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シュツットガルトバレエ 『オネーギン』 全3幕 [バレエ*Ballet]

11/8 (火) 18:30開演 東京文化会館

*振付* ジョン・クランコ
*音楽* ピョートル・I ・チャイコフスキー
*出演* オネーギン: マニュエル・ルグリ(ゲスト・アーチスト)
     タチヤーナ:  マリア・アイシュヴァルト
     レンスキー:  ミハイル・カニスキン
     オリガ:     エレーナ・テンチコワ
  グレーミン公爵:   イヴァン・ジル・オルテガ 

*カンタンあらすじ*
ロシアの田舎に住むタチヤーナは、ロマンチックな夢みる少女。
ある日、姉・オリガの婚約者で詩人のレンスキーの友達であるオネーギンが、
サンクトペテルブルグからやってきます。
彼は都会での暮らしに飽きたので、田舎に気晴らしに来たのでした。
タチヤーナは都会的で洗練された物腰の彼に恋をし、恋文を書いて渡しますが、
それはオネーギンをイラつかせるだけであり、無下に破り捨てられてしまいました。
数年後、舞踏会でオネーギンとタチヤーナは再会します。
美しく洗練された女性に成長したタチヤーナに、オネーギンは惹かれるのですが、
彼女は既にグレーミン公爵の妻となっていました。
それでも諦めきれないオネーギンは、彼女に愛の告白をしますが、
拒絶されてしまいます。

                               ****

マニュエル・ルグリが“ドラマチックバレエ”と称しているように、さぞかし感情を表現するのが難しいであろう、激情型の演目で、彼が「10年前であれば、おそらく私はこのタイトルロールを踊るにはふさわしくなかっただろう。」と言っていた言葉に納得できるような舞台でした。

ルグリは本当に美しい人です。
登場した瞬間から、凛とした気品が漂って、燕尾服の黒い装いがまさに黒い宝石、例えばオニキスのような大人にしか似合わない輝きを放っていました。
踊りも相変わらず端整で、アクロバティックなリフトもそつなく美しく決めます。
優雅なダンスからは微塵も感じられないけれど、その裏で長い年月をかけてどれほど練習を積み重ねてきたのかを考えると、ここでも原石から時間をかけて磨かれてできる宝石に例えたくなってしまいます。

第一幕、ここの第二場、タチヤーナの寝室で、彼女とオネーギンの幻影とのパ・ド・ドゥが最高によかったです!
大きな鏡の中からオネーギンが忽然と現れて、二人は情熱的で官能的に踊るのでした。
タチヤーナは喜びに満ちているけれど、オネーギンは彼女を惑わす邪悪な悪魔♪
パンフの写真には、イヴァン・ジル・オルテガがオネーギン役で写っているのですが、彼は背がとても高くて力強くて素敵です!
今回の公演では、彼はグレーミン公爵役ですが、次は彼のオネーギンも観てみたいわ~(*^^*)

第二幕、タチヤーナから貰った恋文にイラついている様子で、嫌~な感じの高慢ちきなルグリ@オネーギンでした。
更には遊びごころで、親友であるレンスキーの婚約者・オリガと踊るところなど憎たらしいですが、魅力には抗えない感じ。
その後、怒ったレンスキーからの申し出の決闘で、彼を死なせてしまった後の演技は、親友を殺してしまったにしてはあっさりしていて、私には少し物足りないように思えました。

第三幕、田舎貴族のパーティとはガラリと変わって、都会の貴族たちの高貴な舞踏会に目を見張りました(@。@)
全幕とも舞台装飾が繊細でとても素晴らしかったと思います。
エフゲーニー・オネーギンの“EO”のエンブレムの前で踊るところとかも格調高い雰囲気でした。
しかし、タチヤーナの衣装が洗練された都会的なものには見えなかったです(;^^)
レイフ・ファインズとリヴ・タイラー主演の映画『オネーギンの恋文』での、この場面でのタチヤーナの真っ赤なドレスが強烈に印象に残っているからかもしれません。
最後は、オネーギンが醜くしつこくタチヤーナに言い寄るわけですが、なりふり構わずという態度をあの高貴なルグリ様が(!)見事に演じていて、思わず涙ぐんでしまいました(;_;)

カーテンコールはもっとしてもいいのではないかしらと思いましたが、皆さん、出待ちをされたり電車の時間もあるでしょうから仕方がないですね。

『オネーギン』を踊ることが夢だった、というルグリの嬉しそうな笑顔がとても印象的で、こちらまで嬉しい気持ちになりました(^v^)
世界的なダンサーである彼でも、いつまでも夢を持ち続けているというのが素晴らしいですね。
…そんな素敵な余韻にいまだ浸りつつ…
今日は、数年前の世界バレエフェスティバルで見て以来、ずっと会いたかったフィリップ・バランキエヴィッチの『ロミオとジュリエット』を観てきます♪

↓こちらはレイフ・ファインズがオネーギン役の映画『オネーギンの恋文』。
監督は彼の実妹のマーサ・ファインズ。

今夜 深夜0:40~ BS・2で放送されます。

オネーギンの恋文

オネーギンの恋文

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2000/10/25
  • メディア: DVD


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コメント 2

迷い人

 映画で観たので、ストーリーは知っていましたが、こういうのがバレエで上演されてるとは知りませんでした。
ストーリーもたいへん魅力的ですが、あのストーリーを踊って体で表現するとは......
タチヤーナが貴婦人となって再会して、男のほうが燃え上がる。
部屋でふたりが想いを伝えるシーン、バレエで表現するのは難しいでしょうに、見事に演じて素晴らしかったのですわ。

 白鳥の湖とか、古典バレエしか知らないので、とても参考になりました。
まだまだ素晴らしいダンサーが世界にはたくさんいるのですね。
バレエの専門家のような人が書かれたサイトにもいったのですが、専門用語が分らなくて、ミカエラさまの記事はテクニックばかり書かれてなくて楽しいです。
by 迷い人 (2005-11-12 11:30) 

ミカエラ

迷い人さん、こんばんは(^^)

こーんなミーハーな感想を書いているのは、多分私だけかと…(笑)
そのテクニックばかりのレビューの方も、きっと絶賛されていたのではないでしょうか。
私もこの演目は初めて観たんですよ~。
うまく言えないのですが、“大人のためのバレエ”という感じがしました。
とにかく貫禄があって素晴らしい舞台でした(*´v`*)

映画の『オネーギン』も観られましたか!
最後にタチヤーナに拒絶されるレイフ@オネーギンを見て、「振られて当然よ!」と思った私ですが、ルグリ@オネーギンには同情してしまったのでした(笑)
by ミカエラ (2005-11-13 00:03) 

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