ウィーン美術アカデミー名品展 [美術*Art]
ウィーン美術アカデミーは、1726年に設立されたヨーロッパ最古の美術学校で、
その付属絵画館は、ウィーン美術史美術館に次ぐ規模を誇るといいます。
今回展示されているのは、女帝マリア・テレジアに仕えたランベルク伯爵(1740~1822)から
遺贈された絵画コレクションを中心とした作品群です。
レンブラント 『若い女性の肖像』 1632年
こめかみや、手の甲の血管の青さまで描かれていて見事です。
少し恐ろしくなるくらいでした。
じっと眺めていると、レンブラントの『夜警』や『ダナエ』など、薬品を浴びせられたり、
破壊されたというエピソードをふと思い出しました。
精神が異常に細やかな人にとっては、何か鬼気迫るものがあったのでしょう。
そんな気持ちが、なんとなく分かるような気がします。
頭や袖口のシフォンの飾りもリアルです。
レンブラントって、こんなに繊細なタッチでしたっけ(@_@)
依頼主に、そうとうお金を積まれたのでしょうか…なんて邪推したりして(;^^)
私にとっては、レンブラントの別の側面をうかがい知ることができて、
意義のある一枚でした。
ルーカス・クラナハ 『不釣合いなカップル』 1531年
…別に不釣合いには見えないのですが…それって私だけでしょうか?
この絵には“老いは愚行から身を守らず”という意味が込められているのだそうで、
よく見ると、女性がおじいさんのポケットに手を突っ込んでいて、
皮肉たっぷりの作品です。
ルーカス・クラナハの工房 『聖ドロテア』 1530年頃
工房作だからなのか、明らかに服のビロードの質感が、
上の作品に劣りますよね。
私は、クラナハの描く、この独特の不気味な微笑が大好きです。
また、クラナハの絵は、いつも黒い簡素な額に入っているのですよね、
そんなところも、おどろおどろしさに拍車をかけていて魅了されてしまいます。
今回は、これらの作品の他にもう一点クラナハの絵が見られて幸せでした(^^)
ヴァン・ダイク 『15歳頃の自画像』 1614年頃
後に英国の宮廷画家として重用されるという未来を予感させる、
もしくは予言しているような、自信に満ち溢れた眼差しが素敵です!
ニコラス・マース 『アドニスの装いの少年の肖像』 1670年頃
レンブラントに師事したというマースの作品。
神話の人物になりきって、嬉しさが抑えきれないという感情が、
口元や紅潮した頬やえくぼに表れていて、子供らしくて可愛らしいですね(*^^*)
その興奮状態を悟ったのか、つられてはしゃいでいるワンちゃんも微笑ましいです。
グアルディ 『サン・マルコ広場と時計塔』
ヴェネツィアの風景画は、この他にも何点か展示してありました。
この作品かどうかはハッキリしませんが、ランベルク伯爵の街景画のコレクションは、
当時の旅行案内書に掲載されるほど有名だったそうです。
単に、邸宅に飾るだけではなく、そんな用途にも使われていたとは初めて知りました。
マイテンス 『女帝マリア・テレジアの肖像』
この写真は小さいので素晴らしさを十分にお伝えできなくて残念です><
特に、王冠、耳飾、胸元の飾りのダイヤモンドの描写に驚きました。
うっすらと青味がかっていて、透明感と輝きが見事に表現されています。
ここまで素晴らしく描かれた宝石は、見たことがないかも知れません。
そして、首と袖のレースも重厚感があって、いかにも上質そうでした。
それから、肌もとても綺麗で、特に手なんてふっくらとしていて、まるで赤ちゃんのようなのです。
そう若い時の肖像ではないのでしょうに、ここまで手が美しいとは…
庶民の女性がする苦労をされていない証拠ですね(;^^)
新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で11月12日(日)まで開催中です。
常設のゴッホの『ひまわり』や、セザンヌやゴーギャン、
そしていくつか東郷青児さんの作品も見ることができました。
皆さんも、今週末、ぜひ鑑賞に行かれてみてはいかかでしょうか(^^)
さっそく@遊びに来ていただいて@@@ありがとうございます。。。
わたしも@ミカエラ様のブログ気に入りました。
又遊びに来ますね。。。
by megumi (2006-11-10 21:34)
■megumiさん、こんにちは(^^)
megumiさんのブログには、ファッショナブルな写真や絵がたくさん飾ってあって、
とても素敵です。
ファッションの写真や絵画を観るのが好きなので、
オシャレなブログ様に出会えて嬉しかったです。
また寄らせていただきますね♪
by ミカエラ (2006-11-12 11:23)
ミカエラさん、こんばんは。
私もクラナハの描く女の人、結構好きです。口元だけで、目は笑ってないんですよね~。ちょっと怖い(笑)。
レンブラントの肖像画はモデルの内面まで見透かしているような鋭さがありますよね。ゴヤもそうですが、モデルによっては嫌がった人もいたかもしれません。
こちらからもTBさせていただきます☆
by mami (2006-11-12 23:49)
■mamiさん、こんにちは(^^)
コメントとTBもありがとうございます~。
>>私もクラナハの描く女の人、結構好きです。口元だけで、目は笑ってないんですよね~。ちょっと怖い(笑)。
↑そうですね、mamiさんのブログで仰っていたように、“狐目”ですよね(笑)
…う~ん、なるほど、だから不気味で怖いのか! と、今、気がつきました(;^^)
いつかは、更に怖そうなウィーン美術史美術館の『ユディット』、絶対観たいです。
>>ゴヤもそうですが、モデルによっては嫌がった人もいたかもしれません。
↑ゴヤは女性の肖像画に顔のシミまで描き込んでしまったりして、痛烈な場合がありますよね。
私だったら、顔は写実的で体(洋服など)が幻想的に描くクリムトに肖像画を依頼したいです(^^)
by ミカエラ (2006-11-13 18:27)
ミカエラさん、はじめまして。
私も先日駆け込みでみてきました。
クラナハの描く女性って(特に裸体画)、イタリアやフランスのアカデミックな理想的人体表現と違って、妙なリアリティありますよね。小さい胸にポッコリお腹みたいな。
北方ルネサンスの特徴かもしれませんが、かえってエロティックだったり。
でも。
私もクラナハ好きです!
Tバックもさせていただきました。変なタイトルでごめんなさい。
by ヒマロ (2006-11-14 20:20)
■ヒマロさん、はじめまして、こんにちは(^^)
ご訪問ありがとうございます。
>>小さい胸にポッコリお腹みたいな。
↑そうですね~、この展覧会にも展示してありましたけれど、
ルーベンスの描く豊満な肉体とは対照的でしたね、比べてみると面白いです。
クラナハの裸体画は当時とても人気があったそうですから、
ヒマロさんや私たちと同じく、こちらのほうがエロティックに感じた人々も
沢山いたのでしょうね(*^^*)
近代ではバルテュスなんかもこの手の裸体を描いてますよね、なにか似たものを感じます。
記事に書き忘れてしまったのですが、恐ろしいほど緻密な静物画も展示されていて、
さすがは“美術学校”のコレクションだなと感心しました。
TBもありがとうございました、私も後ほどさせていただきますので、
どうぞよろしくお願いいたします♪
by ミカエラ (2006-11-15 12:12)