
恥じらいと戸惑いを感じながらも、そばに居たい、触れてみたいという気持ちとか、
壊れ物を扱うかのように、とてもデリケートに、時には恐る恐る接する様子など、
恋する女性の感情を丁寧に描きだしていて素晴らしいです。
そしてまた恋ゆえに、例えば年甲斐も無く突然着飾ったりするなんていうことがなくて、
いつものままでいるところが、見苦しくなくてよかったですね、
…実はその辺がちょっと心配だったのです(笑)
けれど、青年に対してどこか恐れを持って畏敬の念を抱いている感じ。。。
それはやはり、どんなに願っても手に入れることができない若さと美貌への崇敬のあらわれなのでしょうか。

やがてアンドレアの傷も癒えて、姉妹との生活や村人たちに溶け込んできた頃、
姉妹が思わず口をついて言ってしまったところの”魔女”なるある女性が現れ、
穏やかな家族の生活に暗雲がたちこめます。
隣家に住む彼女はアンドレアのヴァイオリンに、卓越した才能を見出し近づいてきたのでした。
この”魔女”は、著名なポーランドのヴァイオリニストで、アンドレアも憧れているという、
ボリス・ダニロフの妹オルガ・ダニロフと名乗る人物で、アンドレアの母国語と同じ言語を話し
画家であるという彼女は、肖像画を描きたいとの理由で彼を家へ招き入れるなど、
急速に打ち解けてゆくのでした。


↑ ジャネット(マギー・スミス)の表情に注目(笑)

この、姉妹に”魔女”と言わしめたオルガはナターシャ・マケルホーンが演じていまして、
彼女はケイト・ウィンスレッドに似ていて、意志の強そうな綺麗な女性ですよね。
映画『ダロウェイ夫人』で夫人の若き頃を演じたのを見たことがあります。
しかし私にとっても彼女は本当~に魔女にみえましたわ(`ε´)
けれども、アンドレアの誘惑(?)に乗らないところがよかった。
あくまでも、兄に逢わせ、その才能を更に伸ばすために近づいたのであるという姿勢を、
少なくとも劇中では貫いていてホッとしました(笑)

そして遂に、オルガに誘われるがままに、アンドレアは憧れの人であるダニロフに逢うべく、
ロンドンへと向かいます…姉妹には別れの言葉も残さずに。。。
あまりに突然の別れに泣き出すアーシュラと、思わず彼女を胸に抱いたジャネットに、
私だけでなくきっと多くの皆さんも涙したことでしょう(T_T)
そう、彼女たちの姉妹愛もこの映画の重要な見所のひとつですよね。
魔女から届いた「アンドレアを家へ招きたい」という手紙を黙って燃やしてしまうあたり、
アーシュラの恋する気持ちを気遣って、自らも理性を失ってしまったと思われるジャネットの姉心(?)にも泣けました。

もしかして、ラストは『北京ヴァイオリン』のように、
アンドレアが二人の元へ戻ってくるとか!(゜∀゜)?
という私の淡い期待と想像はもろくも崩れ去り…
タキシードに身を包み、まばゆい演奏会の舞台に立った青年は、二人の老姉妹の見守る中、
大勢の観客の前でソロ演奏を見事に成しえたのでした。
姉妹とアンドレアは演奏後のパーティー会場で再会するのですが、
このとき、アンドレアの英会話がとてもスムーズで、いかにもその世界に溶け込んでしまっているという感じをさらりと演出していましたね。
この場面が、この青年は初めから自分たちとは別の世界に生きる運命にあった人である、
と姉妹が悟った瞬間だったのではないでしょうか。
そしてアンドレアを、私たちのことはいいからと、彼を呼んでいる関係者の元へ行かせるあたり、
まるで、親が子どもを思う気持ちと態度のようにみえました。

やがて時が、失なった恋の痛手を忘れさせ、まるで息子を一人前に育て旅立たせた母親のように、
寂しいけれど嬉しくもあるという爽やかな気持ちがふたりを包んでくれたらいいなと、
姉妹の後姿を見送りながら思うのでありました(^^)

ラヴェンダーの咲く庭で

ラヴェンダーの咲く庭で

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2005/05/25
  • メディア: CD


ダニエル・ブリュールといえば、『青い棘』も素敵な作品でした♪

青い棘

青い棘

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • 発売日: 2006/04/07
  • メディア: DVD


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コメント 6

うたのひと

ぜひ探して見てみたいです^^
by うたのひと (2007-10-14 19:19) 

ミカエラ

■うたのひとさん、こんにちは(^^)
いつもありがとうございます~。

ストーリーや映像も素敵なのですけれど、
ジョシュア・ベルが吹き替えで演奏している、
ヴァイオリンの音色も胸にグッときますよ~♪
音楽家でいらっしゃる うとのひとさんにオススメでございます。
とても評判がいいので多分レンタル店にあると思いますので、
ぜひご覧になってみて下さいね(^o^)
by ミカエラ (2007-10-15 17:00) 

豆酢

ううううう(T_T)

男子の母である私にとって、こういうストーリーは胸に堪えるものがあります。
まだ未見ですが、鑑賞すればきっと、老姉妹に自分を重ね合わせてしまうでしょうね。子供はいつかは巣立つものですもんね…。
でも今のところ、そんな日が来ることすら信じられませんが…(-_-;)
by 豆酢 (2007-10-16 22:18) 

ミカエラ

■豆酢さん、こんにちは(^^)

>>男子の母である私にとって、こういうストーリーは胸に堪えるものがあります
↑およよ、豆酢さん泣かないで(T。T) 
途中までは青年アンドレアに恋する乙女なアーシュラでしたけれど、
最後は母親のような愛情を持って青年を見守っているようにも見えました。

>>老姉妹に自分を重ね合わせてしまうでしょうね
↑そうなのですよ、私もとめどなく涙してしまったのは、
そのせいなんだろうと思います。。。なんだか認めたくないのですけれど(笑)
勿論皆さんにオススメの映画なのですが、やはり特に女性に見ていただきたいです(^^)

>>でも今のところ、そんな日が来ることすら信じられませんが…(-_-;)
↑あはは(^▽^)
毎日”ちっちゃな怪獣くん”たちに手を焼いている豆酢さんの様子が伝わってきました(笑)
最近急に寒くなりだしましたので、お体に気をつけてお過ごし下さいね。
by ミカエラ (2007-10-17 16:32) 

カポ

こんばんは~、コメントとTBをありがとうございました。
上の豆酢さんのコメントに思わず頬が緩んでしまいました~。
でも豆酢さんは 老姉妹に自分を重ね合わせるのはまだ早いのでは??(笑)
うちにも3人も大きな息子が居ますが 豆酢さんと私の違いは 私はアーシュラの気持ちでこの映画を観ちゃったことかしら!?
もぉ、アーシュラの気持ちが分り過ぎるほど分るのです。(苦笑)
幾つになっても綺麗な男性には憧れます、恋もします、胸も焦がします・・。
アーシュラは叶わない恋と知りつつ、ときめきを押さえる事は出来なかったのね。
切ないけど、素敵なことだと思います。

ミカエラさんも魔女に見えちゃったというオルガのナターシャ・マケルホーンさんは 本当に美しい人ですね。
私も、アーシュラの気分だったのでハラハラしながら彼女とアンドレイの関係を観ていました。
ナターシャはハリウッド映画にたくさん出ていて、確かに魔女っぽい悪女の役柄が多い人ですね。

一番上に書かれているタイトルに関するミカエラさんのコメントが素敵!!
>>ラヴェンダーの咲く庭で… と言葉の続きがあるような余韻を残すような・・・
本当、画像にもある二人がアンドレイの演奏に拍手を送るシーンは忘れられないシーンのひとつです。
ラヴェンダーの香りに包まれて聴くヴァイオリンの音色・・、格別でしょうね♪
「青い棘」も音楽が素晴らしい作品でした。
ブリュール君、良い作品に恵まれていますよね~
by カポ (2007-10-20 00:24) 

ミカエラ

■カポさん、こんにちは♪
お返事が遅くなりましてすみませんでしたm(_ _)m

>>うちにも3人も大きな息子が居ますが
↑おお~、カポさんには息子さんがいらっしゃるとは知っておりましたが、
三兄弟のお母さんでしたか!(尊敬~)
私も三人息子が欲しいです。そしたら、とん吉、ちん平、かん太と命名しますわ(大嘘)
私の親戚にも三人兄弟の母親である人がいるのですが、
とにかく精神的に強くてしっかり者でして、
成長した三人の息子を眺めるたびに、偉大さを感じて憧れてしまいます。

>>本当、画像にもある二人がアンドレイの演奏に拍手を送るシーンは忘れられないシーンのひとつです。
↑ほんとに僅かな幸せなひとときでしたよね(p。;)
それなのに、あの魔女め~~~(怨)
それからアンドレイがベッドからおりて、初めてそのヴァイオリンの腕前を披露する場面も、こちらはそのヒミツを知っているだけにワクワクしました(笑)
アーシュラのあの驚きの表情も可愛らしくて…さらに恋心に拍車をかけてしまったでしょうね。
カポさんのレビューを拝読させていただいたおかげで、
今回このような素敵な映画に巡り合うことができましたので、
カポさんには感謝感謝でございます。ありがとうございました☆

そうそう、ルネ・クレマン監督の『居酒屋』も観ましたよ~。
あの可憐なマリア・シェルが、自分勝手な男どもに翻弄されて、
やがては たくましいおかみさんになっていくところが壮絶でしたね。
ジェジェ様出演作品はそれほどでもないですけれど、
クレマン監督作品は、『禁じられた遊び』といい今回の映画といい、
やり場の無いやるせなさと悲しみが残りますね(;^^)
by ミカエラ (2007-10-22 16:08) 

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