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インテリア考 [美術*Art]

子どもが生まれたのを機に、新居を購入することになりました。

友人や親戚は9割がた一戸建なのですけれど、私はマンションを買うことにしました。
なぜなら、いつかは私が実家を管理しなければならなくなるので、
土地はいらないかと…。

しかし、実は一番の理由は、お庭をいじるのが大の苦手なのです(;^^)
勿論、散策したり眺めているのは好きなのですが…
鉢植えを触るのもイヤなのです…(重症)

おおまかなところは職人さんにお任せできても、
やはり細かい部分は自分で手入れをしないとならないですよね。
将来、実家の庭を維持しなければならない日が来ると思うと、本当に憂鬱です(T_T)
なんとか、克服する手立てはないのものでしょうか。。。

ということで、ここ数ヶ月間で色々と物件を探し廻りました。
耐震、セキュリティー、収納は言わずもがな、その他特にこだわりたいポイントは…

①角住戸
②現在の住まいと同じ市内で最寄り駅から徒歩10分圏内
③間取りと広さ
④オール電化(エコ&省エネ♪)
⑤眺望

五番目の“眺望”については、最初は全くこだわっていなかったのですが、
数件のモデルルームや実際のお部屋を見学しているうちに、
マンションならではの見晴らしの良さに、
魅力を感じるようになってきてしまいました。

あれこれ見ていくと、段々と欲が出てきてしまうものですよね(;^^)

ということで、下を見るのが恐ろしいほどの高層階を契約してしまいました。
美しいお庭を持たない代わりに、夜景や富士山ビュ~を楽しみたいと思います♪

やっと、お気に入りのマンション&お部屋が決まったと思ったら、
今度はインテリアを考えなければなりません。
まずは、玄関からということで、壁面に飾る絵画を探すことにしました(^^)

ドアを開けると、リビングに繋がる廊下がある間取りではなく、壁が出迎える格好なので、
それを利用して来客者の印象に残る、インパクトのある絵を飾りたいと思いました。
お花の絵とか風景画ではなく、人物を描いたものを飾るつもりです。

まず初めに浮かんだのが、フラ・アンジェリコの天使です。

blog14.jpg
『受胎告知』 フラ・アンジェリコ画

ドアを開けた途端、清々しい空気が漂ってきて、優しい気持ちになれそうですよね。
疲れて帰って来たときにホッとできそうです(*´v`*)

しかし、特に敬虔な信徒でもないのに、このような絵をドドーンと飾ってよいものか…と、
なにか申し訳ない気もします。







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美少年、管見。 [美術*Art]

美術に関して造詣深く、いつもお勉強させていただいておりますlapisさんのブログ、
カイエ様の 『美少年展』 (←是非、ご覧ください(^^))
という素敵な企画にあやかりまして、
私も遅ればせながら、お気に入りの美少年像を列挙してみました。


『カルロス3世』  ジャン・ランク画  プラド美術館蔵
“美少年”と聞いて直ちに思い出すのがこの肖像です。
なんて利発そうで素直そうなお顔立ち! 
それにとても明るくて人懐っこそうなお人柄が滲み出ているころから、
きっと皆々に愛されたであろうことが容易に想像できます。
事実、後に王位に就いてからも、道端で出会う人々には、身分の分け隔てなく、
帽子をとって挨拶を交わしたなどという逸話が残っているほど、
とても親しみやすい方だったようです。
晩年の可愛らしいおじちゃんになった姿、また、彼のお兄さんのフェルナンド6世も、
涼やかな面立ちのかなりの美少年でして、それらの肖像画が、
私のホムペに展示してありますので、こちら からぜひどうぞご覧になってみて下さいませ♪

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ルドンの黒 ~目をとじると見えてくる異形の友人たち~ [美術*Art]

Bunkamuraザ・ミュージアムで、
『ルドンの黒~目をとじると見えてくる異形の友人たち』を観てきました。

黒を基調とした館内は、ひんやりとしていて、
ポロンポロンというピアノの音色が、
どこからともなく聴こえて来るところもなんだか心地よくて、
外界の息もつけぬような熱気をひととき忘れさせてくれたのでした。。。

ルドンは印象派のモネやルノワールと同時代の画家である。
印象派の画家たちが大気現象の変化ともに刻々とその様を変える自然界の
色彩の変化の妙に魅せられ、現実界の昼の光の表現に没頭していたとき、
ルドンは対照的に光と影の対比が心理的不安を醸し出す黒一色の世界に沈潜していた。

~ 作品カタログより抜粋 ~

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澁澤龍彦 ~幻想美術館~ [美術*Art]

小説家、フランス文学者、そして独自の好みと美意識による美術エッセイを残したことで知られる澁澤龍彦さんの没後20年を記念した『澁澤龍彦~幻想美術館~』に行ってきました。

澁澤先生は、私の最もお気に入りの作家なのですが、
プライベートな面では知らなかったことが多く、例えば、
私の住まいと同じ埼玉の、名家の出であること、渋沢栄一さんの縁戚であること、
また、マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』の翻訳により、裁判で有罪になったことなど、
今回の展覧会では先生の生い立ちから晩年まで追うことができて、
彼が好んだ素晴らしい数々の美術品を鑑賞するのみではなく、
そういう意味でも私にとっては非常に有益な展覧会でした。

「幻想的な美術や芸術作品に惹かれる私の性質は、
その奥にどんな心理的な理由がひそんでいるのか知らないが、
自分としては、性来のものとしか言いようがない。
そういう次第で、私はヨーロッパの幻想画家の画集をあつめ、
悪魔学や錬金術やエロティシズムに関するテキストならびに研究所をあれこれ渉猟し出した。」

~幻想の画廊から~ あとがきより

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私の“受胎告知” [美術*Art]

↑…な~んて、美術評論家さん風の、昔放送されていたNHK人間講座の
題名になっていそうなタイトルをつけてみましたが、
以下は、そのように大それた内容ではございませんのであしからず!

現在、東京国立博物館で 特別展『レオナルド・ダ・ヴィンチ -天才の実像』が、
開催中だそうで、画家の初期の傑作、もしくはデビュー作ともといわれる『受胎告知』が公開中ですね。


レオナルド・ダ・ヴィンチ 『受胎告知』 (1475~1480年頃 私の資料より)

この作品は、イタリアのウフィッツィ美術館の数ある逸品の中でも、
ボッティチェリの作品などと並ぶ、名画中の名画でしょうから、
日々世界中から訪れる膨大な鑑賞者の中で、この絵を鑑賞するプランを組み入れていない者はいないのではないでしょうか。
それほどの至宝が来日とは、熱心な美術ファンには、いてもたってもいられぬような、
興奮状態の方も多いのではなかろうか思います。(←私(;^^))

今回展覧会を開催中の東京国立博物館本館の“特別5室”には、
過去、同じくダ・ヴィンチの『モナ・リザ』や、『ツタンカーメンの黄金のマスク』が
展示されたこともあるそうで、それを考えると今回の展示も納得ですね。
しかし、その、めまいを覚えるような豪華な作品を、快く貸して下さるとは、
日本の美術愛好者のマナーの良さと、美術への関心の深さが理解されている証拠なのでしょう。
…それから、お金?(笑)

私もこの絵は、一度だけ、ウフィッツィ美術館で観たことがあります。
私の知っている限りの、と言いましても数えるほどしかございませんが、
“受胎告知”の中でも、最も荘厳で重厚な世界を描き出しているのが、
このダ・ヴィンチの作品です。
あまねく世界の人々の精神を、これから未来永劫支配することになる神の誕生にふさわしい。
…そんな風に表現したい神々しさがあって素晴らしいですね。

以下は、私のお気に入りの“受胎告知”のご紹介です(^^)

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ブリヂストン美術館 ~じっと見る 印象派から現代まで~ [美術*Art]

先週末、西洋の近・現代美術から、日本人画家による洋画などを収蔵する
ブリヂストン美術館に行ってきました。

以下は私が特に気に入った作品です。


ルノワール 『座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢』 1876年

ルノワールのパトロンであった出版社を経営する実業家の愛娘を描いたもの。
当時、ルノワールの描く裸体画は“腐った肉体”と酷評され、
悲嘆にくれていたときに理解を示してくれたのがシャルパンティエ氏だそうで、
彼への感謝の気持ちと、子どもが大好きであったというルノワールの
優しい眼差しで、至福感に満ちている素晴らしい作品でした。

97.8cm×70.8cmの大きさといい、このジョルジェットちゃんの大人びたポーズといい、
堂々とした風格です。

また、さすがは裕福な家庭らしく、家具調度も豪華なんですよね、
例えば、金の鋲をうってあるアンティーク風の椅子とか、
絨毯の柄とか質感とか…重厚感たっぷりでこちらも目を見張るものがありました。

更に彼女の着けているネックレスは、サンゴだそうで、魔除けの意味があるとか。
ご両親にとても愛されてたのね~、ジョルジェットちゃん(*´v`*)

これは、この美術館の白眉といえる作品なのではないでしょうか。

しかし、こんなところで、ジョルジェットちゃんに会えるとは…(嬉涙)
実は、私がルノワールの絵で一番好きなのが、
『シャルパンティエ夫人と子供たち』なのです。


ルノワール 『シャルパンティエ夫人と子供たち』 (メトロポリタン美術館蔵)

左端がジョルジェットちゃん、6歳。


ゴッホ 『モンマルトルの風車』 1886年

まだ南仏へ向かう前だからか、色調も暗めで、
あの独特の弾けるような筆致でもないので、
ゴッホだと言われなければ、私には到底判断できない絵でした。


シニャック 『コンカルノー港』 1925年

シニャックの絵は割りと好きです、この神経質そうな点描が(笑)


ゴーギャン 『馬の頭部のある静物』 1886年

後に因縁とも言える縁を結ぶことになるゴッホと同年に描かれたものを、
同時に観ると、なにやら感慨深いものがありますね。

ゴーギャンといえば、タヒチでの風景画がおなじみですので、
東洋趣味の静物を描いた絵とは、私にとってとても新鮮でした。
同じ点描画法だからなのか、シニャックの作品のそばに展示されていました。


ボナール 『桃』 1920年 (実際の作品はカラーです)

ボナールといえば、やはり、南仏のまぶしいほどの光の中に佇む、
妻のマルトをモデルに描いたものが有名ですよね。
このようにしっとりと描かれた静物画という題材は珍しいのではないでしょうか。


ルオー 『ピエロ』 1925年

20世紀最大の宗教画家と言われるルオーの作品群の部屋は、
厳かな空気に包まれていました。
この人物画も、深く深く瞑想しているのが伝わってきます。

特徴的な太い輪郭線は、転地療養で訪れたエヴィアンで見たアルプスの山並みの
様子から影響を受けたというそうですが、私はどちらかというと、
画家になる前に学んだステンドグラスの技巧の影響ではないかと思います。
だから、彼の作品の前に立つと、教会にいるような粛々とした心持になるのだと…(単純!?)


牛島憲之 『タンクの道』 1955年 (実際の作品はカラーです)

実際はうっすらとした紫の色合いの美しい絵です。
この無機質な風景に、なぜかとても惹かれました。
例えば、ジャック・タチ監督の映画『ぼくの伯父さん』に出てくる、
モダンな家と街並みみたいではありませんか?
クリーム色の大理石製(多分)のシンプルな額も印象的でした。


ヴァン・ドンゲン 『シャンゼリゼ大通り』 1924-1925年

ヴァン・ドンゲンの作品はあまり知らないのですが、
アール・デコの衣装の女性像が大好きです。
この可愛らしい絵もいいですけれど、
昨年訪れたパリ市立近代美術館にある『スフィンクス(菊の女)』という絵が、
もっと写実的に描かれていて、スタイリッシュで謎めいていてとっても素敵なんですよ~。
後日、ブログにアップしたいと思っています。


デュビュッフェ 『暴動』 1961年 (実際の作品はカラーです)

実際の作品は、赤を基調として描かれていて、
アンソールの絵のような感じでした。

これはなんと言ったらいいのでしょうか…
狂気にとり憑かれているというのか、魂がむき出しで叫んでいるというのか…
かなり怖いです(;^^)

何かに扇動されて突き動かされている感じですよね。
これはどんな“暴動”なのかは分からないですけれど、
最近、イタリアのサッカー場で起きた騒ぎとあいまって、
群集心理のような、人間の秘めたる恐ろしさを思い考えさせられる作品でした。

ちなみに、アンソールの絵はこちら↓


アンソール 『陰謀』 (アントワープ王立美術館蔵)

その他、ロダンやブールデル、更にはブランクーシなどの前衛的な彫刻や、
エジプト、ギリシャの古代美術品など、幅広い分野のコレクションを堪能できました。

また、ミュージアムショップや、白を基調とした内装のカフェも開放的でとても素敵なので、
鑑賞後に、または合間にゆっくりお茶を楽しみながら、
たとえばお気に入りの美術品について語り合うのもいいですね。
皆さんも、今度の週末にぜひ行かれてみてはいかかでしょうか、オススメです(^^)

公式サイト→http://www.bridgestone-museum.gr.jp/


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カイ・ニールセン(Kay Nielsen)の世界 [美術*Art]

今年ようやくブログ始動です。
あいかわらずのんびりしている私ですが、
今年もマイペースで記事を書いてゆきたいと思ってますので、
これからもどうぞよろしくお願いいたします(^^)

今回は私の大好きな画家、カイ・ニールセンのご紹介です。

1886年、コペンハーゲン生まれのニールセンは、
18歳のとき、パリに出て絵画を学び、その頃出会ったビアズリー、
そして、日本の 北斎、広重、歌麿の影響を受けました。

1911年、ロンドンで個展を開いた後、
『太陽の東・月の西』等の絵本が評判となり、
舞台装置家としても活動します。

また、ロサンゼルスに移り、ウォルトディズニーフィルム“ファンタジア”の
デザインを手助けするなどしましたが、
その晩年は、不遇の貧しい暮らしを送ったといいます。

しかし、画家の没後、彼の友人たちの尽力により、
1958年に作品を守る会が設立されました。
それによって、今も彼の作品は絵本の中で光り輝き、
世界中の子どもたちに夢を与え続けているのです。

          ****


From “East of the Sun and West of the Moon”

日本の版画に影響されただけあって、
荒波や木々などの自然の事物の描写、
そして構図も、北斎や広重の作品と似ているように思います。


From “The Three Princesses in the Blue Mountain”

また、うねるような しなやかな人物描写には、
ビアズリーのそれと共通するところがあるでしょうか。


From “The Giant Who Had No Heart in His Body”

しかし、それらを加味しながら、
ニールセン独特の幻想的な世界を作り出しているのです。


From “Minon-Minette”

細い線と点での緻密な表現は、
まるで色とりどりの糸で縫い取られた
美しい刺繍のよう…。


From “The Twelve Dancing Princesses”

アール・ヌーボーを信奉したというニールセン。

コケットリーで魅力的な人物像と、
繊細な美しい色彩が、その華やかなる時代へと
いざなってくれるようです(*^^*)

Nielsen's Fairy Tale Illustrations in Full Color

Nielsen's Fairy Tale Illustrations in Full Color

  • 作者: Kay Nielsen
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 2006/07/17
  • メディア: ペーパーバック


十二人の踊る姫君

十二人の踊る姫君

  • 作者: カイ ニールセン, アーサー クィラ・クーチ
  • 出版社/メーカー: 新書館
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: 単行本


おしろいとスカート

おしろいとスカート

  • 作者: カイ ニールセン, アーサー クィラ・クーチ
  • 出版社/メーカー: 新書館
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: 単行本


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“ボテロ”のカレンダー♪ [美術*Art]

パリの国立近代美術館(ポンピドゥーセンター)で、ボテロのカレンダーを買いました。

フェルナンド・ボテロは1939年生まれのコロンビア出身の画家で、
人物や動物をふくよかに、独創的に描く画風で知られ、また、
“偉大なる最後のルネサンス芸術家”と呼ばれ、その作品は高く評価されています。


The Death of Luis Chaleta 1984

タイトルに“Luis Chaleta”と人物名が入っていますから、
実際に起こった事故で亡くなった方へ捧げる作品なのでしょうか。
痛ましい現場が描かれていますけけれど、
雲間から女性…お母さんでしょうか…が両手を差し伸べて、
お迎えに来ている様子が、救いがあるというのかほのぼの~としています。


The Rape of Europa 2001

これは、美しいエウロペ(エウロパ)に懸想した全能の神ユピテル(ゼウス)が、
その身を牡牛の姿に変えて、連れ去ろうとするギリシャ神話の一場面である
“エウロペの略奪(誘拐)”ですね。
背景が闘牛場であるというところが、画家になる以前は闘牛学校に
通っていたという彼らしい作品です。


ギュスターヴ・モロー 『エウロペの誘拐』 1868年

同じ主題のものなら、ギュルターヴ・モローの
この神秘的に描かれたものが有名でしょうか。

その他、このカレンダーには、私の大好きな絵画のパロディも載っていました♪


ヤン・ファン・エイク                 ボテロ
『アルノルフィニ夫妻』 1434年         『The Arnolfini Marriage』 1978年

厳かな雰囲気に包まれているファン・エイクの夫妻像も、
ボテロにかかると人懐こい夫婦に大変身(^^)


ドミニク・アングル                 ボテロ
『カロリーヌ・リヴィエール嬢』 1806年    『Mademoiselle Riviere』 2001年

ボテロのほうのお嬢さんは、真っ赤なマニキュアを塗って
おしゃれしているところが現代っ子風!?


Madonna and Child 1965

まるでお正月の羽子板の、押し絵のようなタッチが素朴で面白いです。

例えば、マティスが教会装飾を手がけて、それまでにないような
革新的なデザインの空間を作り出したように、
ボテロがデザインした教会ができるといいですね。
こんな親しみやすいマリア様像なら、心がとても癒されそうです(*^^*)


Still Life with Can and Fruits 1989

…なぜか果物までも、まるまると太ってみえるのは気のせいでしょうか(笑)

外国のカレンダーですので、祝日などを自分で書き込まないと
ならないので少々面倒ですけれど、
ふくよかなボテロのカレンダーで、“福”がたくさん舞い込みますよ~に!
と、願いを込めて飾りたいと思います(^^)

世界中のボテロの作品が楽しめるリンク集は こちら ♪

"Flower Fairies" Calendar (Flower Fairies Calendar)

  • 作者: Cicely Mary Barker
  • 出版社/メーカー: Frederick Warne
  • 発売日: 2006/07/06
  • メディア: カレンダー

ついでにもうひとつ、可愛らしい妖精の絵がとても人気のある、
シシリー・メアリー・バーカーのカレンダーも買いました。
こちらはAmazonで注文できます。


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ウィーン美術アカデミー名品展 [美術*Art]

ウィーン美術アカデミーは、1726年に設立されたヨーロッパ最古の美術学校で、
その付属絵画館は、ウィーン美術史美術館に次ぐ規模を誇るといいます。

今回展示されているのは、女帝マリア・テレジアに仕えたランベルク伯爵(1740~1822)から
遺贈された絵画コレクションを中心とした作品群です。


レンブラント  『若い女性の肖像』 1632年

こめかみや、手の甲の血管の青さまで描かれていて見事です。
少し恐ろしくなるくらいでした。

じっと眺めていると、レンブラントの『夜警』や『ダナエ』など、薬品を浴びせられたり、
破壊されたというエピソードをふと思い出しました。
精神が異常に細やかな人にとっては、何か鬼気迫るものがあったのでしょう。
そんな気持ちが、なんとなく分かるような気がします。

頭や袖口のシフォンの飾りもリアルです。

レンブラントって、こんなに繊細なタッチでしたっけ(@_@)
依頼主に、そうとうお金を積まれたのでしょうか…なんて邪推したりして(;^^)

私にとっては、レンブラントの別の側面をうかがい知ることができて、
意義のある一枚でした。


ルーカス・クラナハ  『不釣合いなカップル』 1531年

…別に不釣合いには見えないのですが…それって私だけでしょうか?
この絵には“老いは愚行から身を守らず”という意味が込められているのだそうで、
よく見ると、女性がおじいさんのポケットに手を突っ込んでいて、
皮肉たっぷりの作品です。


ルーカス・クラナハの工房  『聖ドロテア』 1530年頃

工房作だからなのか、明らかに服のビロードの質感が、
上の作品に劣りますよね。

私は、クラナハの描く、この独特の不気味な微笑が大好きです。

また、クラナハの絵は、いつも黒い簡素な額に入っているのですよね、
そんなところも、おどろおどろしさに拍車をかけていて魅了されてしまいます。

今回は、これらの作品の他にもう一点クラナハの絵が見られて幸せでした(^^)


ヴァン・ダイク  『15歳頃の自画像』 1614年頃

後に英国の宮廷画家として重用されるという未来を予感させる、
もしくは予言しているような、自信に満ち溢れた眼差しが素敵です!


ニコラス・マース  『アドニスの装いの少年の肖像』 1670年頃

レンブラントに師事したというマースの作品。

神話の人物になりきって、嬉しさが抑えきれないという感情が、
口元や紅潮した頬やえくぼに表れていて、子供らしくて可愛らしいですね(*^^*)
その興奮状態を悟ったのか、つられてはしゃいでいるワンちゃんも微笑ましいです。


グアルディ  『サン・マルコ広場と時計塔』 

ヴェネツィアの風景画は、この他にも何点か展示してありました。

この作品かどうかはハッキリしませんが、ランベルク伯爵の街景画のコレクションは、
当時の旅行案内書に掲載されるほど有名だったそうです。

単に、邸宅に飾るだけではなく、そんな用途にも使われていたとは初めて知りました。


マイテンス  『女帝マリア・テレジアの肖像』

この写真は小さいので素晴らしさを十分にお伝えできなくて残念です><

特に、王冠、耳飾、胸元の飾りのダイヤモンドの描写に驚きました。
うっすらと青味がかっていて、透明感と輝きが見事に表現されています。
ここまで素晴らしく描かれた宝石は、見たことがないかも知れません。

そして、首と袖のレースも重厚感があって、いかにも上質そうでした。

それから、肌もとても綺麗で、特に手なんてふっくらとしていて、まるで赤ちゃんのようなのです。
そう若い時の肖像ではないのでしょうに、ここまで手が美しいとは…
庶民の女性がする苦労をされていない証拠ですね(;^^)

新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で11月12日(日)まで開催中です。

常設のゴッホの『ひまわり』や、セザンヌやゴーギャン、
そしていくつか東郷青児さんの作品も見ることができました。
皆さんも、今週末、ぜひ鑑賞に行かれてみてはいかかでしょうか(^^)


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若冲(じゃくちゅう)に夢中♪ ~「若冲と江戸絵画」展~ [美術*Art]


東京国立博物館で開催中の、プライスコレクション・「若冲と江戸絵画」展に行ってきした。
この展覧会は、アメリカ・カリフォルニア州にお住まいの、ジョー・プライス夫妻の約600点にのぼる江戸絵画コレクションから、101点を厳選して展示しているものです。

プライス氏のコレクションの始まりは、1953年24歳の大学卒業時、石油会社を経営する父親の友人で、帝国ホテルの設計者として知られるフランク・ロイド・ライトと共に訪れたニューヨーク(←ここですでに、この御仁の伝説が始まっていますね(;^^))で、お供として立ち寄った古美術店で、一幅の日本画に魅入られて購入したことでした。
この時、スポーツカーを買うつもりで父から貰ったお金を使ったのだそうです。
その後も自らの趣味で集めていった絵画は、初めて購入したものも含めて、その多くが伊藤若冲の筆によるものと知ったのは後々のことだったのです。

今回の出品作品は5つのカテゴリー(第一章~第五章)に分かれて展示されていました。
以下は、私が特に心に残った作品です。

■第一章・正統派絵画 (江戸時代、伝統的な絵画を制作した狩野派などの流派様式を持った作品)

■第2章・京の画家 (18世紀後半、京の街の新しく経済的に成長していった商家、職人ら新興町衆の進取の気性を反映し、伝統を踏襲しつつ、自由で想像力に溢れたスタイル)


『山水図』  池観了 筆  二幅(一部)

葉を点描で表した手法は、中国に由来する”米点(べいてん)”と呼ばれるのだそうです。
このような技法のものは、シニャックやスーラなど、ヨーロッパの画家のものしか観たことがなかったので、とても新鮮でした。
大胆に描かれた幹とは対照的に、細かく点描された葉が、淡い色合いも相まって清々しく可愛らしいなと思った作品です。


『牡丹孔雀図屏風』  長沢芦雪 筆  二曲一隻

円山応挙の弟子である芦雪が師の作品を模写したもの。
細密に描かれた孔雀の羽の一枚一枚を眺めていると、ふと自然の素晴らしさ…と言うよりも驚異を感じました。
艶やかな牡丹と苔むしている老木が、ただでさえ立派な佇まいの孔雀を、より一層威厳に満ちたものにしている風に見えますね。
この妖しい美しさが、三島由紀夫のこれまた残酷で妖艶な小説の『孔雀』を思い起こさせます。

決定版 三島由紀夫全集〈20〉短編小説(6)

決定版 三島由紀夫全集〈20〉短編小説(6)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 単行本


『猿猴狙蜂図』  森狙仙 筆  一幅

この他にもう一作品、猿の絵が展示されていました。
それと比べてタッチがずい分粗いのですが、晩年によくみられる描写方法なのだそうです。
題名から、猿が蜂を獲ろうとしているところなのでしょうけれど、何故かとてもユーモラスなのは、このふたつの生き物以外に何も描かれていないというものにもよるところがあるでしょうか、ほのぼのとして好きです(*^^*)


『猛虎図』  亀岡規礼 筆  一幅

猛虎図は、この作品の他にも芦雪や若冲によるものなど、数点ありました。
中でもこの円山応挙の弟子である規礼の虎が、毛並の質感が一番見事だと思いました。
日本には虎は生息していないですし、無論当時の画家たちは実物を見たことがなかったので、毛皮や中国の絵画を参照に描いたので、その為実物よりも四肢と目玉が大きく、又、耳が小さく描かれたのだそうです。
しかし、そのおかげで図らずもデフォルメされて、芸術性が高まったように思います。

■第三章・エキセントリック (新奇な試みがなされ、独創性に満ちた表現で、18世紀当時の最先端の思潮が表れた伊藤若冲と曽我蕭白の作品群)


『鶴図屏風』  伊藤若冲 筆  六曲一双 (部分)

若冲といえば鶏(ニワトリ)の絵の細密な手法で描かれた作風のものしか知らなかったので、この簡略な表現にとても驚きました。
素早く筆を走らせたらしく私には見えますが、それでも細部まで丁寧に描かれているところが素晴らしいと思います。
この他にも、お尻をこちらに向けた状態の鶴が、ちょこんと頭をもたげているものや、同じ作風で中国の書画を思わせるような人物画もあって、どれもユーモラスで、思わず微笑んでしまうものばかりでした。
これを観たときから、「きっと若冲本人も、ユーモアのセンスがあって、温かみのある人に違いない!」と想像し、詳しい人となりを知りたくなりました。

伊藤若冲

伊藤若冲

  • 作者: 伊藤 若冲, 小林 忠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 単行本


『紫陽花双鶏図』  伊藤若冲 筆  一幅

京都の青物問屋に長男として生まれた若冲は、初め狩野派に学び、それに限界を感じると、今度は中国画の模写をするようになり、後にその独創的な作品から”奇想の画家”と呼ばれた人でした。
自ら鶏を飼い、観察と写生に励み、多数の鶏の絵を残しました。

これぞ若冲の真骨頂と言っても過言ではないですよね。
鶏冠の後ろから生えている羽のトロンとした質感の表現も圧巻ですし、グロテスクな足の描写も写実的であることは言わずもがなですが、完全な写実ではないですよね、バックの紫陽花もそうですし。
若冲の絵というか、日本画全体に言えることかも知れませんが、この適度に様式化された画風が美しいし、又、芸術的ですよね…と、つい先頃気がついた次第です(笑)

これらの他、この展示スペースには、プライス氏のコレクションの礎となった『葡萄図』や、アンリ・ルソーのメルヘンチックなジャングルの動物画、或いはチベットの曼荼羅を彷彿とさせるような、モザイク画法の”桝目描(ますめがき)”で描かれたとても珍しい作品など、若冲のものが多く展示されていました。

■第四章・江戸の画家 (武家と町人が歌舞伎と遊郭を中心に、独自の都市文化を生み出していった、将軍のお膝元である江戸の浮世を生きる人々を、生き生きとユーモラスに描いた作品が中心)

“肉筆浮世絵”と呼ばれる勝川春章らの美人図や遊女図の他、吉原年中行事のひとつを描いた『吉原俄図』など、当時の江戸庶民の娯楽の様子を垣間見ることが出来る、楽しい作品が沢山ありました。

■第五章・江戸琳派 (尾形光琳の典雅な画風を慕い、技法を学びながらも、より俳味な作品で庶民に受け入れられた酒井抱一や、その弟子の鈴木其一らの作品を展示)

このカテゴリの会場だけは、ガラスケースを用いず、光の効果に工夫を凝らした展示方法をとっていました。
これは「江戸時代の絵画にはガラスケースは無かった。」というプライス氏の考えによるものだそうです。
絵に当てられるライトの加減が刻々と変わり、朝の白い光から夕暮れのやわらかい光、更にはちらちら揺れるろうそくの灯りを表しているようで、一日の移ろいの中で絵を鑑賞している気分、つまり当時の鑑賞者と同じ気分に浸れるということで、素晴らしいアイディアだと思いました。


『佐野渡図屏風』  酒井抱一 筆  二曲一隻

『新古今和歌集』の藤原定家の歌を表したもので、雪の中を旅する馬上の貴人と二人の従者を描いたもの。
写真ではわかりづらいのですが、雪が舞っている様子が、光の加減によってはっきりと浮かび上がるという趣向が凝らされています。
その奇をてらったところもいいですが、私がもっといいと思ったのは、雪の降り方=散らせ方でした。
画面全体に雪を降らせるのではなくて、人物の上に適度にパラパラと降らせているのです。
この雪景色の寂寞とした中に、旅人が急ぐ様が音も無く伝わってくるところもいいですし、この余白といい、前述の雪の降らせ方といい、なんだかとても”粋”な感じがしました。
尾形光琳も同じ図を描いているそうで、そちらはもっと背景に川や岩などを配しているのだそうです。


『十二か月花鳥図』  酒井抱一 筆  十二幅 (部分)

ひと月ごとに花と鳥を組み合わせたこの花鳥図は、藤原定家の歌に基づいて、狩野探幽らによる図の様式が継承され広まりましたが、抱一はその様式にとらわれずに、自由な組み合わせでこれを描いたそうです。
それほど精緻だったり写実的だったりしないのに、それとわかる描写が見事だし洒落ているなと思いました。
先に紹介した『佐野渡図屏風』といい、このシリーズといい、抱一の絵は余白の取り方、そして構図も好きです。
独特の静けさがあるのですよね。
絵の前に立っていると、凛とした気品を感じで、背筋をピンと伸ばしたい気分になりました。
なにか漠然となのですけれど、「日本は美しい、日本人でよかった。」と思えるひと時でした。
先頃行われたW杯での日本チームの惨敗ぶりで、日本人としての誇りを失いかけていた心に、自信を取り戻した感じです(笑)

日本画は、表装も美しいということも、今回改めて感じました。
絵のテーマや雰囲気に合った柄を刺繍してあって、どれもとても綺麗です。
欧米の絵画を観ても思うことですが、額と一緒に絵画を楽しめるのは、展示会場に足を運んだ場合だけですので、実物を鑑賞するということには実は大きな価値があるものなのだなと思いました。

プライス氏がコレクションを始めた約50年前は、日本の美術史家たちはまだこれらの画家の価値を見過ごしていたそうで、氏自身の鑑識眼によってのみ収集してきた、と言っても優秀なブレーンがいるのでしょうが(←疑り深い人・笑)それにしても、これらの感動的な素晴らしい作品を集めることができたのも、長年に渡る情熱によるものなのでしょう。…その情熱が、これらの逸品を自然と引き寄せたと言ってもいいかも知れませんね。
外国人によって日本画の素晴らしさを教えられたのというのは、なんともシャクな気もしますが(;^^)
本当に良いものを見せていただきました。

今回のような大規模な展覧会は、今後は開かれることはないようです。
日本への里帰りが今回で最後となるかもしれない作品たちに、この機会を逃すことなく是非会いに行ってみて下さい(^^)

公式サイトhttp://www.jakuchu.jp/


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