SSブログ

パリ・オペラ座バレエ 『パキータ』 [バレエ*Ballet]

4/29 (土・祝) 1:30開演 東京文化会館

*振付* ピエール・ラコット(マジリエ版、プティパ版をモティーフとする)
*音楽* エドゥアール・マリ・エルネスト・デルヴェス、ルートヴィヒ・ミンクス
*装置・衣装* ルイザ・スピナテッリ
*出演* パキータ: ドロテ・ジルベール
     リュシアン: ジェレミー・ベランガール
     イニゴ: カール・パケット

2004年に行われた『ルグリと輝ける仲間たち』で、前途洋洋たるオーラが眩しくて、まさに“輝ける”ダンサーだったマチュー・ガニオ。 当時は確か異例の飛び級でエトワールに昇進したばかりでした。
その彼が今回パキータに主演するということなので、ルグリとオレリーの最高のコンビの公演を諦めてまで彼の公演を選んだというのに、ケガで降板してしまいました(涙)
しかし、今回ルグリもご家庭の事情により、突然降板してしまった公演があったそうですから、その日のお客様の心情を考えると、まだいいほうなのかも知れません。
…ということで(?) パリオペさん、来年も来日して下さいm(_ _)m

■第1幕・第1場■ ナポレオン統治下のスペイン、サラゴサ近郊のトゥロー渓谷。
フランスの将軍・デルヴィイー伯爵は、この地で妻子共々暗殺された兄・シャルルの為に、自ら建てた記念碑を、息子のリュシアンと婚約者、そして知事のドン・ロペスと共に訪れました。
やがて、記念碑設立を祝う村祭りが始まり、ジプシーたちが陽気な音楽を奏で踊りを披露します。
ジプシーの娘・パキータに魅了されたリュシアンは、彼女に自分と一緒に来るよう言いますが、身分の違いを気にしてパキータはこれ拒否。
以前からパキータに想いをよせていたジプシーのリーダーであるイニゴは、この様子を見て嫉妬に狂い、従順そうに見えて実は将軍を憎んでいるドン・ロペスと共謀して、リュシアンを殺害する計画をたてるのでした。

                                 ****

今回も事前にルテステュとジョゼ・マルティネスのパキータのDVDを鑑賞してから観に行きました。
190㎝以上もある長身でスレンダーなジョゼ@リュシアンを観た後だったので、今回代役のジェレミー・ベランガールが非常に小さく感じて、物足りない気分でした。
けれども若々しさと弾むような踊りが情熱的で、徐々に惹き込まれていきます。
彼は、今最もエトワールに近いプルミエと言われているそうですから、技術的にも申し分ないのでしょう。
今回の代役が彼にとってのチャンスと思って、精一杯踊っているのであろうと思うと応援せずにはいられませんでした。
ドロテ・ジルベールは小柄でキュートな半面、黒髪とくっきりとした顔立ちがジプシー娘にピッタリ。
DVDでのルテステュのパキータは、ブロンドでどこかたおやかで、イメージするスペイン娘とは違うけれど、実はフランス将軍の娘だったという設定を考えると、ジプシーたちの中で異質であってもそれは正当なのですよね…とパンフの記事を読んで気がつきました(笑)
イニゴ役のカール・パケットの高慢なキャラもよかったです~、あの毒気のある美しい表情…。
ノーブルな王子役もどんなものか見てみたいですが、これからもクセのある演技を見せてほしいです。
そしてそして、待ってました、ティボー君! のパ・ド・トロワ!
伸びやかでやわらかい踊り、なんて素敵なの~~(クラクラ)
…人を感動させるダンサーとか踊りとはどういうものなのだろう…と少し考えてみました。
優れた技術は勿論のこと、その人独特のムードとか個性が大切でしょうか…ティボー君は完璧なハンサムではないと思うのだけれど、とにかく愛嬌があるのですよね。
加えて古代ギリシア風のというのか、不思議~な魅力があります。

(第2場) 舞台はジプシーたちの住まい。 イニゴとドン・ロペスが、リュシアン殺害について打ち合わせをしているのを、パキータは物陰から聞いていました。
そこへリュシアンが登場。 何も知らないリュシアンでしたが、パキータの気転によって難を逃れたのでした。

                              ****

この場はあまり踊りが無く、ほとんどマイムで物語が進行してゆくので、演技力が試される時ですね。
テンポのよい掛け合いのタイミングがとても難しそうです。
パキータの扇子を持ったキレのある踊りもかっこよかったですし、イニゴの酔っ払いながら何度もリュシアンを刺そうとするけれど倒れてしまうという演技も絶妙でした。

間奏の部分、ホルンがやたらと音を外してちょっと驚きました。
昔、少し楽器をやっていたので、ホルンは音程を取ったり保ったりするのが難しいというのは分るのですが、ちょっと外しすぎ…(;^^) でも、つまったような音がしていましたから、もしかしたら楽器自体にトラブルがおこったのかもしれないですね。 ドンマイドンマイ(←偉そーだ)

■第2幕■ 華やかな舞踏会が催されているデルヴィイー伯の邸宅。
そこへリュシアンとパキータがやって来て、ドン・ロペスによる殺害計画を暴露し、パキータによって自分は救われたと伯爵に訴えました。
これによってドン・ロペスは捕らえられ、リュシアンはパキータに求婚しますが、やはりパキータは身分の違いを気にして戸惑います。
しかし、部屋に飾られていたシャルル・デルヴィイーの肖像画と、パキータが幼い頃から身につけているペンダントの肖像が同一であることが判明、つまりパキータはシャルル・デルヴィーの娘であったのです。
自分の出生を知ったパキータは、リュシアンの求婚を受け入れふたりは結ばれました。

                             ****

スフィンクスの様な、架空の動物らしきものを据えた大階段が迫力がありました。
又、御簾のようなものの向こうに人物を配しているのも、うるさくなりすぎずに適当に賑やかでいいですね、さすがはオペラ座、粋だな~と思いました。
この幕ではDVDでは、子供たちのマズルカがあって、その微笑ましい姿に将来のエトワールの姿を思い描くのも楽しいのですが、今回は男性のみのコールドでした。
えんじとブルーの2種類の衣装を纏った将校たちが、入れ替わり立ち替わりするのが壮観!
また、女性コールドのセーブル磁器もしくはゴブラン織りを思い起こさせるような衣装も鮮やかで素晴らしい。
パキータが白いクラシック・チュチュに着替えてからのパ・ド・ドゥだったか、ふたりの息がちょっと合わずにハラハラした箇所がありましたが、感動的な舞台に大満足でした。

カーテンコールにピエール・ラコットさんが出ていましたね。
振付家が登場するなんて、私は初めて見ましたが、よくあることなのでしょうか。
もしかしたら、マチュー降板の代わりを見事に務めたジェレミーの功労を称える意味もあったのかなと私は思いました(^^)
この公演後、ルグリの代役も務めたそうですから、ご苦労様!と心からねぎらいの言葉をかけてあげたいですね。

ところで、会場で売っていたので迷わず購入したのが『パリ・オペラ座バレエと街歩き』という文庫本。

マチュ~! (^ε^*)chu~ (←一度言ってみたかった)
まだ詳しくは読んでいませんが、ルグリをはじめとするダンサー10人へのインタビュー、オペラ座階級のシステム、その他サロン・ド・テの紹介と地図なども載っているので、ガイドブックとしても使えそうです。
そして、ダンサーたちのとても貴重な私服姿の写真がいくつも載っていて嬉しい!
特にマチューとエルヴェ・モローなどは、オシャレでスタイル抜群…自分を美しくみせるポーズも心得ているのか自然とそうなるのか…とにかく踊っていなくてもとても魅力的です(*^^*)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。