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映画 『鞄を持った女』 [映画 か行 *Movie]


*監督* ヴァレリオ・ズルリーニ
*脚本* ヴァレリオ・ズルリーニ 他
*音楽* マリオ・ナシンベーネ
*出演* アイーダ: クラウディア・カルディナーレ
     ロレンツォ: ジャック・ぺラン
1961年 イタリア
*カンタンあらすじ*
クラブ歌手のアイーダは、自分を騙し捨てた、ある男の家を突き止めて訪ねて来ました。
その姿を窓から見ていた騙した張本人・マルチェロは弟のロレンツォに、適当に嘘をついて
アイーダを追い返すよう指示します。
ロレンツォは指示通り、探している男はここにはいないと嘘をつきますが、とても困っている様子のアイーダを放っておけず、また、兄のしでかしたことに責任を感じ、世話を焼いているうちにやがて彼女に恋心を抱くようになります。
                        ****

最近公開されて話題をよんだ『コーラス』や、『ニュー・シネマ・パラダイス』に出演のジャック・ぺランのデビュー作です。
この作品では、とてもナイーブで心優しい16歳の少年を演じていました。
ギリシャ神殿のような列柱のあるお屋敷の、階段を下りてくるロレンツォ(ぺラン)の姿は、まさしく神話の中の美青年のよう!
そして可哀想なアイーダ(カルディナーレ)に優しく話しかけ、訪ねてきた男性はここにはいません、と優しい嘘をつくのです。姿といい、話し方といい、品のよさと優しさが体からにじみ出ていました。
アイーダをとても放っておけないという思いと、嘘をついた責任を感じたのでしょう、彼は次の日か数日後、彼女の滞在先に訪ねてゆくのですが、そこで実は彼女はお金に困っていることを知りました。
そして死んだ母親代わりの叔母に嘘をついて貰ったお小遣いをアイーダに渡したり、お屋敷に呼んでお風呂を貸してあげたり、遂には父親のコネを使ってホテルに滞在させて、お洋服もプレゼントしてあげるのです。
まだ学生の身ですから自分自身では何もできないのですが、精一杯、愛するアイーダを喜ばせてあげようとしているロレンツォがけなげでした。
そんなこと長く続くはずも無い、ひとときの夢だというのに…(;。;)

大人の男性とダンスをしているアイーダを、ロレンツォが嫉妬の目で見つめる姿が、数分間にわたってアップで映し出されました。
彼が人生で初めて味わった嫉妬かもしれません。
そしてその時、透明感のある彼の美しい瞳は、モノクロの画像なのにその青さが伝わってくるような錯覚にとらわれたのです…しかしそれは多分私の願望からでしょう(笑) しかも瞳の色はグリーンだという説も…(;^^)

年下の少年に色々と世話になっているアイーダも、悪びれる風はなく、無邪気に喜んでいるのがとても可愛らしかったです。
いつも不幸だったアイーダ…少しくらい、幸せな時を過してみたいという小さな願いを咎めることはできませんよね。

自分の不幸な人生を嘆くアイーダを、なぐさめるべく夢中で抱きしめるロレンツォの姿はとても慈愛に満ちていたのに、突然、ハッと我に返ったかのように驚いた表情をするのが印象深かったのですが、あれは一体どういう心境だったのか…。今更恥ずかしくなったわけでもないでしょうし。
今のボクにはどうすることも出来ないということを、一瞬にして悟ったのかしら。
そう思うと個人的な解釈ですが、最後に手紙だと言って渡したお金は、もうこれ以上ボクには何もしてあげられないという、実は別れの意味が込められていたのではないでしょうか、最初についたのと同じ優しい嘘で…。
そしてアイーダはひとときの夢から覚めたように、再び元の世界へと戻ってゆくのです。

アイーダ役のクラウディア・カルディナーレは、チュニジアのチュニス生まれで、地元の美人コンテストで優勝したことをきっかけに女優となりました。
その美貌からアメリカのMM(マリリン・モンロー)、フランスのBB(ブリジット・バルドー)、そしてイタリアのCC(クラウディア・カルディナーレ)といわれ、1960年代当時はとても人気があったそうです。
ジョージ・チャキリスと共演した『ブーベの恋人』が有名ですが、やっぱり私は以下のルキノ・ヴィスコンティ監督作品が好きです♪


『熊座の淡き星影』
ギリシャ悲劇の『エレクトラ』を元に作られた作品です。
カルディナーレ演じる姉と、美しい弟(ジャン・ソレル!)の甘美で妖しい関係…(^m^)

山猫 イタリア語・完全復元版

山猫 イタリア語・完全復元版

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2005/06/25
  • メディア: DVD


『山猫』
美しい貴族の青年・タンクレディ(アラン・ドロン!)を、メロメロにしてしまう娘(カルディナーレ)の物語…(違)
没落してゆく貴族社会を、サリーナ公爵の悲哀をとおして描いた一大叙事詩。
豪華絢爛なセットはオペラのように美しく、又、ヴィスコンティ監督に「私のカンは間違ってはいなかった!」と感嘆せしめたというバート・ランカスターがサリーナ公爵を演じているのも見所です(^^)
http://www.crest-inter.co.jp/yamaneko/


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