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『家の鍵』 [映画 あ行 *Movie]


*監督* ジャンニ・アメリオ
*オリジナルストーリー* ジュゼッペ・ポンティッジャ
*脚本* ジャンニ・アメリオ、 サンドロ・ペトラリア、 ステファノ・ルッリ
*撮影* ルカ・ヴィガッツィ
*出演* ジャンニ: キム・ロッシ・スチュアート
      パオロ: アンドレア・ロッシ
      ニコール: シャーロット・ランプリング
2004年 イタリア

*あらすじ*
若かりし日、ジャンニは出産で恋人を亡くなってしまったショックから、産まれた息子を手放してしまいました。
息子はパオロと名づけられ、恋人の姉夫婦のもとで育てられます。
15年後、障害を持ったパオロはベルリンの病院でリハビリを受けることになり、
ジャンニはそれに付き添うため、初めてパオロに会ったのでした。
息子とどう接したらよいのか戸惑うジャンニでしたが、
二人は旅を通して少しずつ心を通わせていきます。
原作はジュゼッペ・ポンティッジャの『家の鍵-明日、生まれ変わる』。
本国イタリアで65万人超を動員する大ヒットを記録し、ヴェネチア国際映画祭4部門を受賞した作品。

                         ****
GW中だったせいか、とても混んでいました。
そして、ご年配のお客様が多かったですね、
皆さん、あのレトロなムードの映画館の常連さんなのかもしれません。
過去の作品のラインナップを見ると、大好きなヴィスコンティ作品がずらりと並んでいたり、
その他、私がDVD等で見知っているものでは『木靴の樹』や『芙蓉鎮』など、静かに心に残る素敵な映画ばかりです。

上映中、気がつくと、パオロの無邪気な振る舞いに、度々会場から笑いが漏れていました。
確かに微笑ましいのだけれど、私には笑うことができませんでした。
それは、パオロが健常者でないということが念頭にあって、悲痛な思いて見ているからで、
それはつまり偏見の目でみていることなのだと思うと、少々恥ずかしくて、情けなくなりました。
圧倒的多数の年配の皆さんは、それ相当の苦労をして子供を育ててきたことからの余裕なのでしょうか、とても温かい眼差しで、パオロをみているのだなということを感じたら、私の心も徐々にほぐされていきました。

キム・ロッシ・スチュアートは、『アパッショナート』では、精神に障害を持つ純粋で美しい青年を演じ、そして今回は障害者の父親の立場を演じるということで、役者冥利に尽きるというのか、
彼のキャリアにとってはとてもいいことですね。
あの時の瑞々しい美しさはないにしても、相変わらずの繊細さが漂っていて素敵でした。

息子とようやく打ち解けて気を緩めた時に、目を離してしまってパオロが居なくなってしまうのですが、その時のジャンニ(キム・ロッシ)の呆然とした表情はなんとも無力で頼りないのです。
息子の成長を見続けてきたわけではないし、精神年齢を把握できていないのか、
子供がとる行動の予測や理解できなくて、放心状態だという、それがよく分かる演技でした。
そんな時、同じく障害者の娘を持つニコール(シャーロット・ランプリング)が手助けしてくれるのです。
言葉が通じない異国の地では、どれほど心の支えになったことでしょう。
ニコールは長年に渡る娘の世話で、人生を達観したような中に諦観も漂っていて、
そして、思わずジャンニに自分の残酷な心のうちをさらけ出してしまいます。
ここでも頼りないジャンニは、一言も気の効いた言葉をかけてあげることができません、
それでもいいのですよね、側にいて聞いてくれるだけでニコールはよかったのだと思います。

ジャンニが息子に触れて抱きしめて慈しむ姿が素敵でした。
親と子とは、生れ落ちた時から無条件に愛し合うようにできているのだなと思い知らされる二人の姿、それはとても美しい!

そして、懸命に生きようとするパオロの姿には生きる歓びを感じます。

ラストの荒涼とした風景は、これからのジャンニとパオロ親子の、果てしない困難な道のりを暗示しているのだと思います。
でもきっとふたりは大丈夫、と寄り添う二人を見て思いました。
親子の絆という尊いものをやっと掴んだのですものね、互いに手を離すことはないでしょう。

悲痛な思いで観始めたのに、いつしか穏やかで温かい気持ちになっている自分がいました。

Thank you ANDREA !

公式サイト→http://www.zaziefilms.com/ienokagi/

アパッショナート

アパッショナート

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2004/12/08
  • メディア: DVD


欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 1~こわれゆく愛~

欧州恋愛映像図鑑 DVD-BOX 1~こわれゆく愛~

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2004/12/08
  • メディア: DVD

あまりにも感受性が強いため、社会に順応できない美青年・サヴェリオが、
年上の人妻に恋するというお話です。
今にも壊れてしまいそうな繊細なサヴェリオをキム・ロッシ・スチュアートが演じています。
なんて美しいの、キムキム~~~ (はあと)
過去に感想を書いてますので、よろしければご覧下さいませ。↓
http://blog.so-net.ne.jp/la_dolce_vita/2005-09-12


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豆酢

キムキム~(陶然)
ああ、人の親になっていると、この手の作品を観るのが辛くなってきます(←へたれ)。まだまだ親としては修行中の身なので。でも観ようかな。子育て忙殺中の私にも学べるところがありそうですね(泣)。
キムはいい感じで年齢を重ねていて、安心しましたよ。ベニーニがうざい(爆)「ピノッキオ」にも出てましたね。
by 豆酢 (2006-05-22 12:30) 

ミカエラ

豆酢さん、こんにちは♪

キムキムに反応して下さって、ありがとうございます~。
勿論、キムキム目当てに見に行ったのですが(←言い切るか)、
なかなかよい映画でしたよ。
色々感想はあるでしょうが、私はとにかく、どんな困難が待ち受けていようとも、愛さずにはいられない親子の強い絆がいいな~と思いました。
豆酢さんも、コレを見たら、もっと子豆ちゃんズが愛おしくなると思いますよ♪

>>ベニーニがうざい(爆)「ピノッキオ」にも出てましたね。
↑ あはは(^▽^) 
ベニーニは、豆酢さんにとって、ドライブしたくない相手No1でしたっけ?(笑)
彼の“ピノッキオ”は私には辛かったです(笑)
by ミカエラ (2006-05-22 15:47) 

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