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プラド美術館展 の予習④ [美術*Art]

3/25(土)~東京都美術館で開催中のプラド美術館展の予習の4回目です。
テーマは、“第四章 18世紀の宮廷絵画 -雅なるロココ-”なのですが、
相変わらず脱線しております、すみません m(_ _)m ペコリ


ラン 『フェリペ5世の家族』 1723年  ◎今回の展示作品です◎

“ラン”って誰だろう? と初めは分からなかったのですが、Jean Ranc ジャン・ランクのことでした。
ジャン・ランクは、フランスの宮廷で活躍した後スペインに渡り、フランス人として初めてスペインの宮廷画家となった人物です。

このフェリペ5世の家族の肖像は、44×65cm と非常に小さい作品で、相当近寄って観ないと表情がまるきりわかりません。
画家のほかの作品と比べても緻密さに欠けるので、習作なのか?と思ってしまうほどです。
又、王族の広大な屋敷に飾るには小さすぎるのも私には不思議です、なのでもしかしたら、旅行用に持ち歩いたものなのでしょうか。

ジャン・ランクについての簡略な経歴と、カルロス3世の可愛らしい幼少時代の肖像画はこちらにあります。


ルイ=ミシェル・ヴァン・ロー 『フェリペ5世とその家族』 1743年 プラド美術館蔵
※今回の展示作品ではありません。

こちらはジャン・ランクの後を継いで宮廷画家となった、同じくフランス人画家のヴァン・ローの作品。
406×511と堂々たる大きさの肖像画で、ひとりひとりの表情や背景もしっかりと描き込まれています。

今回の第4章のカテゴリには、メレンデスの“ポデゴン”と呼ばれる静物画がいくつか展示されています。
ポデゴンとは、果物や台所用品などの静物や、居酒屋の光景を描いたもので、“ボデガ”という地下の貯蔵庫を指す言葉に由来するということです。


ルイス・メレンデス 『ポデゴン』 制作年不明 プラド美術館蔵 ※今回の展示作品ではありません。


ルイス・メレンデス 『静物』 1772年 プラド美術館蔵 ※今回の展示作品ではありません。

銅製の容器の細かなへこみやキズ、グロテスクな魚のはらわたの描写を眺めていると、どこまでもリアルさを追求しようとする、画家の執念さえ感じてきます(>_<) …華やかに盛られた果物や、花の静物画は王族や貴族の居室に飾られるのはわかるとしても、こういったポデゴンの絵は、当時どこに飾られていたのでしょうか… 私の想像では、館の厨房や、給仕たちが食事をしたり休憩したりする部屋に掛けられていたというイメージです。

ルイス・メレンデス 『裸体画習作を手にする自画像』 1746年 ルーヴル美術館蔵

神経質そうな顔つきと指! かなり根気がいりそうで、恐ろしく精密な静物画を描くのもうなずける容貌をしてますね(;^^)


フランシスコ・デ・スルバラン 『静物』 制作年不明  ◎今回の展示作品です◎

暗闇に浮かび上がる作風がドラマチックです。

“静物画”と言ってすぐに思い出すのがシャルダンの作品。


ジャン・シメオン・シャルダン 『桃を盛ったかご、クルミ、ナイフ、ブドウ酒のコップ』 1768年 ルーヴル美術館蔵

飾り気の無いコップや無造作に置かれたナイフなど、生活感たっぷりで温かみがありますね~、
なんか癒されます(*´v`*)


ジャン・シメオン・シャルダン 『独楽を回す少年』 1738年頃 ルーヴル美術館蔵

パリの宝石商の息子・オーギュスト・ガブリエル・ゴドフロワの肖像。
シャルダンは多くの人々から支持され、若いうちからアカデミーに入会を許されるなど名誉を手にしましたが、その栄光に溺れることなく、華やかなるロココ全盛期においても、一貫して市民階級の生活風景を描き続け、自らの信念を貫き通した画家でした。


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美術 プラド美術館展 の予習③ [美術*Art]

3/25(土)~東京都美術館で開催中のプラド美術館展の予習の3回目です。
今まで“4つのカテゴリー”に分かれて展示されていると申し上げていたのですが、“5つのカテゴリー”の間違いでした、大変申し訳ございませんm(_ _)m
今回は第3章のフランドル、フランス、オランダ絵画についてです。
しかし、例によって大幅に脱線しております、というか、今回はヴァン・ダイクのみにしか触れていませんので、予習というよりも“プラド美術館展に因んで”と言ったほうがいいかもしれません、あしからず~~。

プラド美術館は、スペインの王室コレクションが基盤となっていることは周知のとおりですが、スペインがフランドルと貿易によって密接な関係を持っていた上に、婚姻関係によっての深い政治的結びつきが加わったこともあり、現在この美術館には多くのフランドル絵画が残っているわけです。
又、特に16世紀に絶大な権力を握っていたフェリペ2世のフランドル絵画への執着はひとしおであり、特にボッスの作品を熱心に収集しました。
現在、世界でも類をみないほどのボッスの作品の充実振りは、彼のおかげといえるものなのです。


ヴァン・ダイク 『Portrait of a Man (Possibly Paul du Pont) 』 1627~1632年

公式サイトに記載の『男の肖像』は、写真や制作年の記述が無いため、はっきりとどの作品かがわかりません。
多分、今回の展示作品はこの肖像画ではないかと思われますが、確かではありませんのでご了承下さい。


ヴァン・ダイク 『ピエタ』 1628~32年

これも、公式ページに写真と制作年が無いため、今回の展示作品か、定かではありません。

以下の作品は全て、今回の展示作品ではありません。


ヴァン・ダイク 『エンディミオン・ポーター卿と画家』 1632~35年 (プラド美術館蔵)

ヴァン・ダイクはあまり細かなタッチではないのにとても写実的で、だからなのでしょうか、一瞬の動作を捉えて生き生きと見えるのが魅力だと思います。
右の人物は画家自身の肖像ですが、画家が注文作品の中に自画像を描きこむことはよくあるにせよ、依頼主(あるいはモデル)とツーショットで描かれているなんて、珍しいことなのではないでしょうか。
英国王チャールズ1世の美術品購入の代理人であったというポーター卿が、そうとう寛仁な人だったのかそれともそれほどの親しい間柄だったのか…いずれにしても興味深いですね。
画家が残したいくつかの自画像をみると、なかなかの美男子ですので、例えばボッティチェリのように、多くのパトロンや王侯にとても可愛がられていたのだろうと思います。


ヴァン・ダイク 『英国王チャールズ1世の肖像』 1635年 (ルーヴル美術館蔵)

王の義母に当たる、マリー・ド・メディシスに贈ったもの。
ヴァン・ダイクは、ルーベンスの工房を経て、イギリスへ渡り宮廷画家となって多くの肖像画を残しました。
彼の描く人々は、どれも宮廷人特有の高貴さの中に温かみがありますよね、人懐こい性格でありそうなところが魅力的です。

それに比べて、同じ英国の宮廷画家として活躍したホルバインのものは、近寄りがたい深くて静かな威厳を湛えていています。


左から
ホルバイン 『サー・トマス・モア』 1527年 (フリックコレクション蔵)  
『エラスムスの肖像』 1523年 (ルーヴル美術館蔵)


ヴァン・ダイク 『王子ウィレム2世と メアリー・スチュアート』 1641年 (アムステルダム国立美術館)

オランダ総督であったオラニエ家のウィレム(15歳)と、英国王チャールズ1世の長女メアリー(10歳)の結婚を記念して作成されたもの。
オラニエ家側からの注文ということから、王室との婚姻を世間に知らしめしたいという意図もあったのでないか、といわれています。
ウィレムは24歳で、メアリーは29歳で夭折しましたが、ふたりの息子・ウィリアム3世は後に王位に就きました。

画家の晩年42歳の時の作品で、今までよりもずっと精緻な筆致で、私の一番好きな作品です(^^)

15歳と10歳の結婚だなんて、おままごとみたいで微笑ましいですね。
新婦の指にはちゃんとマリッジリングがはめられています♪
裏では、大人たちの画策や思惑があったにせよ、今日のふたりは穏やかな幸せに包まれているように見えます。
恋することがどんなことなのか、きっとまだよく知らないまま結婚したのでしょうが、その後はお子さんにも恵まれたとのことですから、画中でのとおり、互いに手を携えて仲睦まじく人生を送ったのでしょう。


ヴァン・ダイク 『William 2 of Nassau and Orange』 1621~1641年 所蔵美術館不明

もうひとつみつけた! ウィレム王子! なんて、美男子!
…ああ王子、あなたの4,5年先のお姿を見てみたいです…   (←出た)

昨年の8月に美男子探しのため…(違)、美術鑑賞のためパリに旅行し、ルーヴル美術館で、素敵な作品を見つけて写真を撮ってきました↓


ヴァン・ダイク 『Duke of Bavaria and His Brother, Duke of Cumberland』 1621~1641年 (ルーヴル美術館蔵)

ババリア=バイエルンですから、ドイツの貴族のようです、…実はまだ詳しくは調べてません(;^^)

今回の美術展では、ヴァン・ダイクの作品の他、風俗画を得意とし、素朴で生き生きとした人物を描くフランドルの画家ヨルダーンスや、古典主義の風景画家クロード・ロランの作品も展示されているそうです。

公式サイト→http://event.yomiuri.co.jp/prado/


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美術 プラド美術館展 の予習② [美術*Art]

3/25(土)~東京都美術館で開催中のプラド美術館展の予習の2回目です。
今回は4つのカテゴリーのうちの第2章、16、17世紀のイタリア絵画についてです。
しかしかなり脱線していますのであしからず~。


ティツィアーノ  『皇帝カール5世と猟犬』 1533年

犬は忠誠心の象徴であり、人物の傍らに従順に座らせることにより、画家をはじめとする家臣たちの忠誠心を表しているのだそうです。


ベラスケス  『狩猟服姿の枢機卿フェルナンド』 1635~36年頃 
(今回の展示作品ではありません)

あら♪ 美男子♪


ティツィアーノ  『アモールと音楽にくつろぐヴィーナス』 1555年

神聖ローマ皇帝カール5世の依頼で描いた作品。 オルガン奏者は皇帝の息子で後のスペイン王・フェリペ2世の姿とも言われています。
旅嫌いであったため、生涯イタリアを離れることなく過ごしたティツィアーノは、フェラーラ、ゴンザーガ等の貴族、教皇、そしてカール5世とフェリペ2世に寵愛され、爵位や騎士の称号を与えられるなどの名誉を授かった画家でした。
ミケランジェロは、彼の素描力の無さを嘆いたとのことですが、この画家がこれほどまでに成功したのは色彩の豊かさや躍動感溢れる描写のためと言われています。
ウフィッツィ美術館の『ウルビーノのヴィーナス』や、エルミタージュ美術館の『懺悔するマグダラのマリア』を目の当たりにした時の艶かしさには目を見張るものがありました。
そんな肉感的な女性の描写も成功を収めた一因であるのではないでしょうか。


『ウルビーノのヴィーナス』 1538年 (ウフィッツィ美術館蔵)

やわらか~い光を放っており、触れれば温かそうな裸体が生気を感じさせる作品でした。


『懺悔するマグダラのマリア』 1560年頃 (エルミタージュ美術館蔵)

この絵では小さくてわかりませんが、涙が溢れてこぼれ落ちそうなところとかとてもリアルでドラマチック、目も赤く泣きはらしていて心から懺悔している気持ちが伝わってくる作品でした(;_;)

その他、アモール(キューピッド)とヴィーナスを主題としたもので私がお気に入りなのは…


ブロンズィーノ  『愛の寓意』 1545年頃 (ロンドン・ナショナルギャラリー蔵)

アモールはヴィーナスの息子ですが…これはどう見ても愛人…(;^^)


クラナハ  『ヴィーナスと蜂の巣を持つキューピッド』 1531年頃 (ボルゲーゼ美術館蔵)

クラナハの描くヴィーナスはスレンダーでスタイル抜群なので、愛好家が多かったとか…。
同じ主題で描かれたものがいくつも残っています。
帽子をかぶったファッショナブルで、妖しい魅力を放つヴィーナスと、コミカルな表情のキューピッドがセットになっているところが面白くて大好きです(*^^*)
蜂に刺されて母(ヴィーナス)に救いを求めているキューピッドの姿に、“快楽には苦痛が伴う”という教訓が込められています。


ティツィアーノ  『サロメ』 1555年

ユダヤの王女サロメが七つのヴェールの踊りを美しく舞った褒美として、預言者ヨカナーン(ヨハネ)の首を王であるエロドに所望したという物語から描かれたもの。
…ティツィアーノのものは、私には毒々しさが感じられないので、あまり心を動かされません(;^^)


ビアズリー  『舞姫の褒美』 と 『最高潮』

オスカー・ワイルドの戯曲の挿絵として描かれたもの。
主題が主題ですからこれくらい、奇奇怪怪としていないと!
しかし、つい先日、もっとグロテスクな『サロメ』を見つけてしまいました↓


シュトゥック  『サロメ』 1906年 (レンバッハハウス美術館蔵)

初めて観た時は、クリムトかクノップフの絵かと思いました。
シュトゥックはドイツ出身でミュンヘン分離派を創設、クリムトらが属したウィーン分離派のモデルとなりました。
どちらも世紀末美術ということで、デカダンス~な作風が似ていますね。
サロメが褒美を貰って恍惚として踊る姿が狂気に満ちていて恐ろしい…。

ギュスターヴ・モローの作品なども有名で、神秘的で素晴らしいですが、私の知っている限りでは、この絵が一番物語のイメージに近いと思うのでとても気に入りました。

その他、今回の美術展では、ティツィアーノと同じ工房の兄弟子であったジョルダーノや、彼らと同じくヴェネツィア派のヴェロネーゼ、そしてルーベンスの作品も展示されているそうです。

プラド美術館展公式サイト→http://event.yomiuri.co.jp/prado/


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美術 プラド美術館展 の予習① [美術*Art]

3/25(土)~東京都美術館でプラド美術館展が開催されていますが、生涯に一度観ることができるかどうかの貴重な作品を鑑賞する前に、より楽しむため、主な作品を少しだけ予習しておこうと思います。

美術展では、4つのカテゴリーに分けて展示してあり、今回はそのうちの第一章・スペイン絵画についてです。

サンチェス・コエーリョ 『王女イザベル・クララ・エウヘニアとカタリナ・ミカエラ』 1575年

重厚で細密な描写をするコエーリョは私の大好きな画家の一人であり、今回私が一番楽しみにしている作品です。
画中の二人の少女は、当時のスペインの王で、プロテスタントに対する厳しい宗教弾圧を行うなどして、暴政をふるっていたと言われるフェリペ2世の娘たちです。
彼女らの異母兄で、生まれつき精神を病んでいたというドン・カルロスもまた、コエーリョによって肖像画が描かれ、同美術館に収蔵されています。
こめかみあたりに薄っすらと狂気をにじませた、暗く冷たい表情の、しかし宮廷人としての高貴さが漂った美しい肖像です。
HPで特集しましたので、よろしければご覧になってみて下さい。↓
http://www001.upp.so-net.ne.jp/UN_BEAU_MONSTRE/my_favorite_portraits_don_carlos.html


ホセ・デ・リベラ 『聖アンデレ』 1631年

バレンシア出身のリベラは、若いうちにイタリアへ亡命し、二度とスペインの地を踏むことは無かったということで、作品はイタリアのナポリで製作されたようです。
だからなのかは分かりませんが、明暗を強調している劇的な画風は、カラヴァッジオのそれを連想させます。


ディエゴ・ベラスケス 『フェリペ4世』
公式サイトの目録に、作品の写真と製作年の記載が無いため、写真は同美術館にある『狩猟服姿のフェリペ4世』1634年です。

プラド美術館でもっとも有名な絵と言っても過言ではないであろう『ラス・メニーナス』を描いたベラスケスの作品。
ベラスケスは若干24歳で宮廷画家として認められ、フェリペ4世に「彼以外の画家に肖像画は描かせない。」と言わしめたほど気に入られ、画家としてだけではなく、宮廷内では外交官的な役割などの重職も与えられていました。
フェリペ4世は、『ラス・メニーナス』や、やはりベラスケスの手による数々の肖像画で有名な、マルガリータ王女の父親です。

『マルガリータ王女』 1660年 (今回展示の作品ではありません)

マルガリータは15歳でオーストリアに嫁ぎ、22歳の若さで亡くなりました。


バルトロメー・エステバン・ムリーリョ 『エル・エスコリアルの無原罪の御宿り』 1665年

今回の美術展の白眉と言える作品ではないでしょうか。
ムリーリョの描く女性(マリア様)はフェミニンで、親しみやすい美人なんですよね~。
又、彼の描く子供たちもやわらかいタッチでとても愛くるしい♪
“スペインのラファエロ”と称されていたということも納得です。
今回は『貝殻の子供たち』という作品が来ているようですが、私は『善き羊飼い』が好きです。

『善き羊飼い』 1660年 (今回の展示作品ではありません)

…その他、カラヴァッジオの影響を受けていると言われているスルバランの、見事な写実の静物画や、トレドで活躍した、マニエリスムの神秘的な宗教画で有名なエル・グレコの作品もあるそうです。


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ドレスデン国立美術館展 [美術*Art]


↑ルイ・ド・シルヴェストル 『馬に乗るアウグスト強王』
17世紀末、強王と呼ばれたアウグスト1世は、歴代ザクセン公が収集してきた絵画コレクションをより充実させ、ツヴィンガー宮殿に絵画館を設立。その後国立美術館として公共化されたのが、ドレスデン国立美術館です。
http://www.nikkei-events.jp/dresden/index.html


↑『ローズカットダイヤモンド装身具一式』
靴の留め具やボタン、肩章などが豪華なダイヤでできています。
特に大粒なボタンは、どーしてもガラス玉に見えてしまって仕方がありませんでした(笑)
きっと普段見慣れていないので、ダイヤだという実感が湧かなかったのです。
以前ある美術館で、馬車の車輪にダイヤモンドがついているのを見たときも、実感が湧きませんでした。
「ひとつくらい取っていっても大丈夫かも…」(←いけません、犯罪です(;^^))

↑『戴冠の祝宴のためのアウグスト強王の礼服』
これの傍に、ルイ14世から贈られたという銀糸で飾られた鞍もあったのですが、これも色あせてしまっていました。
当時は鮮やかな紅色のビロードに銀糸の刺繍がさぞかし美しかったことでしょう。
今、それを見ることができない事を考えると、当時の宮廷画家などが精緻に描いた肖像画がとても貴重に思えてきます。
画家たちは、単に注文されたから描くのではなくて、いつまでも永遠にこの美しさを残しておきたい、後世に伝えたいと思いながら描いていたかも知れないですね。

↑ (左)有田『蒔絵瓶』 (右)マイセン
この他にも、有田焼とマイセン窯の作品が並べて展示してありました。
外国の陶磁器を見たり集めたりするのが大好きなので、マイセンの作品をとても楽しみにしていたのですが、何故か、有田焼の方に強く惹かれました。
それは私がやっぱり日本人だからかしら、マイセンは模倣だからでしょうか(@。@)
有田の方が図柄が綺麗で調和がとれているし、とても丁寧に絵付けしてありました。
いずれにしても、天下のマイセンが、日本の焼き物を手本にしたということは、日本人として鼻が高いですね。
外国かぶれの私が、マイセンをいそいそと見に行って、日本の文化の素晴らしさを思い知らされてしまったのでした(;^^)

http://www.wga.hu/frames-e.html?/html/v/vermeer/02a/06gread.html
フェルメール 『窓辺で手紙を読む若い女』
この作品は、レンブラント画だと勘違いされて購入されたものだそうです。
窓ガラスに、手紙を読む女性の姿がボーっと写り込んでいました。
ベッド?の上に果物が無造作に転がっているところをみると、果物の盆を持ったままあわてて部屋に入って来て、手紙を読み始めたのかなあと想像してしまいました。

http://www.wga.hu/frames-e.html?/html/r/rembran/painting/z_other/ganymede.html
レンブラント 『ガニュメデスの誘拐』
本当に美少年だったの?と思うほど、くちゃくちゃに顔が歪んでいました(笑)
でも、手には赤い実を握っているところが、まだ幼い子供だということを実感させて、なんだかしんみり(´-`)
更に、洗浄してみて現れたという、子を連れ去られて両手を掲げて嘆いてる様子の母親の姿が哀れでした。
レンブラント自身も、幼いわが子を次々に亡くしたそうですから、絵に自らの体験を投影させたのかも知れませんね。
ユーモラスやら、悲しいやら複雑な気持ちのする絵でした。

あわせて国立西洋美術館の常設展も観てきました。
前にも行ったことがありましたが、入れ替えたのか、覚えてなかったのか分からないのですが、これほど素晴らしい絵があったのか!と驚いてしまいました。
例えば、クラナハ、ヴァザーリ、カルロ・クリヴェリのテンペラ画などなど。
それからヴァン・ダイク画のとっても大きな肖像画は実に威厳があって、失礼かも知れませんが、これは日本に在っていいのだろうか?と思ってしまうほど、場違いに感じました。


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ガニュメデスの“誘惑” [美術*Art]

国立西洋美術館で開催中の『ドレスデン美術館展』に行く前に、少しだけ予習してみました♪

http://www.wga.hu/frames-e.html?/html/r/rembran/painting/z_other/ganymede.html

↑ 今回の展示作品でとても話題になっている、レンブラント作『ガニュメデスの誘拐』 
ギリシャ神話の一場面です。

**** 全能の神ゼウスは、トロイアのガニュメデスという美しい少年に恋をしました。
そしてその姿を鷲に変えてガニュメデスを誘拐し、神々の給仕をする役目につかせます。
元々はゼウスとヘラ(ゼウスの妻)の娘のヘベの仕事でしたので、ヘラの嫉妬と怒りがガニュメデスに向けられると、彼女から隠そうとして、ゼウスはガニュメデスを星にしました。
水がめを持った少年…それが12星座のみずがめ座です。 ****

レンブラントの描いたガニュメデスは、ゼウスが恋するにはいくらなんでも幼すぎる気がします(笑)
あまりの恐怖に顔はゆがみ、失禁してしまっています、かわいそうに~(;_;)
この絵を洗浄したところ、左下に、息子を連れ去られて、あわてふためく母親の姿が確認されたそうです。

以下、他の『ガニュメデスの誘拐』作品について探してみました。


http://www.wga.hu/art/c/correggi/mytholog/ganymede.jpg

↑こちらはコレッジオの『ガニュメデスの誘拐』
レンブラントのものよりは大人びていますが、まだ子供っぽいですね。
でも、こちらに向けられらた視線が少し妖しい感じ♪

同じコレッジオ作の『イオ』↓ ここではゼウスは雲に変身してイオを愛撫しています。
イオの投げ出した右足と、恍惚とした表情がエロティック。

http://www.wga.hu/art/c/correggi/mytholog/io.jpg

モロー作のガニュメデス。さすがモローのものは幻想的ですね~。↓

http://art.pro.tok2.com/M/Moreau/mor95.jpg

そして、私の一番のお気に入り、Benvenuto Celliniのガニュメデス。
これならゼウスが恋するのも納得です(笑)
後ろからすくいあげて連れ去ろうとするところが面白いですね。↓

http://www.wga.hu/frames-e.html?/html/c/cellini/


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