映画 『ダウン・イン・ザ・バレー』 ~イノセントな恋のゆくえ~ [映画 た行 *Movie]
*監督* デヴィッド・ジェイコブソン
*脚本* デヴィッド・ジェイコブソン
*プロデューサー* ホリー・ウィーアズマ
エドワード・ノートン 他
*音楽* ピーター・サレット
*出演* ハーレン: エドワード・ノートン
トーブ: エヴァン・レイチェル・ウッド
ウェイド: デヴィッド・モース
ロニー: ローリー・カルキン
2005年 アメリカ
*あらすじ*
カリフォルニア州サンフェルナンド・バレーに住む17歳のトーブは父親と弟との三人暮らしで、
窮屈な毎日にうんざりしていました。
ある日、トーブはビーチへ出掛ける途中、ガソリンスタンドで自分はカウボーイだという男性、
ハーレンに出会います。
その後2人は愛し合うようになり、トーブの弟のロニーもハーレンと親しくなってゆきました。
得体の知れないハーレンを警戒する姉弟の父親・ウェイドは、交際を禁じ、
反抗するトーブに手をあげてしまうこともありました。
そんな様子を見ていたハーレンは、やがて姉弟をウェイドから助け出そうとします。
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エドワード・ノートン主演、プロデュース、更にヒロイン役のエヴァン・レイチェル・ウッドはノートンのお気に入りということもあり、以前から気になっていた作品でした。
舞台はロサンゼルス近郊のサンフェルナンド・バレー。
挿入歌の歌詞にもあるとおり、頭上をリボンのように交差するハイウェイと、近くには空港があるらしく、そのハイウェイすれすれをジェット機が飛んでゆきます。
あまり気合の入っていない、無機質な、寂寥感漂う町でした。
メインタイトル曲の『Fly Sparrow Fly』という、けだるいカントリー調の曲が、いっそうメランコリックな気分にさせるのです。
曲を提供したアーティストはノートンの幼なじみだそうですから、選曲を依頼したのもノートンなのでしょう、そんなところにも彼のセンスの良さを感じますね。
トーブと仲間たちはビーチへ行く途中に寄ったガソリンスタンドで、カウボーイハットに白い綿のシャツとジーンズという出立ちのハーレンを見て笑い転げます。
しかし、私にはそれほど奇妙な格好には見えませんでした、ジーンズにフリンジの付いた皮のズボン(←なんて言うんでしょうかね)を重ねて履いていたら、それは可笑しいと思うでしょうが…。
他人のファッションに敏感な、若い子たちだったので余計反応したのでしょうね。
トーブとハーレンは性急に愛し合うようになり、更にトーブの幼い弟のロニーも彼と親しくなっていきます。
笑いものにされても、自分がいいと感じた相手には、周りの目を気にせず真っ直ぐに躊躇することなく愛するトーブに、エヴァン・レイチェル・ウッドの毅然とした賢そうな佇まいがピッタリで、素晴らしかったと思います。
これを見た姉弟の父親は、とても心配し始めて、距離を置くよう諭すのですが、不器用なので気持ちが上手く伝わらなくて可愛そうでした(T_T)
やがて厳しく交際を禁じられてからのハーレンは、奇妙な行動を起こすようになります。
何かに倒錯しているらしいのですが、それが何なのか私にはよく分からず、原因も不明だし、また、少しだけ明らかになった彼の過去についてもあまり衝撃的ではありませんでした。
結局彼は哀しい嘘と謎を残したまま…副題だと思われる“君は谷間に吹く風”のように、包み込むような優しさと、狂気、ナイーブさの余韻を残して去って行きました。
公式HP→http://www.downinthevalley.jp/
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