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パリ・オペラ座バレエ 『白鳥の湖』 [バレエ*Ballet]

4/21 (金) 18:30開演 東京文化会館
*振付* ルドルフ・ヌレエフ (プティパ、イワーノフに基づく)
*音楽* ピョートル・チャイコフスキー
*舞台美術* エツィオ・フリジェリオ
*衣装* フランカ・スクァルチャピーノ
*出演* オデット/オディール: アニエス・ルテステュ
      ジークフリート王子: ニコラ・ル・リッシュ
      家庭教師ヴォルフガング/ロットバルト: ウィルフリード・ロモリ

数年前からずっと憧れていたパリ・オペラ座バレエ公演を初めて観ることができました。
ちょっと遅くなってしまいましたが、この感動を忘れないでおきたいので感想を書いておこうと思います。

公演前に、オペラ座の『白鳥の湖』(ブルメイステル版)のビデオと、数年前に録画したニコラのドキュメンタリー番組を観ておきました。
ニコラのドキュメンタリーは9年前に作成されたもので、彼は当時20代半ば。
21歳という若さでオペラ座の最高位ダンサー“エトワール”に任命された彼は、マウリス・プティパに「背が高いいたずら小僧、スペクタクルな動き、羽ばたく時を待つ初々しさ。」と形容されるとおりの魅力的なダンサーで、更にはヌレエフに自作振り付けの『ロミオとジュリエット』を踊るよう勧められるなど、まさしくオペラ座の星(エトワール)です。
番組では、彼の自宅やバックステージ、そしてレッスン風景を存分に見ることが出来ました。
厳しいレッスンに励むストイックな姿がとにかくセクシーです!
ダンサーは、本番ではそんな血のにじむような努力を微塵も感じさせない演技を見せることが重要だと聞いたけれど、たまには彼らの裏舞台での姿を思いながら鑑賞するのもいいですよね。

■第1幕■ 宮廷ではジークフリート王子の誕生日を祝う宴が行われており、母である女王は翌日の舞踏会にて花嫁を選ぶようにと王子に告げました。
しかし、理想の愛を夢見る王子はその言葉に耳を傾けようとしません…。

前夜に見たニコラの9年前の姿が瞳に焼きついていたので、ちょっと老けたな~という印象(;^^)
しかし、それだけ演技に円熟味が増しているということだし、あれから9年間、多分ケガをしている時を除いて毎日厳しいレッスンにあけくれていたのだろうと思うと、そんな努力の結晶を間近で観ることができる恐れ多さと幸せを感じました。
最初は動きが硬くてハラハラしました、事前にケガをしていたという情報もありましたし…。
インタビューで「舞台に上がると、いつも観客に包囲されている気分になって緊張する。」と言っていたのですが、あれから数年たってもやはり毎回気持ちは変わらないのでしょうか。
そうこう考えているうちに、パ・ド・トロワを踊ったエマニュエル・ティボーの優美な踊りにおのずと引き込まれていきました。
あの巻き毛といい、大きな瞳といい、古代ギリシアの壺絵から抜け出してきたような容姿でとてもチャーミング♪
踊り終えると大喝采を浴びていました。
彼はまだプルミエ・ダンスールだけれど、いつかきっとエトワールに登り詰めることでしょう。

■第2幕■ 物思いにふけっていた王子は、湖畔でロットバルトによって白鳥の姿に変えられた姫・オデットに出会いました。
彼女にかけられた呪いを解き、元の姿に戻すには男性からの愛の誓いを受けることだと知った王子は、彼女に永遠の愛を誓うと約束します。

ぼんやりと霧がかったような風景のセットで、まるで例えばターナーの描く絵画の中で踊っているようでした。
また、今回は2階正面の席だったのですが、コールドバレエを堪能するにはうってつけの席だと思いました。
さすがはコールドに定評のあるオペラ座ですね、フォーメーションもとにかく美しかったです。
…ということで、主役のふたりの印象があまりありません(;^^)

■第3幕■ 舞踏会が行われている宮廷へ、ロットバルトはオデットそっくりに変えた自分の娘のオディールを伴ってやってきました。
王子はこれをオデットと勘違いし、遂には結婚を申し込んでしまいます。

私は黒鳥のパ・ド・ドゥ大好きなので、この幕を一番楽しみにしていました。
オディール役のルテステュは、凛とした美しさが素敵で、32回転のフェッテ中、その真剣な眼差しに涙が出そうになるくらいかっこよくて素晴らしかったです!
それから、家庭教師とジークフリート王子のパ・ド・ドゥは、同性愛を匂わせるようで妖しかったですね~。
ニコラ@王子がメロメロになってしまっている情けない姿がセクシーでした。
このシーンについての解釈を、ヌレエフは一切していないということだそうですので、ダンサーたちの思うとおりに演技をすることができるのでしょう。
ぜひともここは官能的にとこれからも意識して踊り継いでいってほしいものです。

■第4幕■ 誓いを破ってしまった王子にはもうオデットを助けることができません。
過ちを悔いて許しを請うのでしたが、なすすべもなく、オデットはロットバルトに連れ去られ永遠に引き離されてしまったのでした。

ブルメイステル版では最後にオデットと王子は結ばれるのですが、今回のヌレエフ版では上記のとおりの悲劇で終わりました。
チャイコフスキーのあの物悲しい曲にはやはり悲劇で終わるほうがあっている気がします。
ハッピーエンドということもあって祝祭的な印象のブルメイステルに対して、ヌレエフ版はとてもロマンティックでした。
同じ曲と演目でも、振り付けと解釈によって印象が大きく変わって面白いですね。

白鳥の湖

白鳥の湖

  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: DVD

ブルメイステル版は、衣装も派手で毒々しく、家庭教師の代わりに道化師が出てきて、エキセントリックなムード満載です。
発売されているDVDはピエトラガラとパトリック・デュポンのコンビですので、これくらいインパクトが強いほうがいいのでしょう。
セットも宮廷の場面はモダンな建物で、シンプルな中にも堂々たる華やかさがあり、湖畔の場面は大きな満月かかる抽象的な美しさで、とても洒落ていると思いました。


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豆酢

おおお!これは素晴らしい舞台をご覧になりましたね!生で観てみたかった…。でも当分無理…(/_;)
原曲のイメージに忠実に、悲劇で終わるほうが私も好きです。いやそれは、ハッピーエンドにはなって欲しいですけれども、あのストーリー展開では、ハッピーエンドは無理やりっぽいような気が(笑)。ピエトラガラは、確かバレエ映画にも出演されていましたね。確かヒロインのバレリーナが不治の病に侵されていて、残り少ない時間を踊ることに賭けるといった内容だったと…(うろ覚えです)画面で観ても、美しい容姿のダンサーでした。
by 豆酢 (2006-05-02 15:12) 

ミカエラ

豆酢さん、こんにちは(^^)

>>これは素晴らしい舞台をご覧になりましたね!
↑ そうなんですよ~、とても感動して…今は終わってしまって脱力状態です(・。・)
豆酢さんもいつかご覧になれるといいですね~、とてもオススメですよ~。

>>ハッピーエンドは無理やりっぽいような気が(笑)
↑ あの“例の音楽”ですし、ハッピーエンドは違和感ありますよね(笑)
今回は悲劇で終わって、忘れがたい余韻が残りました。

>>ピエトラガラは、確かバレエ映画にも出演されていましたね
↑ 『ラ・ピエトラ 愛を踊る女』という映画ですね、初めて知りました、教えて下さってありがとうございます!
ピエトラガラ、キリリとしたかっこいい女性ですよね。
バレエ映画は、『ホワイトナイツ』『愛と哀しみのボレロ』、そして最近『リトル・ダンサー』を見ましたが、これに最高に感動しました(T。T)
by ミカエラ (2006-05-03 16:40) 

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