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ブリヂストン美術館 ~じっと見る 印象派から現代まで~ [美術*Art]

先週末、西洋の近・現代美術から、日本人画家による洋画などを収蔵する
ブリヂストン美術館に行ってきました。

以下は私が特に気に入った作品です。


ルノワール 『座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢』 1876年

ルノワールのパトロンであった出版社を経営する実業家の愛娘を描いたもの。
当時、ルノワールの描く裸体画は“腐った肉体”と酷評され、
悲嘆にくれていたときに理解を示してくれたのがシャルパンティエ氏だそうで、
彼への感謝の気持ちと、子どもが大好きであったというルノワールの
優しい眼差しで、至福感に満ちている素晴らしい作品でした。

97.8cm×70.8cmの大きさといい、このジョルジェットちゃんの大人びたポーズといい、
堂々とした風格です。

また、さすがは裕福な家庭らしく、家具調度も豪華なんですよね、
例えば、金の鋲をうってあるアンティーク風の椅子とか、
絨毯の柄とか質感とか…重厚感たっぷりでこちらも目を見張るものがありました。

更に彼女の着けているネックレスは、サンゴだそうで、魔除けの意味があるとか。
ご両親にとても愛されてたのね~、ジョルジェットちゃん(*´v`*)

これは、この美術館の白眉といえる作品なのではないでしょうか。

しかし、こんなところで、ジョルジェットちゃんに会えるとは…(嬉涙)
実は、私がルノワールの絵で一番好きなのが、
『シャルパンティエ夫人と子供たち』なのです。


ルノワール 『シャルパンティエ夫人と子供たち』 (メトロポリタン美術館蔵)

左端がジョルジェットちゃん、6歳。


ゴッホ 『モンマルトルの風車』 1886年

まだ南仏へ向かう前だからか、色調も暗めで、
あの独特の弾けるような筆致でもないので、
ゴッホだと言われなければ、私には到底判断できない絵でした。


シニャック 『コンカルノー港』 1925年

シニャックの絵は割りと好きです、この神経質そうな点描が(笑)


ゴーギャン 『馬の頭部のある静物』 1886年

後に因縁とも言える縁を結ぶことになるゴッホと同年に描かれたものを、
同時に観ると、なにやら感慨深いものがありますね。

ゴーギャンといえば、タヒチでの風景画がおなじみですので、
東洋趣味の静物を描いた絵とは、私にとってとても新鮮でした。
同じ点描画法だからなのか、シニャックの作品のそばに展示されていました。


ボナール 『桃』 1920年 (実際の作品はカラーです)

ボナールといえば、やはり、南仏のまぶしいほどの光の中に佇む、
妻のマルトをモデルに描いたものが有名ですよね。
このようにしっとりと描かれた静物画という題材は珍しいのではないでしょうか。


ルオー 『ピエロ』 1925年

20世紀最大の宗教画家と言われるルオーの作品群の部屋は、
厳かな空気に包まれていました。
この人物画も、深く深く瞑想しているのが伝わってきます。

特徴的な太い輪郭線は、転地療養で訪れたエヴィアンで見たアルプスの山並みの
様子から影響を受けたというそうですが、私はどちらかというと、
画家になる前に学んだステンドグラスの技巧の影響ではないかと思います。
だから、彼の作品の前に立つと、教会にいるような粛々とした心持になるのだと…(単純!?)


牛島憲之 『タンクの道』 1955年 (実際の作品はカラーです)

実際はうっすらとした紫の色合いの美しい絵です。
この無機質な風景に、なぜかとても惹かれました。
例えば、ジャック・タチ監督の映画『ぼくの伯父さん』に出てくる、
モダンな家と街並みみたいではありませんか?
クリーム色の大理石製(多分)のシンプルな額も印象的でした。


ヴァン・ドンゲン 『シャンゼリゼ大通り』 1924-1925年

ヴァン・ドンゲンの作品はあまり知らないのですが、
アール・デコの衣装の女性像が大好きです。
この可愛らしい絵もいいですけれど、
昨年訪れたパリ市立近代美術館にある『スフィンクス(菊の女)』という絵が、
もっと写実的に描かれていて、スタイリッシュで謎めいていてとっても素敵なんですよ~。
後日、ブログにアップしたいと思っています。


デュビュッフェ 『暴動』 1961年 (実際の作品はカラーです)

実際の作品は、赤を基調として描かれていて、
アンソールの絵のような感じでした。

これはなんと言ったらいいのでしょうか…
狂気にとり憑かれているというのか、魂がむき出しで叫んでいるというのか…
かなり怖いです(;^^)

何かに扇動されて突き動かされている感じですよね。
これはどんな“暴動”なのかは分からないですけれど、
最近、イタリアのサッカー場で起きた騒ぎとあいまって、
群集心理のような、人間の秘めたる恐ろしさを思い考えさせられる作品でした。

ちなみに、アンソールの絵はこちら↓


アンソール 『陰謀』 (アントワープ王立美術館蔵)

その他、ロダンやブールデル、更にはブランクーシなどの前衛的な彫刻や、
エジプト、ギリシャの古代美術品など、幅広い分野のコレクションを堪能できました。

また、ミュージアムショップや、白を基調とした内装のカフェも開放的でとても素敵なので、
鑑賞後に、または合間にゆっくりお茶を楽しみながら、
たとえばお気に入りの美術品について語り合うのもいいですね。
皆さんも、今度の週末にぜひ行かれてみてはいかかでしょうか、オススメです(^^)

公式サイト→http://www.bridgestone-museum.gr.jp/


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kurohani

ジョルジェットちゃんの絵可愛いですね♪「シャルパンティエ夫人と子供たち」と同じ女の子なの初めて知りました。ミカエラさん物知り!デヴュッフェの『暴動』、こんな絵も描いてたんですね。そう言えばサッカー場で凄い暴動ありましたね〜。

ちょっと逸れますがジャック・タチの映画「僕のおじさん」は勿論、「トラフィック」とかも良いですね♪ポスターも大好きです。
by kurohani (2007-02-07 19:09) 

megumi

春***スプリングといえば***

ルノワール様:::色使いが素敵です+++

アーモンドのおめめもかわいい+++

ゴーギャンの絵珍しいですね:

私知りませんでした+++

私:スーラも好きです。

ミカエラさん好きですか?
by megumi (2007-02-07 23:35) 

ミカエラ

■kurohaniさん、こんにちは(^^)
いつもありがとうございます~。

>>ミカエラさん物知り!
↑いや~、それほどでも~(照れ照れ)

デュビュッフェの絵はもう一つ作品が展示してありましたよ~。
そちらは、ひと目で彼の作と分かる、代表的なともいえる画風の人物画でした。

>>そう言えばサッカー場で凄い暴動ありましたね〜。
↑警官が一人お亡くなりになったそうですから、とても深刻ですよね。
無観客試合をするかもしれないとニュースで言っていました。
セリエは八百長騒動もありましたし、W杯決勝戦でもひと悶着ありましたし、
イタリアは最近おかしいですよね(;^^)
サッカー大国としての威信を取り戻すべく頑張ってほしいです。

>>ジャック・タチの映画「僕のおじさん」は勿論、「トラフィック」とかも良いですね♪
↑私も前者は観ました、ユロおじさんがチャーミングですよね(*^^*)
トラフィックは未見なんですよ~、ご覧になったとはうらやましいです。
そういえば、拙サイトやブログに遊びに来て下さる、
映画とても精通していらっしゃるフルヤマさんが、トラフィックについて語って下さいました。
↓こちらにコメントがありますので、よろしければどうぞご覧になってみて下さい♪
http://blog.so-net.ne.jp/la_dolce_vita/2006-03-14#comments
by ミカエラ (2007-02-08 18:45) 

ミカエラ

■megumiさん、こんにちは(^^)
メールもありがとうございました、嬉しいです~。
後ほどお返事と、サイトに遊びに行きますねv

>>ルノワール様:::色使いが素敵です+++
↑megumiさんの、飾り文字(?)も素敵です☆
さすがは、megumiさん、色使いに注目されたのですね。
金髪とブルーのドレスは補色効果があって、西洋では定番の
組み合わせなのだそうですよ~。

>>私:スーラも好きです。
↑パリの市民の憩いの風景を描いたものが有名ですよね。
それからおとぎばなしの世界のような幻想的なサーカスの絵も好きです(^^)
by ミカエラ (2007-02-08 18:47) 

YaCoHa

こんにちは。
「ブリジストン美術館」で検索しておじゃましました。
ここって警備員が結構、気になりました。。。
by YaCoHa (2007-05-22 23:50) 

ミカエラ

■Yakohaさん、はじめまして、こんにちは(^^)
コメントとナイスいただきましてありがとうございます。

>>ここって警備員が結構、気になりました。。。
↑そうですね~、そういえば入り口のところにあった“勝利の女神像”の
ところにもいらして、ちょっと観づらかった覚えがあります(;^^)

それにしましても、古代エジプト美術から現代作家の抽象絵画まで、
バラエティ豊富なコレクションで素晴らしい美術館ですよね♪
by ミカエラ (2007-05-23 12:04) 

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